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MRA 商品市場レポート for PRO MRA 商品市場レポート for MANAGEMENT
MRA 外国為替レポート  

MRA 商品市場レポート for PRO

2019 年 9 月 19 日
「景気への懸念とドル高進行で軟調」
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1.商品市況概況
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◆昨日の商品市場(全体)の総括
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「景気への懸念とドル高進行で軟調」

【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は、引き続きその他農産品(ソフトコモディティ)
や穀物などに買いが入り、エネルギーや非鉄金属などの景気循環銘
柄は売られることとなった。

中国の経済統計の鈍化や中東の供給途絶懸念の後退を受けた原油価
格の下落がインフレ系景気循環銘柄価格を下押しする展開が続いて
いる。

また、商品によっては時間的に材料にできなかったものもあるが、
FOMCで予想通り利下げが行われたものの、先々の利下げ見通しが中
立だったため、ドル高が急速に進行したことも価格を下押しした。


【本日の価格見通し総括】
本日はFOMCの結果を受けた実質金利の上昇やドル高進行が、多くの
商品価格を下押しすると考える。ただし市場はまだFRBの追加利下
げを想定しており、その影響は限定されるだろう。

予定されている統計で注目しているのは米フィラデルフィア連銀指
数。ISM製造業指数やGDPの先行指標であるが、市場予想は10.5(前
月16.8)と大幅に減速する見込みであり、広く景気循環銘柄価格の
下押し要因となる。

ただ、悪い統計であれば上述のように、市場参加者は勝手にFRBの
利下げを期待するため、影響は限定されるとみる。

なお、フィラデルフィア連銀指数の先行指標であるニューヨーク連
銀指数は2.0(市場予想4.0、前月4.8)と減速しているため、市場
予想を下回る可能性は低くないとみている。


なお、サウジアラビア問題は生産回復が本当に10日で完了するのか
はよくわからないが、徐々にポイントはサウジアラビア・米国の報
復の有無に移っている。

ドローン攻撃の有効性が証明されたため、今まで以上に大規模な攻
撃が安価に、簡単に行われる可能性が高まっていることは新しい種
類のリスクといえるだろう。


【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】
昨日のFOMCでは予想通り▲25bpの利下げが行われた。しかしそれ以
上に重要なのが、FOMCメンバーの2019年・2020年の金利見通しが中
立(1.875%で据え置き)になっている点である。

別の言葉を使えば、追加利下げを想定していない、と言ことである。
確かに個人消費も堅調であり、追加で利下げを行う必要が本当にあ
るとは思えず、妥当な判断だろう。

ただし、市場は年内後1回の追加利下げを望んでおり、この市場とF
OMCとの意識の乖離が相場を混乱させることになると予想される。
つまり市場が勝手に利下げを期待し、その後利下げが行われなかっ
た場合に失望してリスク資産価格が下落する、という展開である。

次回、利下げの可能性があるとすれば恐らく12月だが、場合による
とこのタイミングで大きくインフレ系リスク資産価格が下落する可
能性はあり得る。


【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】
(マクロ要因)
・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標の減速(価格下落要因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ
(+3.3%→+3.2%)ている。2020年は+3.5%(▲0.1%)に戻る楽観見
通しであるが、米中交渉の決裂懸念など、引き続きリスクは下向き
としている。

・FRBの利下げの可能性が再び高まる。世界経済の悪化懸念を材料
にFRBは利下げ方向に舵を切っている。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格
の上昇要因(Q219の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.4%と1992年の
統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々
に顕在化している形。


・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要
の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。


(特殊要因)
・米中通商交渉は、相互が制裁強化を決定、さらに関係が悪化した。
今後仮に進捗があったとしても、通商協議の根本解決には複数年単
位の時間が必要で、その間世界経済がさらに減速する場合(下落要
因)。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧
州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの
強まり(下落要因)。

・中東情勢が再度緊迫していることで、域内景気への悪影響への懸
念(下落要因)。可能性は低いが、サウジアラビアがイランに対し
て報復攻撃を行うなどのリスク(原油は上昇要因、その他の景気循
環銘柄には下落要因)。


・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。ジョンソン首相は英
議会の休会を決定、ハードブレグジットはほぼメインシナリオに。
また、EUにブレグジットの影響が波及するリスク(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下
落要因)。

・日韓対立によるハイテク分野の市場混乱や、極東地区の地政学的
リスクの高まり(下落要因)。


(投機・投資要因)
・米利下げ観測の高まりで長短金利逆転状況が解消し、金融株を中
心に株が上昇、リスクテイク再開で景気循環系商品価格にプラスの
影響を与える場合。
詳細を見る
2019 年 9 月 18 日
「原油供給不安後退と景気への懸念で総じて軟調」
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1.商品市況概況
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◆昨日の商品市場(全体)の総括
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「原油供給不安後退と景気への懸念で総じて軟調」

【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は、欧米時間の原油価格上昇を受けて東京エネル
ギーが上昇、その他の農産品、貴金属が上昇したもののそれ以外の
商品は軒並み水準を切り下げる動きとなった。

この数日、市場のドライバーだったサウジアラビアの供給途絶問題
は、昨晩、サウジアラビアのアブドルアジズ エネルギー相が「月
内に攻撃前の水準回復を目指す」「(原油の在庫を取り崩して供給
するため)原油の輸出には影響が出ない」と発言したことで、原油
の供給懸念が急速に後退。

エネルギー価格が急速に水準を切り下げたことで関連銘柄(穀物な
ど)が下落した。

ただし、サウジアラビアの生産能力の修復が完了したわけではなく、
計画通りに修復が進まない可能性もあるため依然として原油価格の
下支え要因になると考えられる。

また、改めて中国の経済統計の悪さが意識され、非鉄金属や鉄鋼原
料価格なども軒並み水準を切り下げている。


【本日の価格見通し総括】
本日は何と言ってもFOMCに注目が集まっている(非鉄金属などは時
間的に織り込めず、明日の材料)。今のところ市場は▲25bpの利下
げを想定しているが、それ以上に注目されているのは、今後の方向
性だろう。

今のところ市場は年内(9月を含めて)2回の利下げを想定している。
この追加の2回目の利下げが否定されるようであれば、材料出尽く
しで長期金利が上昇し、インフレ資産価格の下落要因となるだろう。

本日はFRBパウエル議長の発言に注目したい。

なお、サウジアラビア問題の金融政策への影響に関しては、FOMCメ
ンバーはサウジアラビアへの攻撃の前に金利予測を提出しており、
今回のFOMCでその見通しを変更することは慎重になると考えられる。

足元、サウジアラビア問題は発生直後ほどの過度の懸念は後退して
いる。しかし仮に原油価格の上昇が続けば、セオリー通りならば利
上げ、ということになるだろう。

しかし、景気減速下での原油価格高騰は景気減速につながるため、
今回の場合では利下げ要因になり得ると考えられる。ただ、これは
明確な供給懸念が発生している原油価格の高騰につながるため、当
局は慎重にならざるを得ない。

結果、原油価格の高騰の影響は「リスク要因であるが、その金融政
策への影響は現在では中立」と判断して当面は様子見になると考え
る。


【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】
サウジアラビアの問題ですっかり後ろに追いやられてしまった中国
の重要統計だが、週初に発表された固定資産投資や工業生産などは、
予想を下回る非常に厳しい内容だった。

1-8月期中国工業生産は前年比+5.6%(1-7月期+5.8%)、8月+4.4%
(前月+4.8%)と減速(フロー需要の減速=価格下落要因)。

ストック需要の指標である固定資産投資も前年比+5.5%(+5.7%)、
公的セクター+7.1%(+7.1%)、民間セクター+4.9%(+5.4%)とやは
り減速した。

固定資産投資に占める民間セクターの比重は大きいため、この減速
のインパクトは小さくない。これらは中国政府の景気刺激のための
金融緩和が、さほど効果をもたらしていないことを意味している。

つまり、金融緩和をしても、1.資金が調達できない、2.需要がな
いため資金需要が存在しない、3.1.2.の両方、といった状況に
中国経済が陥っている可能性を示唆している、ということだ。

比較的「操作し難い」とされる中国の電力消費量の前年比伸び率も
+2.9%と猛暑だったにも関わらず伸びが減速している。このことも
中国の実態経済が悪化していることを示唆している。

足元、米中の貿易交渉には一定の進捗があるのでは、との期待が高
まっているが正直どうなるかわからない。結局、財政出動などの
「実弾」を投入せざるを得ない状況に、中国は追い込まれていると
考えられる。


