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MRA 商品市場レポート for PRO MRA 商品市場レポート for MANAGEMENT
MRA 外国為替レポート  

MRA 商品市場レポート for PRO

2019 年 9 月 11 日
「米中交渉進捗期待や中東緊張緩和で堅調」
━━━━━━━━━━━━━━
1.商品市況概況
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◆昨日の商品市場(全体)の総括
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「米中交渉進捗期待や中東緊張緩和で堅調」

【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は広く景気循環銘柄が物色される流れとなった。米
中交渉が進捗するのではとの期待や、米・イランの対立後退で地政
学的リスクへの懸念が後退したことが背景。

農産品は中国が貿易摩擦の鎮静化を目指して、米国からの農産品輸
入を増やすとの一部報道が純粋に材料視された。

ただし、昨日発表された中国の生産者物価指数が前月から大きく減
速したことや(詳しくはMRA商品市場レポート for PROをご参照下
さい)、リスク後退に伴う米長期金利の上昇が続いていることが、
インフレ系リスク資産価格を下押しすることとなった。

昨日最も価格が上昇したのが欧州天然ガス。域内最大の原子力発電
設備を有するフランスで、基準を満たさない部品が原子力発電所に
使用されていると報じられたことで、冬場の電力向けガス需要増加
観測が強まったことが材料となった。

一方、地政学的リスクの後退は貴金属などのいわゆる安全資産の需
要を後退させ、価格を下押しした。


【本日の価格見通し総括】
本日は目立った手がかり材料に乏しい中、昨日の米中交渉進捗期待
や、ボルトン大統領補佐官退任に伴う地政学的リスクの後退から市
場参加者のリスク選好が改善すると考えられるため、総じて景気循
環系商品価格が上昇する展開になると予想する。

ただし、これを受けて同時に米長期金利が上昇に転じており、広く
インフレ系リスク資産価格の下押し圧力となるため、上昇余地も限
定されると考える。

なお、朝方日本の法人企業統計が発表されたが、大企業全産業で先
Q419見通しが▲0.4、Q120が1.7となった。程度の差こそあれ、年明
け以降は景況感が若干改善するという見通しが示されている。

Q419の落ち込みは消費税上げの影響を織り込んだもの、来年の改善
は大統領選挙をにらんだ回復を期待したものと考えられる。


【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】
日曜日に発表された中国の貿易統計は、予想外な内容となった。米
国向けの輸出が年初来累計で▲8.9%と減速した上、米国からの輸入
は▲27.5%と大幅な落ち込みとなった。

全体で見た時でも輸出は▲1.0%(市場予想+2.2%、前月+3.3%)と市
場予想を下回った。トランプ政権の追加関税前の駆け込み需要が輸
出を押し上げると想定されたが、それ以上に落ち込んでいる。

また、中国の国内需要動向を示す輸入に関しても、▲5.6%(▲6.4%、
▲5.3%)と市場予想こそ上回ったものの、1-7月期からは減速して
いる。やはり中国の国内環境はあまり好ましくない方向に向かって
いる可能性が高い。

通常、中国の統計はその正確性の疑義が議論となるが、仮に調整し
ていたとしてもそれでも悪くなっている統計を見るに、中国の実態
は統計数値に表れているよりも強くない、と考えるのが合理的だろ
う。

なお、昨日発表された生産者物価指数は、▲0.8%(▲0.9%、▲0.3
%)と市場予想を若干上回ったが減速感が強い。企業物価指数の減
速はやはり景気減速のサインである。

消費者物価指数は+2.8%(+2.7%、+2.8%)は市場予想を上回ったが、
これは豚コレラの影響で食品価格が高騰している影響が大きく、特
に景気が回復して上昇したものではないことは付言しておきたい。

週末発表された雇用統計は、やや弱めの内容となった。ただし悪い
内容ではなかった。

雇用者数は前月比+13万人(市場予想+16万人、前月+16.4万人)と
市場予想、前月も下回った。

ただし、失業率は3.7%(3.7%、3.7%)と労働参加率が63.2%(前月6
3.0%)に上昇したにも関わらず、低い水準を維持している。時間給
も前月比+0.4%(+0.3%、+0.3%)と伸びが加速、労働時間も34.4時
間(34.4時間、34.3時間)と増加し、雇用市場が引き続きタイトで
あることを確認させる内容だった。