【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】
(マクロ要因)
・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標の減速(価格下落要因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ
(+3.3%→+3.2%)ている。2020年は+3.5%(▲0.1%)に戻る楽観見
通しであるが、米中交渉の決裂懸念など、引き続きリスクは下向き
としている。

・FRBの利下げの可能性が再び高まる。世界経済の悪化懸念を材料
にFRBは利下げ方向に舵を切っている。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格
の上昇要因(Q219の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.4%と1992年の
統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々
に顕在化している形。


・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要
の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。


(特殊要因)
・米中通商交渉は、相互が制裁強化を決定、さらに関係が悪化した。
今後仮に進捗があったとしても、通商協議の根本解決には複数年単
位の時間が必要で、その間世界経済がさらに減速する場合(下落要
因)。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧
州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの
強まり(下落要因)。

・中東情勢が再度緊迫していることで、域内景気への悪影響への懸
念(下落要因)。可能性は低いが、サウジアラビアがイランに対し
て報復攻撃を行うなどのリスク(原油は上昇要因、その他の景気循
環銘柄には下落要因)。


・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。ジョンソン首相は英
議会の休会を決定、ハードブレグジットはほぼメインシナリオに。
また、EUにブレグジットの影響が波及するリスク(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下
落要因)。

・日韓対立によるハイテク分野の市場混乱や、極東地区の地政学的
リスクの高まり(下落要因)。


(投機・投資要因)
・米利下げ観測の高まりで長短金利逆転状況が解消し、金融株を中
心に株が上昇、リスクテイク再開で景気循環系商品価格にプラスの
影響を与える場合。
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2019 年 9 月 15 日
号外「サウジアラビアへのドローン攻撃の影響」
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◆本日のMRA's Eye
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「サウジアラビアへのドローン攻撃の影響」

サウジアラムコの2施設がフーシ派の攻撃を受けて(フーシ派はす
でに犯行声明)停止、約530万バレルの原油生産に影響が出る可能
性が出てきた。530万バレルは世界の消費量の約5%に相当する。

アブカイクはサウジアラビア東部習に位置する、世界最大の原油前
処理施設(700万バレル/日)を有している。ここでは原油から塩分
などの不純物を取り除き、製油所で処理可能な原油に加工する設備
であり、製油所ではない。

またここからは紅海に続くペトロラインの始発点でもあり、この供
給にも影響が出る可能性がある。

つまりここはサウジアラビアにとって重要な拠点であり、軍が防衛
していたわけだが低空で飛行してレーダーにも映らないドローン攻
撃を防ぐのは困難、ということだろう。

今回の事件が原油価格に影響を及ぼす可能性は高い。

現在、OPECの有するスペア・キャパシティ(30日以内に安定的に増
産できる能力)は500万バレル程度だが、この規模ですでに530万バ
レルをカバーすることはできない。

さらに、今回の事件は最大の供給能力を有するサウジアラビアでの
事故であり、同国のスペアキャパシティ、200万バレルは活用でき
ないと考えるべきである。

非OPEC生産が基本は設備の生産能力をフル稼働させていることを考
えると、非OPEC供給の増産余力は今回の協調減産の対象数量である
40万バレル程度。結果的に全世界で見た時に340万バレル程度しか
増産能力がないことになる。

これにより、スペアキャパシティ率はマイナスに沈み、原油価格が
上昇する可能性は高い。ちなみにこの20年、OPECスペアキャパシテ
ィ率がマイナスとなったことはない。

ただし、サウジアラビアは原油備蓄を輸出にあて(前処理済みの備
蓄)、市場に影響は出ないとしているうえ、被害の規模がよくわか
らないこともあり、調べてみればそれほどの被害ではなかった、と
いうことになるかもしれない。

基本的には在庫を取り崩し、同時に修復を進め、1週間程度で修復
できますというのであれば影響は限定されるだろう。しかしそれも
原油備蓄が枯渇すればとたんにフローベースの供給不足に陥ること
になる。

この場合、攻撃からの復帰に時間がかかるという前提に立てば、原
油価格はまずは70ドルを目指す展開になると予想され、次に今年の
高値である75ドルが意識されると考えられる。まずはショートの買
戻しが先行することになるが、このような「供給の実際が不透明」
な状況であれば、どこまで上昇するかを議論してもあまり意味がな
い。当然、原油コストの上昇が世界景気にマイナスに作用すること
になる。

問題は、これをだれが指示したのか、ということである。早速米ポ
ンペオ国務長官は、「イランは世界のエネルギー供給源に前例のな
い攻撃を仕掛けた」とフーシ派の単独行動ではなく、イランの攻撃
によるものと決めつけている。トランプ大統領はムハンマド皇太子
に連絡し、サウジアラビアの自衛に協力すると発言している。

証拠がないので何とも言えないが、今回の攻撃はフーシ派の末端に
情報が届かず、単独で行ったのではないだろうか。というのもイラ
ン強硬派のボルトンを更迭、9月に国連総会での米・イラン首脳会
談が開催される可能性があったからだ。

しかしこれによってその道が断たれ、ヘタをするとサウジとイラン
の武力衝突、という最悪の事態になる可能性も十分にあり得る。こ
の混乱にイスラエルが相乗りする可能性も十分にあり得る。

この最悪シナリオの場合、ホルムズ海峡航行の安全が担保されない
ことになり、原油価格は100ドルを超える上昇になるだろう。

いずれにしてもサウジアラビアからの続報待ちの状態であるが、一
旦、落ち着くと期待された中東情勢が一転緊迫の度合いを高めてい
ることは憂慮すべき状況である。

非鉄金属をはじめとする工業金属への影響も小さくない。まず供給
面に関していえば、中東の依存度が高まるアルミニウム価格には、
上昇圧力がかかることになるだろう。また、原油価格の上昇を受け
た実質金利低下が、金融面で非鉄金属価格を押し上げる可能性は排
除できない。

問題は、1.原油価格の上昇が世界景気にマイナスに作用するか、2.
エネルギーは明確な供給リスクが意識されるが、非鉄金属にとって
はむしろ「リスクオフ」と捉えられる可能性がある点だ。リスクオ
フの判断材料としては、まず月曜日の株価がどのように反応するか、
だろう。
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2019 年 9 月 13 日
「地政学リスク後退とECB会合を受けたドル安で堅調」
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1.商品市況概況
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◆昨日の商品市場(全体)の総括
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「地政学リスク後退とECB会合を受けたドル安で堅調」

【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場はエネルギーとその他の農産品が売られたが、それ
以外は総じて堅調な推移となった。

米消費者物価指数が市場予想を上回る上昇となったことでドル高が
進行したが、ECB会合の決定を受けて「材料一巡」と見た市場参加
者のドル売りが継続したこと、米中協議が進捗するとみられている
ことがリスク資産価格を広く押し上げることとなった。

エネルギー価格の下落はOPECプラス会合での追加減産が見送られた
ことが材料。


【本日の価格見通し総括】
本日は目立った手がかり材料に乏しい中、ECB会合の結果を受けた
ドル安進行や、世界的な地政学的リスクの低下を受けたリスクテイ
クの動き加速で、堅調な推移になると予想する。

この数日で顕著な動きとすれば、米中協議に改善の兆しが見られる
ことだ。両国とも景気の減速懸念は根強く、「取り返しがつかない
状態になる前に、一時的に手を打つ」意思が強まっているようだ。

対外政策超強硬派のボルトン氏の退任が影響していることは間違い
がない。朝方も、トランプ大統領が中国との暫定合意に意欲を見せ
ていると報じられ、中国劉鶴副首相も、来週の実務レベル協議実施
を公表している。

とはいえ、政治的な話であるため最終合意までは合意していないの
と同じであり、米中問題が長期の課題であることは間違いないこと
からそれほど積極的な価格上昇にはならないと考える。


【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】
昨日のECB会合では後2回しか残されていない、ECB総裁の立場を利
用して、ドラギ総裁が積極的な緩和策に打って出た。

具体的には、預金ファシリティレートを▲10bp引き下げ、資産買い
入れも200億ユーロ規模で再開、銀行への長期資金供給策(TLTRO
3)も期間を2年から3年に延長するなどの対策を決定している。

しかし、これらの緩和は市場がすでに織り込んでいたためむしろ昨
日はユーロの買い材料となった。

今回のECB会合では、ドイツ、フランス、オランダ、オーストリア、
エストニアがQE実施に反対した。これに対してイタリアやスペイン
などの南欧諸国は賛成している。

つまり、前回の欧州危機時と同様、景気が減速する中で財政状況や
経済状況が思わしくない南欧諸国vs北欧諸国の対立の構図となった
形だ。結局、イタリア出身のドラギ総裁が、母国に「お土産」を持
たせた形ともいえる。

これでドラギ総裁は在任期間中、出口の方向性も見せることなくひ
たすら金融緩和を行った総裁、ということで終わってしまいそうだ。
これはどこかの国の中央銀行総裁も同じであろう。あまりに無責任
だ。

結局、追加緩和などの余地をほとんど封殺された状態で、IMFラガ
ルド専務理事が次期ECB総裁に就任する。これもまたどこかの国の
中央銀行も同じだろう。

問題は、来年以降、訪れる可能性がある本当の危機の際に対応でき
る余力を削っていることである。手持ちのカードがなくなった状態
で景気後退局面入りするリスクは無視できない。


【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】
(マクロ要因)
・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標再びの減速(価格下落要
因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ
(+3.3%→+3.2%)ている。2020年は+3.5%(▲0.1%)に戻る楽観見
通しであるが、米中交渉の決裂懸念など、引き続きリスクは下向き
としている。

・FRBの利下げの可能性が再び高まる。世界経済の悪化懸念を材料
にFRBは利下げ方向に舵を切っている。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格
の上昇要因(Q219の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.4%と1992年の
統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々
に顕在化している形。


・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要
の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。


(特殊要因)
・米中通商交渉は、相互が制裁強化を決定、さらに関係が悪化した。
今後仮に進捗があったとしても、通商協議の根本解決には複数年単
位の時間が必要で、その間世界経済がさらに減速する場合(下落要
因)。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧
州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの
強まり(下落要因)。

・中東情勢の緊張緩和を受けた域内景気への悪影響緩和期待(上昇
要因)。ただし根本解決には時間がかかり、引き通D期域内景気の
混乱と、それを受けた欧州景気への悪影響拡大懸念は払しょくでき
ず(下落要因)

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。ジョンソン首相は英
議会の休会を決定、ハードブレグジットはほぼメインシナリオに。
また、EUにブレグジットの影響が波及するリスク(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下
落要因)。

・日韓対立によるハイテク分野の市場混乱や、極東地区の地政学的
リスクの高まり(下落要因)。


(投機・投資要因)
・米利下げ観測の高まりで長短金利逆転状況が解消し、金融株を中
心に株が上昇、リスクテイク再開で景気循環系商品価格にプラスの
影響を与える場合。
詳細を見る
2019 年 9 月 12 日
「インフレ系景気循環系商品売られる」
━━━━━━━━━━━━━━
1.商品市況概況
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◆昨日の商品市場(全体)の総括
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「インフレ系景気循環系商品売られる」

【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は景気循環銘柄が売られ、農産品や貴金属などの安
全資産が物色される流れとなった。

米ボルトン大統領補佐官の退任を受けた、米国発の世界的な地政学
的リスクの低下期待がリスクテイク意欲を高めたほか、アジア時間
に発表された中国のファイナンス関連統計が、同国の中堅・中小企
業向けの資金繰り策が奏功していることを示す内容だったことが、
景気循環銘柄の押し上げ要因となった。

しかし、米生産者物価指数の上昇を受けたドル高や、米国がイラン
に対して制裁緩和を検討していたことが伝えられ実質金利が上昇し
たことで、引けにかけて水準を切り下げる動きとなった。

結局、景気が下り坂にある中で、政策の景気下支え効果が限定され
る、と見る市場参加者が多いということだろう。


【本日の価格見通し総括】
本日の注目材料は2つ。1つはECB会合、もう1つがOPECプラス会合だ。

ECB会合は域内景気の減速から追加緩和が必須と市場は判断してお
り、催促相場となっている。

ドラギ総裁の任期までの会合はあと2回。後任のラガルド専務理事
は交渉の達人ながら金融政策においては専門ではないし、実務家で
もない。ECBのみならず、EUの主要メンバーが後退するこの秋を見
据えると、ラガルド専務理事に引き継ぐまでの「流れ」を作る上で
この2回の会合は重要になると考えられる。

ただ、市場は非常にハト派に傾いているが、ECBが打てる手立ては
少ないし、来年来ると予想される本当の景気後退時に打てる手立て
がなくなることも考えると、今回の会合の後には逆にユーロは買わ
れ、ドルが売られることになるだろう。

商品市場にとっては、景気下支え策への失望とドル安の進行が相殺
される形で景気循環銘柄には中立、非景気循環系商品にはドル安進
行でプラスに作用すると考える。

もう1つの注目はOPECプラス会合。OPECプラスは来年の3月まで減産
延長で合意しているが、ボルトン氏の退任や景気の減速に伴う価格
下落観測が強まる中で、先々の追加減産を示唆する発言があるかど
うか。特にサウジアラビアのエネルギー相がファリハ氏から交代、
スタンスの変化有無に注目が集まる。

なお、景気が減速する局面での減産の価格維持効果は限定されるた
め、「切るカード」の温存の意味でも特段大きな進捗が今回の会合
であるとは考え難い。


【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】
昨日中国汽車工業協会(CAAM)が中国の8月の自動車販売を発表し
たが、14ヵ月連続のマイナスとなった。中国が力を入れている新エ
ネルギー車の販売も前月に続いてマイナスとなった。

1-8月の中国自動車販売は前年比▲11.0%の1,610.4万台(1-7月期▲
11.4%の1,413.2万台)、8月は▲6.9%の195.8万台(前月▲4.3%の18
0.8万台)と、落ち込みは顕著である。

基本、中国の自動車販売は住宅販売の伸びに半年ほど遅行して変化
するが、住宅セクターのバブル抑制方針が継続していることが、結
果帝に自動車販売にも影響している形。

これを受けて中国政府は自動車の購入規制を緩和することを含む、
20項目の景気刺激策を発表した。自動車に限れば自動車の購入規制
の緩和や撤廃を指示している。

ただ、上述の通り景気自体が減速する中ではこうした一連の政策効
果の影響は限定されるため、景気を力強く押し上げることはなく、
景気循環系商品価格の押し上げ圧力も限定されると予想される。


【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】
(マクロ要因)
・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標再びの減速(価格下落要
因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ
(+3.3%→+3.2%)ている。2020年は+3.5%(▲0.1%)に戻る楽観見
通しであるが、米中交渉の決裂懸念など、引き続きリスクは下向き
としている。

・FRBの利下げの可能性が再び高まる。世界経済の悪化懸念を材料
にFRBは利下げ方向に舵を切っている。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格
の上昇要因(Q219の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.4%と1992年の
統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々
に顕在化している形。


・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要
の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。


(特殊要因)
・米中通商交渉は、相互が制裁強化を決定、さらに関係が悪化した。
今後仮に進捗があったとしても、通商協議の根本解決には複数年単
位の時間が必要で、その間世界経済がさらに減速する場合(下落要
因)。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧
州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの
強まり(下落要因)。

・中東情勢の緊張緩和を受けた域内景気への悪影響緩和期待(上昇
要因)。ただし根本解決には時間がかかり、引き通D期域内景気の
混乱と、それを受けた欧州景気への悪影響拡大懸念は払しょくでき
ず(下落要因)

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。ジョンソン首相は英
議会の休会を決定、ハードブレグジットはほぼメインシナリオに。
また、EUにブレグジットの影響が波及するリスク(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下
落要因)。

・日韓対立によるハイテク分野の市場混乱や、極東地区の地政学的
リスクの高まり(下落要因)。


(投機・投資要因)
・米利下げ観測の高まりで長短金利逆転状況が解消し、金融株を中
心に株が上昇、リスクテイク再開で景気循環系商品価格にプラスの
影響を与える場合。
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MRA 商品市場レポート for PRO

2012 年 8 月 22 日
MRA商品市場レポート for MANAGEMENT(8月22日)
◆昨日のメタル市場総括
「欧州不安の後退と、中国の追加緩和期待で上昇」

◆今日のメタル市場見通し
「現状水準で底堅い推移。FOMC議事録に注目。」
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MRA外国為替レポート

2019 年 8 月 19 日
MRA外国為替レポート(8月19日号)
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1.この2週間の市場総括
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8月5日月曜日に始まる週の市場は、米中通商摩擦の行方、動静や発
言に神経質となるなか、世界景気への懸念の高まりから依然として
リスク回避的な動きが続いた。