ではこれは利下げを止めるほどの内容だったか、というと少なくと
もパウエル議長はそのように判断してはいなかったようだ。

スイスのチューリッヒで開催されたパネル討論で、「我々は今後も
そうした要素すべて、また現在起きているあらゆる地政学の状況を
注視していく。そしてこの景気拡大を維持するために引き続き適切
に対処する。ただしリセッションは想定していない」と発言した。

すなわち、米国経済が良好であっても、地政学的な不安があれば利
下げを行う、というロジックでトランプ大統領からの圧力に屈し、
今そこまで必要とは思われない利下げを正当化しようとしていると
もとれる。

世界景気が減速しているのは確かであるが、選挙を意識した早めの
利下げは現在の日銀のように「実際に危機が訪れた時」ののりしろ
を削ってしまうため、やはり先々のリスクを高めるものと考えてお
くべきだろう。


【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】
(マクロ要因)
・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標再びの減速(価格下落要
因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ
(+3.3%→+3.2%)ている。2020年は+3.5%(▲0.1%)に戻る楽観見
通しであるが、米中交渉の決裂懸念など、引き続きリスクは下向き
としている。

・FRBの利下げの可能性が再び高まる。世界経済の悪化懸念を材料
にFRBは利下げ方向に舵を切っている。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格
の上昇要因(Q219の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.4%と1992年の
統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々
に顕在化している形。


・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要
の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。


(特殊要因)
・米中通商交渉は、相互が制裁強化を決定、さらに関係が悪化した。
今後仮に進捗があったとしても、通商協議の根本解決には複数年単
位の時間が必要で、その間世界経済がさらに減速する場合(下落要
因)。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧
州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの
強まり(下落要因)。

・中東情勢の緊張緩和を受けた域内景気への悪影響緩和期待(上昇
要因)。ただし根本解決には時間がかかり、引き通D期域内景気の
混乱と、それを受けた欧州景気への悪影響拡大懸念は払しょくでき
ず(下落要因)

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。ジョンソン首相は英
議会の休会を決定、ハードブレグジットはほぼメインシナリオに。
また、EUにブレグジットの影響が波及するリスク(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下
落要因)。

・日韓対立によるハイテク分野の市場混乱や、極東地区の地政学的
リスクの高まり(下落要因)。


(投機・投資要因)
・米利下げ観測の高まりで長短金利逆転状況が解消し、金融株を中
心に株が上昇、リスクテイク再開で景気循環系商品価格にプラスの
影響を与える場合。
詳細を見る
2019 年 9 月 9 日
「景気循環銘柄は緩和期待で上昇」
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1.商品市況概況
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◆昨日の商品市場(全体)の総括
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「景気循環銘柄は緩和期待で上昇」

【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は景気循環系商品が物色され、非景気循環系商品が
売られる流れが続いた。

地政学的リスク(香港、イタリア、英国など)が若干後退する中で
市場参加者のリスクテイク意欲が回復、株価が上昇し、リスク資産
価格の押し上げ要因となった。しかし、同時に長期金利が上昇した
ため一時的に水準を切り下げる動きとなった

その後、弱めの雇用統計が発表されたこと、パウエル議長が追加利
下げに前向きな姿勢を示したことで、引けにかけては金融面が価格
を押し上げることとなった。


【本日の価格見通し総括】
週明け月曜日は目立った手がかり材料がない中、まったく進捗して
いない英国議会の動向をにらみながら、リスク回避の動きが強まる
ものと考えている。

英国議会が1ヵ月強の休会に再度突入することでこの間、議論の進
捗が期待できなくなり、基本的にはハードブレグジットを覚悟しな
ければならない状況に陥っている。

ただ、足元は米FRBが「世界景気の不透明さ」と「景気拡大の維
持」を目的として利下げを行う可能性が確実視されており、金融面
で景気は支えられることになるだろう。


【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】
週末発表された雇用統計は、やや弱めの内容となった。ただし悪い
内容ではなかった。