中国は米国からの農産物輸入を停止。また、ドル/人民元相場が1ド
ル7人民元を上回るドル高人民元安となりこれを容認する姿勢を示
した。

トランプ大統領は為替操作として批判。中国を為替操作国に認定し
た。

市場は貿易戦争から通貨戦争への広がりを警戒。その後は人民元相
場の動向に神経質な展開。中国当局が毎日定める人民元相場の基準
レートの水準を巡って、人民元安容認か、人民元安のペースをコン
トロールする姿勢か、で不安感が左右される展開に。

週初に106円60銭で始まったドル円相場は106円割れ。その後は106
円台前半を中心に上下した。

7日水曜日には、ニュージーランド準備銀行、インド中銀、タイ中
銀が利下げ。利下げ幅が想定を上回った。またドイツの鉱工業生産
指数が大幅に悪化。これらを受けて市場の景気懸念・不安感が強ま
った。米10年債利回りは一時1.6%割れに低下する場面もあった。

この間の米国株は大幅下落で割安感が生じたことや、引き続き金融
緩和期待に支えられて底固い値動き。

木曜日には中国の貿易統計が発表され輸出の伸びが強めだったこと、
中国当局が人民元安にブレーキをかける姿勢を示したことからやや
安心感が広がった。

トランプ大統領は再度ドル高への不満を漏らし追加利下げを要求し
た。ドル円相場は106円ちょうど近辺で推移。

ただ週末金曜日に、トランプ大統領が、9月の米中交渉が延期にな
っても構わない、と述べたことで不安感が強まり市場ではリスク回
避が強まった。

円が全面高となりドル円相場は一時105円30銭に下落。週末の引け
は105円60銭台。一方、米10年債利回りは1.74%に小幅上昇して引け
た。米国株は週末に反落。

8月12日に始まる週の市場は乱高下。ドル円相場は105円60銭で始ま
り弱含み。引き続き米中貿易摩擦に対する懸念で市場にリスク回避
が蔓延した状態。

週初の米国株は大幅続落で始まり、日経平均も軟調。20,500円前後
で低迷して20,000円をかろうじて維持する状況が続いた。

安全資産である米国債への資金流入が続き米長期金利は大幅低下。
週央には中国やドイツの弱い経済指標で、米10年債利回りは一時
1.50%を割り込んだ。

米国株は米国USTR(通商代表部)が対中関税の一部延期を発表した
ことで反発する場面もあったが、米2年債利回りを10年債利回りが
下回る逆イールドとなったことが景気後退への不安感を煽り急落。
その後は米中通商問題への懸念がやや緩和したことや、景気対策へ
の期待などから株価は落ち着き、長期金利の低下も一服した。

ドル円相場は週前半に105円ちょうどに迫る場面もあったが、その
後は持ち直し、106円割れでは底固い展開となった。週末の引けは
106円40銭。

ユーロ円相場は108円台前半で始まり一時119円台に上昇したが反落。
概ね118円ちょうどを中心とした値動きとなった。日経平均の金曜
日引けは20,350円。

12日月曜日の東京市場は祝日で休場。アジア時間のドル円相場は
105円50銭近辺、ユーロドル相場は1.12ちょうど近辺で推移。

米中貿易摩擦への懸念は続きリスク回避心理が根強い状況が続いた。
香港では政府への抗議デモが拡大し香港国際空港が全面停止。

またアルゼンチンの大統領予備選挙で左派が優勢となったことでポ
ピュリズム懸念から通貨・アルゼンチンペソが急落したことなども
心理を悪化した。

欧州市場に入ると、ドイツのIFO経済研究所が米中貿易摩擦を主因
に世界的に景気見通しが悪化しているとの調査結果を明らかにした。
同研究所は世界貿易の著しい伸び減速を予想。ユーロは対ドルで
1.1160台、対円で117円50銭台に下落。

米国市場では株価が大幅続落。指数はいずれも大きく下落した。米
長期金利は低下し、2年債利回りは1.58%、10年債利回りは1.64%に
低下。

ドル円相場は105円ちょうどに接近し、引けは105円20銭〜30銭。
ユーロはその後持ち直し、ユーロドル相場は1.1210台、ユーロ円相
場は118円近辺に戻して引けた。

13日火曜日の東京市場では3連休明けの日経平均が20,400円割れで
大幅安寄り。ただその後は底固くじりじりと上昇して20,450円近辺
で引けた。

ドル円相場は105円30銭近辺で始まり50銭近辺に小幅上昇したが反
落し105円10銭〜20銭でもみ合い。ユーロドル相場は1.12ちょうど
を挟んで上下。ユーロ円相場も118円ちょうどを中心に上下。

海外市場に入る米国USTR(通商代表部)が対中関税第4弾、3,000億
ドルのうち一部の延期を発表。スマホやゲーム機、衣類などに対す
る関税を9月1日から12月15日に延期した。クリスマス商戦への悪影
響を考慮したもの。

これを好感して米国株は大幅高。米長期金利は上昇し、2年債利回
りは1.67%、10年債利回りは1.70%。ドル円相場は一時107円目前ま
で急騰。ユーロ円相場は119円60銭に。

ただその勢いは長くは続かず、ドル円相場は106円60銭〜70銭、
ユーロ円相場は119円ちょうど〜20銭での推移となった。ユーロド
ル相場は1.1170〜90。

発表された米国の消費者物価指数(7月)は前年同月比+1.8%、コア
指数で+2.2%とともに前月から上昇率がやや加速した。

一方、欧州で発表されたドイツZEW景況感指数(8月)は期待指数が
▲44.1と前月▲24.5から大幅に悪化した。

14日水曜日の東京市場のドル円相場は106円70銭で始まり上値の重
い展開で軟調。106円40銭中心とするもみ合いへ。ユーロ円相場も
119円20銭で始まりその後は119円を割り込むなど上値重く、119円
ちょうど中心のもみ合い。

日経平均は米国株の大幅高やドル円相場の持ち直しを好感して
20,700円で高寄りしたが、その後は上値重く、20,600円を割り込む
場面もあった。引けは20,650円近辺。

中国で発表された7月の主要経済指標はいずれも弱かった。

小売売上高は前年同月比+7.6%と前月の+8.8%から大幅減速。工業生
産は同+4.8%と+6.8%から大きく鈍化して17年ぶりの低い伸びとなっ
た。

都市部固定資産投資は+5.7%と前月+5.8%から小幅鈍化。失業率は前
月の5.1%から5.3%に上昇した。欧州ではGDPが発表されドイツの4-6
月期GDPが前期比▲0.1%とマイナス成長を示した。

市場では景気後退懸念が強まりリスク回避から米国債に資金が流入。
米2年債利回りは1.58%へ、10年債利回りは1.57%へ急低下し、一時2
年債利回りを10年債利回りがわずかながら下回る逆イールドとなっ
た。

このこと自体がさらに景気悪化懸念を煽り米国株は大幅安。NYダウ
は800ドルもの急落、3%の下落となった。ドイツDAX指数も2%の大幅
下落。

為替市場では円高とともにドルも堅調。ユーロ円相場は117円80銭
〜90銭に下落し118円ちょうど中心に上下。ユーロドル相場も
1.1140〜50にユーロ安ドル高。ドル円相場も円高となったが、
106円割れでは底固く、105円90銭〜106円ちょうどでの引け。

15日木曜日の東京市場のドル円相場は105円90銭中心に推移。ユー
ロ円相場は118円ちょうど近辺。

日経平均は米国株急落を受けて20,200円で大幅安寄り。ただその後
は底固く20,300円〜400円で推移して引けは20,400円近辺。

為替市場では東京時間午後15時過ぎに、とくに材料のないなか急速
に円安に振れた。ドル円相場は106円70銭に、ユーロ円相場は119円
ちょうど近辺に瞬間的に上昇。発注ミスとの見方や、円高を見越し
た円買いポジションの手仕舞い・円売り戻しが、薄商いのなか相場
を大きく動かしたとの見方も。

その後はすぐに円高へ揺り戻し、ドル円相場は105円70銭へ、ユー
ロ円相場は118円へ反落した。

中国は対米報復措置をとらざるを得ないとのスタンスを表明。欧州
ではECBのメンバーであるフィンランド中銀総裁が、9月にインパク
トのある重要な意味を持つ緩和策を打ち出す必要がある、と述べた。

ユーロドル相場は1.1150から1.11ちょうど近辺に下落。ユーロ円相
場は118円50銭に戻していたが117円70銭に下落した。ドル円相場は
106円10銭〜30銭で上下。

米国で発表されたNY連銀製造業景気指数、フィラデルフィア連銀製
造業景気指数(ともに8月)は強め。小売売上高(7月)も前月比
+0.7%と前月の+0.4%から伸びが加速して予想よりも強い数字だった。

一方、鉱工業生産(同)は▲0.2%と前月の+0.4%から減少に転じて
弱い数字に。設備稼働率も77.5%と前月の77.9%から低下した。

米国株は個人消費の強さに落ち着きを取り戻して小幅反発。ただ生
産が弱めだったこともあり反発は鈍かった。

こうした米国株の動向に反して米国債利回りは急低下。2年債利回
りは1.47%、10年債利回りは一時1.47%をつけ1.50%へ。30年債利回
りが史上初の2%割れとなった。

ドル円相場は106円ちょうどを挟んだ値動きとなり106円10銭で取引
を終えた。ユーロ円相場は117円80銭〜90銭。

16日金曜日の東京市場は総じて小動き。ドル円相場は106円10銭を
中心に上下、ユーロ円相場は117円80銭〜90銭で上下。ユーロは対
ドルで軟調。1.1110から1.1070へ小幅安。

日経平均は20,300円で小幅安寄りの後は底固く、20,400円〜450円
で上下。引けはやや押して20,300円台後半。

海外市場に入ると、欧州の有力週刊誌シュピーゲルが、ドイツ政府
はリセッション入りなら財政赤字覚悟で対応する、と報じたことか
らリスク回避がやや緩和。ドル円相場は106円50銭に、ユーロ円相
場は118円ちょうど近辺に上昇。ユーロドル相場は1.11台に上昇し
た。

またトランプ大統領が、米中春陽は近く電話で貿易問題を協議する、
と述べたこともリスク回避を緩和した。米国株は上昇。米長期金利
も反発して2年債利回りは1.49%、10年債利回りは1.56%。2年−10
年の逆イールドは解消した。

ドル円相場は106円30銭を中心に上下して引けは106円30銭〜40銭。
ユーロ円相場は117円90銭〜118円ちょうど。

発表された米国の住宅着工(7月)は季節調整済み年率換算で1,191
千戸と前月1,241千戸から減少。ミシガン大学消費者信頼感指数(8
月)は92.1と前月98.4から悪化して予想を下回った。
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2019 年 8 月 5 日
MRA外国為替レポート(8月5日号)
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1.先週の市場総括
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先週のドル円相場は火曜日・水曜日の2日間にわたり開催されたFOM
Cの結果発表を前に週前半は108円台後半でもみ合い。

木曜日未明に公表された結果は0.25%の利下げ、資産売却・バラン
スシート縮小は2か月前倒しで終了、となった。

利下げ決定は8対2で反対票が2票。声明文では、適切に対応する、
との文言は残され追加利下げの余地は残されたが、パウエル議長は
今回の利下げは長いサイクルの一環ではないと、あくまでも調整・
予防的な利下げと述べた。期待ほどハト派でなかった。

米国株は緩和期待の後退で下落。一方ドルは堅調な展開でドル円相
場は109円台前半に上昇、ユーロドル相場は1.10台前半に下落した。

しかし木曜日にトランプ大統領が突如、対中関税第4弾、3,000億ド
ルに対する追加関税を9月1日に発動するとしたことから急速にリス
ク回避が拡大。

日経平均は金曜日に大幅安となり一時21,000円割れ。米長期金利は
急低下。10年債利回りは週末にかけて1.84%に。米国株は大幅安。

為替市場ではドル安と同時に円が全面高となりドル円相場は
106円60銭に下落した。ユーロ円相場も118円40銭に。ユーロドル相
場は1.11台に上昇。

月曜日の東京市場は108円70銭で始まり一時40銭に下落したが持ち
直して60銭〜70銭でもみ合い。ユーロ円相場は120円90銭〜121円ち
ょうどで始まり小幅円高に振れて120円80銭〜90銭でもみ合い。

日経平均は21,600円台前半で寄り付いたが前場に500円台前半に下
落して上下。引けは21,500円台後半戻して引け。

海外市場では米国株がまちまちの動き。FOMCや米中通商協議を前に
方向感なく、大型ハイテク株には利食い売り。ダウは小幅続伸、
S&Pとナスダックは反落。

米長期金利は概ね横ばいで10年債利回りは2.07%。ドル円相場は底
固く108円90銭に上昇した後70銭〜80銭で上下。ユーロ円相場も121
円20銭〜30銭に上昇してもみ合い。

トランプ大統領は、小幅な利下げでは不十分、と発言。欧州では合
意なきEU離脱懸念からポンド安が続いた。発表されたダラス連銀製
造業活動指数(7月)は▲6.3と3か月連続でマイナスとなったが生
産と受注は改善した。

火曜日の東京市場では一時円高に振れた。この日は日銀金融政策決
定会合の2日目で結果が昼頃に公表された。

先行き物価モメンタムが損なわれる恐れが高まる場合には躊躇なく
追加的な措置を講じると明記。ただ現在のフォワードガイダンス、
当分の間少なくとも2020年春頃まで現在の極めて低い長短金利の水
準を維持することを想定している、は維持された。

市場の一部にはフォワードガイダンスがより緩和寄りに強化される
との思惑もあっただけに一時円高となった。ドル円相場は108円80
銭〜90銭で推移したが60銭に、ユーロ円相場も121円20銭〜30銭で
始まった後、121円ちょうどを中心とした上下に。

日経平均は21,600円台後半で高寄りし750円中心の値動き。ただ後
場は伸び悩み、21,650円〜700円で推移して引けは21,700円近辺。

黒田総裁は会見で躊躇なく追加的な措置を講じるとのスタンスを強
調した。海外市場のドル円相場は108円50銭〜70銭で上下し引けは
108円60銭近辺。ユーロ円相場は121円10銭〜20銭。ユーロドル相場
は1.1150〜60。

米国株は小動き、小幅安。この日、FOMCの初日が開催され翌日の結
果待ちに。米長期金利は小動きで10年債利回りは2.06%。

米国の個人所得・消費支出(6月)は概ね予想通りで堅調。消費者
信頼感指数(7月)は135.7と前月124.3から改善した。またこの日
は米中協議が再開し上海で行われた。

水曜日の東京市場のドル円相場は108円60銭中心に小動き横ばい。
ユーロ円相場も121円10銭〜20銭で、ユーロドル相場も1.1150〜60
でもみ合い。その後海外市場にかけてややユーロ安となりユーロ円
相場は120円80銭台、ユーロドル相場は1.1120台に下落。

日経平均は21,500円台半ばで安寄りし500円割れ。後場は21,500円
台半ばで上下し引けは21,500円台前半。

中国で発表された製造業PMI(7月)は49.7と引き続き景況感の分か
れ目である50を下回ったが前月49.4からやや改善した。

米国の経済指標はADP雇用報告(7月)が雇用者数・前月比+156千人
とややしっかり目の数字。一方シカゴ購買部協会景気指数(7月)
は44.4と前月49.7から悪化した。

注目のFOMCの結果は日本時間木曜日の未明午前3時に公表。政策金
利であるFF金利の誘導目標レンジを2.00%〜2.25%へ0.25%引き下げ
ることを決定。利下げ実施は10年半ぶり。また資産売却(バランス
シート縮小)の終了を予定より2か月前倒しし8月1日で終えること
とした。

結果は予想通りで直後の市場の反応は鈍かった。その後行われたパ
ウエル議長の記者会見では、今回の利下げが中長期的な利下げサイ
クルの一環ではない、予防的な措置であると、とされ、今後の利下
げに慎重な姿勢が示された。

2年債利回りは1.87%に上昇。一方で10年債利回りは低下して2.01%
に。2年債と10年債の金利差は縮小した。

ドル円相場は一時109円をつけたが反落して108円70銭〜80銭。ユー
ロドル相場は下落して1.1070近辺。ユーロ円相場は120円50銭に下
落。米国株は金融緩和期待の後退で大幅下落。

木曜日の東京市場ではドル高円安基調。ドル円相場は108円70銭台
で始まり109円20銭近辺に上昇してもみ合い。

ユーロ円相場は120円40銭台で始まり60銭中心にもみ合い。ユーロ
ドル相場は1.1080で始まり1.1040中心に上下した。

日経平均は米国株の大幅下落を受けて21,300円で安寄りしたが、ド
ル円相場の堅調推移を受けて戻し21,500円中心にもみ合い引けた。
上海で実施されていた米中通商閣僚級協議では明確な進展がないま
ま終了。海外市場に入るとトランプ大統領が対中追加関税の発動を
発表したことが市場にショックを与えた。