雇用者数は前月比+13万人(市場予想+16万人、前月+16.4万人)と
市場予想、前月も下回った。

ただし、失業率は3.7%(3.7%、3.7%)と労働参加率が63.2%(前月6
3.0%)に上昇したにも関わらず、低い水準を維持している。時間給
も前月比+0.4%(+0.3%、+0.3%)と伸びが加速、労働時間も34.4時
間(34.4時間、34.3時間)と増加し、雇用市場が引き続きタイトで
あることを確認させる内容だった。

ではこれは利下げを止めるほどの内容だったか、というと少なくと
もパウエル議長はそのように判断してはいなかったようだ。

スイスのチューリッヒで開催されたパネル討論で、「我々は今後も
そうした要素すべて、また現在起きているあらゆる地政学の状況を
注視していく。そしてこの景気拡大を維持するために引き続き適切
に対処する。ただしリセッションは想定していない」と発言した。

すなわち、米国経済が良好であっても、地政学的な不安があれば利
下げを行う、というロジックでトランプ大統領からの圧力に屈し、
今そこまで必要とは思われない利下げを正当化しようとしていると
もとれる。

世界景気が減速しているのは確かであるが、選挙を意識した早めの
利下げは現在の日銀のように「実際に危機が訪れた時」ののりしろ
を削ってしまうため、やはり先々のリスクを高めるものと考えてお
くべきだろう。


【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】
(マクロ要因)
・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標再びの減速(価格下落要
因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ
(+3.3%→+3.2%)ている。2020年は+3.5%(▲0.1%)に戻る楽観見
通しであるが、米中交渉の決裂懸念など、引き続きリスクは下向き
としている。

・FRBの利下げの可能性が再び高まる。世界経済の悪化懸念を材料
にFRBは利下げ方向に舵を切っている。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格
の上昇要因(Q219の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.4%と1992年の
統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々
に顕在化している形。


・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要
の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。


(特殊要因)
・米中通商交渉は、相互が制裁強化を決定、さらに関係が悪化した。
今後仮に進捗があったとしても、通商協議の根本解決には複数年単
位の時間が必要で、その間世界経済がさらに減速する場合(下落要
因)。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧
州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの
強まり(下落要因)。

・中東情勢の悪化を受けた域内景気の混乱と、それを受けた欧州景
気への悪影響拡大(下落要因)

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。ジョンソン首相は英
議会の休会を決定、ハードブレグジットはほぼメインシナリオに。
また、EUにブレグジットの影響が波及するリスク(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下
落要因)。

・日韓対立によるハイテク分野の市場混乱や、極東地区の地政学的
リスクの高まり(下落要因)。


(投機・投資要因)
・米利下げ観測の高まりで長短金利逆転状況が解消し、金融株を中
心に株が上昇、リスクテイク再開で景気循環系商品価格にプラスの
影響を与える場合。
詳細を見る
2019 年 9 月 6 日
「米中対立後退期待で景気循環系商品買われる」
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1.商品市況概況
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◆昨日の商品市場(全体)の総括
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「米中対立後退期待で景気循環系商品買われる」

【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は景気循環系商品が物色され、非景気循環系商品が
売られる流れとなった。

香港、イタリア、英国の政情不安が一旦後退したことに加え、米中
通商協議が10月に行われるとの見方が示されたこと、さらには米国
時間に発表されたISM非製造業指数が市場予想を上回る内容となり、
景気への過度な懸念が後退したことが材料となった。

これを受けて貴金属や穀物、その他の農産品などの非景気循環系商
品は総じて売られる流れとなった。


【本日の価格見通し総括】
本日は、世界的に政治的な不安が後退する中でリスクオンのトーン
が強まるが、やはり米国時間に発表される米雇用統計を控えてアジ
ア〜欧州時間は様子見気分が強まると予想する。

米雇用統計は前月比+16万人(前月+16.4万人)と比較的高い水準を
維持する見込みであり、平均時給の伸びも前月比+0.3%(+0.3%)、
前年比+3.0%(+3.2%)と比較的落ち着いた内容になると考える。

実需面では景気循環系商品価格のプラス要因となるが、金融緩和期
待が後退するため金融面では売り材料となる。足元、金融政策動向
がより価格に影響を与えているため、むしろ売り材料になるとみて
いる。


【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】
昨日、中国商務省が、米国で10月前半に閣僚級協議を開催すること
で調整していると伝え、米国側もこれを肯定した。