米中協議が続くなか、トランプ大統領は対中関税第4弾、3,000億ド
ルの対中輸入品に対する追加関税を9月1日から発動することを突如
発表。市場にリスク回避が急速に広がった。

じり高に推移していた米国株は大幅安。米長期金利は急低下。2年
債利回りは1.74%。10年債利回りは1.90%。為替市場では円が全面高。
ドル円相場は109円から107円40銭に急落。

ユーロ円相場も119円ちょうど中心に大幅安となり上下。ユーロド
ル相場は1.1180〜90にユーロ高ドル安となった。また発表された米
ISM製造業景気指数(7月)は51.2と前月51.7から悪化して2016年8
月以来の低水準となった。

金曜日の東京市場のドル円相場は107円30銭台で始まり一時50銭に
戻したが、午前中には107円割れ。107円ちょうど〜10銭を中心に上
下した。ユーロ円相場も119円ちょうどで始まり下落して118円60銭
中心に上下。

日経平均は大幅安寄り。21,100円近辺で始まり軟調で21,000円割れ。
後場は持ち直したが21,070円近辺で週末の取引を終えた。

海外市場に入ると円はさらに全面高。ドル円相場は106円80銭に、
ユーロ円相場は118円40銭に下落。

一部報道で、トランプ大統領が対中制裁の発動の延期ないし中止に
オープン、と報じられ一時107円をつける場面もあったがすぐに下
落して106円60銭中心に上下して週末NYの取引を終えた。

ユーロドル相場は1.1110中心に上下。ユーロ円相場は118円40銭近
辺で引け。米国株は続落。米長期金利はさらに低下。2年債利回り
は1.71%、10年債利回りは1.84%。

発表された米雇用統計(7月)は、非農業部門雇用者数・前月比が+
164千人と予想通り、失業率は3.7%で前月と変わらず、平均時給・
前年同月比は+3.2%と前月+3.1%から小幅上昇してこれも予想通り。
ただ米中通商摩擦への不安感が市場を支配した状況のまま週末の取
引を終えた。
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2019 年 7 月 29 日
MRA外国為替レポート(7月29日号)
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1.先週の市場総括
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先週はドルが週央から週末にかけて対ユーロ、対円で上昇した。ド
ル円相場は107円70銭近辺で始まり108円70銭に上昇して引け。

ユーロドル相場は1.1220近辺で始まり週末の引けは1.1130。ユーロ
円相場は121円ちょうど近辺で始まり一時120円ちょうどに迫り下落
したが、週末にかけて反発して121円近辺に戻して週初と同水準で
引けた。

木曜日に開催されたECB理事会(金融政策決定会合)では政策金利
は据え置きとなったが、2020年半ばまで現状かより低い水準に維持
する、として追加利下げが示唆された。

明確な緩和スタンスが示されたことで欧米の長期金利は一時低下。
ユーロは下落。ただ米国の経済指標が強かったことで米長期金利は
週初に比べ上昇。ドルを支えた。

米国株は決算を受けてまちまちな値動き。長期金利の低下が一服し
たこともあり週末にかけて上値重く横ばい圏の値動きとなった。日
経平均は21,400円近辺で始まり概ね堅調な展開で21,800円に上昇。
ただ週末にかけては伸び悩み21,650円近辺で引けた。

月曜日の東京市場ではやや円安。ドル円相場は107円70銭台で始ま
った後上昇して108円を中心に上下。

ユーロ円相場は120円80銭〜90銭で始まり上昇した121円ちょうど〜
10銭で上下した。ユーロドル相場は1.1220中心に方向感なく上下も
み合い。

日経平均は21,350円近辺で始まり350円〜400円でもみ合い引けは
21,400円。

海外市場では米国株が上昇。決算発表が佳境に入るなか、ハイテ
ク・半導体関連の見通し引き上げでナスダックが大きく上昇した。
米長期金利は横ばい、10年債利回りは2.05%。ドル円相場は107円90
銭中心に方向感なく上下動のまま。

火曜日の東京市場のドル円相場は107円90銭で始まり底固い値動き。
海外市場にかけて108円台に上昇し10銭〜20銭でもみ合い。

アジア時間はドルが堅調。ユーロドル相場は1.1210から夕刻には1.
1180へ下落。ユーロ円相場は120円90銭〜121円ちょうど近辺でもみ
合い。

日経平均は前日の米国株がハイテク中心に上昇したことを好感し、
またドル高円安も支えとなり上昇。21,400円近辺で寄り付き21,600
円近辺に上昇してもみ合い。後場は650円まで上昇し引けは21,620
円。

海外市場では米国株が一部良好な決算を受けて続伸。米中通商交渉
に関して来週にも閣僚級会合を開催と伝えられたことで、午後に上
昇を拡大した。

米長期金利は小幅上昇し、2年債利回りは1.84%、10年債利回りは
2.08%。為替市場ではユーロ安ドル高基調。ユーロドル相場は
1.1150近辺に下落してもみ合い。ユーロ円相場は120円50銭に下落
して引けは120円70銭。ドル円相場は堅調で108円20銭〜30銭で引け
た。

リッチモンド連銀製造業指数(7月)は▲12と前月3から大きく悪化。
IMFは世界経済見通しを公表。世界全体の成長率は今年3.2%と4月時
点の3.3%から0.1%ポイント下方修正。2020年は3.5%の見通しとした
が、その達成は心もとない、とダウンサイドリスクを示した。

水曜日の東京市場のドル円相場は108円20銭で始まりじり安。夕刻
には108円ちょうど近辺。ユーロ円相場も120円60銭〜70銭で始まり
じり安。ユーロドル相場は1.1150で始まり40〜60で上下。

日経平均は21,700円で小幅高寄りした後はもみ合い小動きでそのま
ま引け。海外市場に入ると欧州の弱い経済指標にユーロが下落。

欧州のPMI景況感指数(7月)はドイツの製造業が43.1と予想45.1、
前月45.0を大きく下回った。欧州の長期金利が低下。ユーロ円相場
は120円20銭近辺に一時下落した。

米国の長期金利も連れてやや低下。2年債利回りは1.82%、10年債利
回りは2.05%。

米国のPMI景況感指数(7月)も製造業が50.0と景況感の分かれ目ま
で悪化した。米国株はまちまち。ハイテクは堅調でナスダックは上
昇したが、一部決算が悪くダウは下落。ドルは堅調で、ドル円相場
は108円20銭にじり高。ユーロ円相場は120円40銭〜50銭でもみ合い。

木曜日のドル円相場は108円20銭で始まり10銭〜20銭でもみ合い横
ばい。ユーロドル相場は1.1130〜40でもみ合い。ユーロ円相場は
120円50銭で始まりじり安。欧州時間のECB理事会を前に様子見、動
意に欠けながら、ややユーロが軟調。

日経平均は21,750円で小幅高寄りして750円〜800円でもみ合い引け
た。

発表されたドイツのIFO景況感指数(7月)は95.7と前月の97.4から
悪化。ECB理事会では、従来2020年半ばまで政策金利を現状かより
低い水準に維持する、として追加緩和を示唆した。インフレ目標に
ついても、中期的に2%弱、としていた文言を削除。2%超を容認する
「目標の対称性」にコミットするスタンスへ。量的緩和の拡大と利
下げによる金融機関への副作用を検討するように指示された。

市場では9月の利下げを織り込む展開。欧州長期金利は低下。これ
を受けてユーロは下落。ユーロドル相場は1.1110へ、ユーロ円相場
は120円ちょうどに迫る下落。

ただドラギ総裁が現時点で景気後退のリスクは少ないとしたことで
ユーロは下げ止まり。ユーロドル相場は1.1140〜50。米国の長期金
利も欧州に連れて低下して10年債利回りは一時2.02%に。

しかしその後発表された強い米国の耐久財受注の数字を受けて2.08
%に急反発した。

耐久財受注(6月)は前月比+2.0%と予想を大きく上回る伸び。設備
投資が失速するとの見方が後退し、利下げが予防的にとどまるとの
見方が広がった。ドル円相場は上昇して108円70銭中心に上下。

ユーロ円相場も急速に持ち直し121円10銭〜20銭で引け。米国株は
米中摩擦の影響を受けた決算が重しとなり下落。ナスダックも史上
最高値から下落した。

金曜日の東京市場の為替相場は小動き。ドル円相場は108円60銭〜
70銭近辺でもみ合い。ユーロはやや軟調で、ユーロドル相場は
1.1150から1.1130へ、ユーロ円相場は121円10銭から121円ちょうど
近辺へじり安。

日経平均は21,600円台後半で安寄りし軟調。21,600円台前半でもみ
合い引けは21,650円。海外市場では米国株が反発。S&P500指数やナ
スダック指数は史上最高値を更新。NYダウは上値の重い展開。

発表された米国のGDP(4〜6月)は前期比年率+2.1%と前期の+3.1%
から減速したが予想+1.7%より強め。個人消費は前期比+4.3%と強い
数字だった。

ただ米長期金利は横ばいで10年債利回りは2.07%。ドル円相場は108
円70銭中心に小動き。ユーロドル相場は1.1130近辺、ユーロ円相場
は120円90銭〜121円ちょうどで引けた。
詳細を見る
2019 年 7 月 22 日
MRA外国為替レポート(7月22日号)
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1.先週の市場総括
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先週のドル円相場は108円近辺で始まり、週前半は強めの米経済指
標を受けて108円割れは底固く推移した。しかしトランプ発言で米
中通商交渉への懸念がやや強まると株価が軟調となるなか107円台
に下落。加えてNY連銀総裁が早期かつ大幅な利下げを示唆するよう
な発言をしたことで金曜日未明には107円台前半に下落した。

ただその後NY連銀が発言の趣旨を修正する異例のコメントを出した
ことで持ち直し。107円台後半で取引を終えた。

ユーロドル相場は1.12台でユーロ安ドル高傾向。週末にNY連銀発言
で一時ユーロ高ドル安に振れたが1.12台前半で引け。ユーロ円相場
は121円台でじり安。ユーロ安円高傾向で引けは121円ちょうど近辺。

米国株は上昇一服。米中通商交渉への懸念が意識され、利下げ期待
をエンジンとする上昇は一服。決算発表を見極める展開。

日経平均は21,500円近辺で始まり上値の重く一時21,000円を割り込
んだ。ドル安円高が嫌気され、また日韓対立や半導体市場への懸念
も重しに。ただ週末には戻して21,400円台後半で引け。

月曜日の東京市場は祝日で休場。アジア時間のドル円相場は107円
90銭で始まり一時108円台に乗せたが海外市場は107円90銭中心にも
み合い小動き。

ユーロドル相場は1.1270で始まり海外市場では1.1260近辺でもみ合
い。ユーロ円相場は121円50銭で始まり一時80銭に上昇したが、海
外市場では反落して121円40銭〜50銭で引けた。

アジア時間に発表された中国の6月の主要経済指標は総じて強め。
小売売上高は前年同月比+9.8%(予想+8.3%、前月+8.6%)、工業生
産は同+6.3%(同+5.3%、+5.0%)、都市部固定資産投資は同+5.8%
(同+5.5%、+5.6%)。

一方、GDP(4-6月期)は前年同期比+6.2%と前期+6.4%から減速して
1992年以降で最低となったが予想通り。

米国で発表されたNY連銀製造業景気指数(7月)は4.3と予想2.0、
先月▲8.6を上回り強い数字となった。米国株は小幅高ながらダウ
は史上最高値を更新。米長期金利は小幅低下して10年債利回りは
2.09%。2年債利回りは1.83%。

火曜日の東京市場のドル円相場は107円90銭で始まり底固く夕刻に
は108円10銭に上昇。

午後から欧州時間にかけてはユーロが下落。ユーロドル相場は
1.1260近辺で始まり海外市場に入ると1.1210〜20で上下。ユーロ円
相場は121円50銭で始まり60銭近辺に上昇してもみ合いとなったが、
海外市場にかけて121円10銭に下落した。

ドル円相場もつれて107円90銭に下落。ドイツZEW景況感指数(7
月)が期待指数▲24.5(予想▲23.5、前月▲21.1)と弱い数字だっ
た。

3連休明けの日経平均は21,600円台前半で安寄りし21,500円台後半
に下落。後場は21,500円〜550円でもみ合い引けた。

米国株は小幅安。トランプ大統領が、中国との交渉はなお遠い道の
り、追加関税をかけることも可能、と発言したことが株価を圧迫し
た。

一方、米国の経済指標は良好。小売売上高(6月)は前月比+0.4%
(予想+0.2%、前月+0.5%)、製造業生産(6月)は同+0.4%(予想
+0.2%、前月+0.2%)。

個人消費が堅調な数字となったことで米長期金利は上昇。10年債利
回りは2.11%、2年債利回りは1.85%。ドル円相場は反発して108円30
銭中心に推移。ユーロドル相場は1.1210、ユーロ円相場は121円30
銭台。

水曜日の東京市場のドル円相場は108円20銭台で底固い値動きとな
り30銭近辺に小じっかり。ユーロ円相場は121円30銭中心で上下し
た後、海外市場にかけて40銭〜50銭で上下した。

日経平均は21,400円台後半で安寄りし400円割れ。ただ後場には持
ち直して21,400円台後半で引けた。欧米株も軟調。米国株は午後か
ら引けにかけて下げが加速するかたちで前日比下落した。

前日のトランプ発言で米中交渉への警戒感が強まったほか、貨物輸
送大手が決算で弱気な見通しを示したことも一因。

発表された米国の住宅着工件数(6月)は季節調整済み年率換算
1,253千戸と予想、前月からやや減少した。米長期金利は低下。10
年債利回りは2.05%に。ドル円相場は108円割れ、107円90銭近辺で
引け。

ユーロ円相場は121円10銭〜20銭に下落。ユーロは対ドルではやや
上昇して1.1220〜30でもみ合い。

発表されたベージュブック(米地区連銀経済報告)では、景気は緩
やかに拡大している、として景況感を維持。貿易摩擦にもかかわら
ず消費支出は堅調。労働市場は逼迫。米経済の全般的な見通しは概
ね明るい、とした。

一方詳細部分で、企業はサプライチェーンや関税、その他への対応
を急いでおり、輸送企業が弱含み、製造業に重しとなっている、と、
利下げの可能性も示した。

木曜日の東京市場ではやや円高ドル安の動き。ドル円相場は107円
90銭で始まり弱含み、107円70銭を中心としたもみ合い。ただその
後は米長期金利がじりじりと上昇したことから海外市場にかけて
108円近辺に上昇した。ユーロ円相場は121円ちょうど近辺で上下し
た。

日経平均は米株安とドル安円高を嫌気して21,300円近辺で安寄りす
ると、その後も後場にかけて軟調な展開となり一時21,000円割れ。
韓国中銀がさらなる景気悪化懸念から早期利下げに動くと不安心理
が広がったことも一因。

引けは21,000円をかろうじて保った。海外市場では米10年債利回り
が2.07%に、2年債利回りが1.84%に小幅ながらも上昇したことで米
国株は下落。

発表されたフィラデルフィア連銀製造業景気指数(7月)は21.8と
予想5.0を大きく上回り、前月0.3から大幅な改善を示した。ただそ
の後、NY連銀総裁が、現在の中立金利は0.5%程度、景気悪化に直面
した場合はすみやかに予防的な行動をすべき、と発言したことで、
市場は7月会合での0.5%利下げを7割がた織り込んだ。

米10年債利回りは2.03%に、2年債利回りは1.76%に低下。米国株は
持ち直し前日比同水準に戻して引け。ドルは下落し、ドル円相場は
107円30銭に。ユーロドル相場も1.1270台にユーロ高ドル安が進ん
だ。

金曜日の東京市場のドル円相場は107円30銭で始まり夕刻には60銭
〜70銭に持ち直し、海外市場にかけては70銭中心の値動き。ユーロ
ドル相場もユーロ高ドル安が一服し1.1220〜30にユーロ安ドル高と
なった。

アジア時間にNY連銀から、総裁の発言はFOMCに関するものではなく、
調査に基づく学術的な内容、と異例のコメントが発表されたことで
大幅な利下げ期待が後退し米10年債利回りが2.02%から2.05%に上昇。
ドルが反発した。

日経平均は21,100円台半ばで始まり終始堅調で21,400円台後半に上
昇して引けた。米国株は小幅高で始まりもみ合い。ただ引けにかけ
て下落した。

米長期金利は上昇。2年債利回りは1.82%、10年債利回りは2.06%。
ドル円相場は108円に接近したが反落して107円70銭台で引け。ユー
ロドル相場は1.12ちょうどに接近し、引けは1.1220近辺。

ミシガン大学消費者信頼感指数(7月)は98.4と前月98.2から小幅
改善して予想通り。

セントルイス連銀総裁は、現時点で利下げは必要かもしれないが大
幅な利下げに乗り出すわけではない、現時点で利下げを排除するこ
とは難しく0.25%の利下げ実施が適切、と述べた。
詳細を見る
2019 年 7 月 15 日
MRA外国為替レポート(7月15日号)
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1.先週の市場総括
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先週のドル円相場は前週末の強い雇用統計を受けて過度な利下げ期
待が後退し週前半は底固い値動き。108円台半ばから後半で推移し
109円ちょうどに迫る場面もあった。

しかし週央のFRBパウエル議長の議会証言で利下げに前向きな姿勢
が示されると、再び7月の会合で0.5%の利下げが実施されるのでは
ないかとの思惑が台頭。米2年債利回りの低下とともにドルを押し
下げた。

ドル円相場は木曜日の東京市場で108円割れ。その後は米国株高や
長期金利の反発に108円台半ばに戻したが、週末にかけて円が全般
的に強含んだこともあり、ドル円相場は108円割れで週末NYの取引
を終えた。

ユーロは、週前半はややユーロ安ドル高に振れて1.12ちょうどをつ
けたが、後半はユーロ高ドル安に転じて引けは1.1270。ユーロ円相
場は121円台後半で始まり122円台に乗せたが、週末には121円台後
半に押し戻された。

米長期金利は、週前半は過剰な利下げ期待の後退から10年債利回り
が反発。インフレ指標が強めだったことや30年債の入札が不調だっ
たことから一時2.15%に上昇した。一方2年債利回りは週末にかけて
1.84%に低下した。

米国株は金融緩和期待から上昇。主要指数は週末にかけて連日史上
最高値を更新した。そうしたなか日経平均は、米国株高とドル安円
高に挟まれ底固いながらも21,600円台から上放れることはできず。

月曜日の東京市場のドル円相場は前週末の強い雇用統計をうけたド
ル堅調のまま108円40銭台で始まり50銭に上昇。株安を受けて30銭
に下落したものの底固い値動きとなり、夕刻から海外市場にかけて
ジリ高となり60銭〜70銭でもみ合い。

ユーロ円相場は121円70銭で始まり朝方一時90銭に上昇したが50銭
に押し戻された。その後は堅調さを取り戻し海外市場では121円90
銭台に上昇した。

日経平均は利下げ期待後退を受けた前週末の米国株下落を受けて
21,650円〜600円に安寄りしてスタート。その後もじり安となり後
場は21,500円〜550円でもみ合い引けた。

米長期金利は小幅上昇し10年債利回りは2.05%。米国株は過剰な利
下げ期待が後退したことで、この日も軟調となった。

火曜日の東京市場のドル円相場は108円70銭台で始まり80銭〜90銭
でもみ合い。ユーロ円相場は121円90銭で始まり122円台を回復して
122円中心に上下。ユーロドル相場は1.1210〜20でもみ合い横ばい
の後、ドルが堅調となるなか一時1.12を割った。

日経平均は21,600円台で高寄りしたがジリ安。前日同様21,500円〜
550銭でもみ合い引けは21,550円近辺。

海外市場では米長期金利が小幅ながらさらに上昇。10年債利回りは
2.07%に、2年債利回りは1.92%に。米国株は安寄りした後持ち直し、
個別に上下するまちまちな展開。ただNYダウは利下げ期待の後退で
3日続落となった。

フィラデルフィア連銀総裁は、現時点で利下げの必要はない、と発
言。アトランタ連銀総裁は、利下げについて話し合っていることを
認めた。

水曜日の東京市場のドル円相場は108円80銭台で始まり109円ちょう
どに迫った。アジア時間に米10年債利回りが上昇。夕刻に一時2.11
%となったことがドルを押し上げた。

ユーロ円相場も122円ちょうど近辺から122円30銭に上昇。しかしそ
の後は軟調な展開となった。

日経平均は21,500円割れで安寄りしたのち、ドル円相場の上昇で上
値を試したが重く、21,550円中心に小動き、横ばいで引けた。

海外市場ではパウエル議長の議会証言待ちとなるなか、事前にテキ
ストが公表されると、ハト派な内容との見方から米長期金利が低下
しドルが下落した。

米10年債利回りは2.06%に、2年債利回りは1.83%に大きく低下。ド
ル円相場は108円50銭〜70銭で上下。ユーロドル相場は1.1210から
1.1240〜50に上昇。

パウエル議長は下院金融委員会で日本時間23:00から証言。貿易問
題での緊張を巡る不確実性と世界経済の強さに対する懸念が引き続
き重しとなっている、とし、6月の雇用統計の強い数字は金融当局
の見方を変えていない、とした。

弱いインフレ指標が予想している以上に長引くリスクを注視、企業
投資の伸び鈍化や世界的な景気減速、住宅投資と工業生産が鈍って
いる、と述べた。

こうした内容を市場はハト派と受け止め、再び7月0.5%の利下げと
の思惑が台頭した。

米国株は上昇。主要3指数が軒並み史上最高値を更新した。この日
はまた6月18日・19日に開催されたFOMC議事録が公表された。米経
済見通しを巡る不確実性や下振れリスクが堅調に高まり利下げの論
拠が強まったとした。

幾人かはリスク管理の観点から近い将来の利下げが正当化される、
とした。一方、幾人かはリスクが高まったとしつつも見通しの一段
の悪化が必要、とした。

ドル円相場は108円40銭台でもみ合い引け。ユーロドル相場は1.125
0台にユーロ高ドル安。ユーロ円相場は122円ちょうど近辺で取引を
終えた。

木曜日の東京市場のドル円相場は108円40銭台で始まり一時107円90
銭に下落。ユーロドル相場は1.1250台から1.1280にユーロ高ドル安
となった。引き続きドルが軟調。

アジア時間に2年債利回りが一時1.80近辺に低下したことがドルを
押し下げた。イラン情勢を巡り緊張が高まったことで円高となった
ことも重し。ユーロ円相場は122円ちょうどから121円60銭〜80銭に
下落した。

日経平均は21,550円で始まり600円近辺に上昇してもみ合い。後場
は一段高となり21,650円近辺で引けた。米国株が史上最高値を更新
したことを好感。海外市場に入るとドルが反発。

発表された米国の消費者物価指数(6月)はコア指数が前年同月比+
2.1%と前月および予想の+2.0%を上回る強めの数字。

米長期金利は海外時間で一本調子で上昇し、2年債利回りは1.87%、
10年債利回りは2.14%に。2年債と10年債の利回り格差は拡大。この
日行われた30年国債の入札が不調だったことも長い期間の債券の金
利上昇圧力となった。

ドル円相場は108円50銭台に反発。ユーロドル相場は1.1250〜
1.1260中心に上下。ユーロ円相場は122円10銭に反発して引けた。

米国株は寄付きから上昇し大幅高。パウエル議長はこの日は上院銀
行委員会で証言。米国経済は非常に良好としつつも、貿易摩擦に伴
う世界的な製造業低迷、景況感の悪化からくる脆弱性を相殺すべく
金融政策を活用する、と述べた。

また中立金利は従来の推定より低くなっており、金融政策はこれま
で考えられていたほど緩和的ではない、とした。連銀総裁らの発言
も相次ぎ、利下げの準備をすべきとの意見の一方、利下げの必要な
しとする意見も。

金曜日の東京市場のドル円相場は108円50銭で始まり軟調。30銭〜
50銭で上下。ユーロドル相場は1.1250〜60から70近辺に。ドルがや
や軟調。

日経平均は21,600円台半ばで始まり600円〜650円でもみ合い、後場
はジリ高となって21,685円で取引を終えた。海外市場では円が独歩
高の後、終盤にはドルが下落。利下げ期待を背景にドル先安感が勝
った。

ドル円相場は一貫して下落基調となり107円80銭をつけ、引けは107
円90銭。ユーロドル相場は1.1270にユーロ高ドル安。ユーロ円相場
は121円50銭〜60銭でもみ合い引けた。

米長期金利は小幅低下して10年債利回りは2.12%、2年債利回りは
1.84%。米国株は史上最高値を更新して大きく上昇した。

S&P500指数は終値で初めて3,000ポイントに乗せた。シカゴ連銀総
裁は、インフレ率が2%をやや上回る水準を目指すことは有益で、
2回の利下げで2.2%を達成することが可能、と述べた。
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