両国とも景気の減速観測が強まり、国民からの支持率が低下すると
の懸念が強まっていることが会合開催の圧力となっているようだ。

しかし、米国側は中国に対する強硬姿勢維持方針は超党派で一致し
ているとみられ、中国があきらめるまで継続すると考えられる。

その一方で習近平は米国との通商戦争の長期化を覚悟するよう、各
方面に指示をしており、メンツの観点からも簡単に降りてくると思
えない。よって、今回会合が開催される、というニュースに市場は
安直に反応しているが、場合によると会合自体が開催されない可能
性は否定できない。

問題はこうしたニュースのヘッドラインに反応する、自動取引が市
場を席捲している点である。恐らくネガティブなニュースが出た瞬
間、リスク資産価格は大きな下落となるだろう。高速取引が可能な
現在、ニュースに敏感に反応して細かく鞘取りをするほうが確実だ
からだ。

こうした「高ボラティリティ時代」にいることを、忘れてはならな
い。


【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】
(マクロ要因)
・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標再びの減速(価格下落要
因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ
(+3.3%→+3.2%)ている。2020年は+3.5%(▲0.1%)に戻る楽観見
通しであるが、米中交渉の決裂懸念など、引き続きリスクは下向き
としている。

・FRBの利下げの可能性が再び高まる。世界経済の悪化懸念を材料
にFRBは利下げ方向に舵を切っている。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格
の上昇要因(Q219の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.4%と1992年の
統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々
に顕在化している形。


・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要
の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。


(特殊要因)
・米中通商交渉は、相互が制裁強化を決定、さらに関係が悪化した。
今後仮に進捗があったとしても、通商協議の根本解決には複数年単
位の時間が必要で、その間世界経済がさらに減速する場合(下落要
因)。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧
州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの
強まり(下落要因)。

・中東情勢の悪化を受けた域内景気の混乱と、それを受けた欧州景
気への悪影響拡大(下落要因)

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。ジョンソン首相は英
議会の休会を決定、ハードブレグジットはほぼメインシナリオに。
また、EUにブレグジットの影響が波及するリスク(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下
落要因)。

・日韓対立によるハイテク分野の市場混乱や、極東地区の地政学的
リスクの高まり(下落要因)。


(投機・投資要因)
・米利下げ観測の高まりで長短金利逆転状況が解消し、金融株を中
心に株が上昇、リスクテイク再開で景気循環系商品価格にプラスの
影響を与える場合。
詳細を見る
2019 年 9 月 5 日
「各国政情不安後退で総じて堅調」
━━━━━━━━━━━━━━
1.商品市況概況
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◆昨日の商品市場(全体)の総括
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「各国政情不安後退で総じて堅調」

【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場はドル安の進行で自国通貨建て商品価格が下落した
他、非景気循環・非インフレ系資産が売られる流れとなった。

香港行政府が逃亡犯条例の改革案を正式に取り下げたことや、英国
議会が離脱期限延長をEUに求める法案を可決したこと、イタリアの
連立政権発足観測を受けて、政治的なリスクが後退した、と見られ
たことが買戻しの材料となった。

アルゴリズムトレードが全盛の中、詳しい内容はさておき、政情不
安の後退につながるヘッドラインニュースには市場は敏感に反応す
るようになっている。


【本日の価格見通し総括】
本日は、政治的な不安の若干の後退を受けてリスクテイク意欲が回
復、一転して上昇余地を探る商品が増えるとみている。しかし政治
的な合意は最終合意まで波乱要因となるため、景気が基本的に減速
している中ではその上昇の持続力も脆弱だ。

本日予定されている重要統計としては、米雇用統計の前哨戦である
ADP雇用統計(市場予想 前月比+14.8万人、前月+15.6万人)、製
造業受注(+1.0%、+0.6%)、ISM非製造業指数(54.0、53.7)と、
総じて良好な内容になるとみられ、価格の上昇圧力となるだろう。


【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】
昨日は各国の政治的な混乱が解消される、との見方で総じてリスク
オン的な相場となった。

英国もEUに対して離脱期限の延期を申し入れる案が可決され、ジョ
ンソン首相の解散案は否決された。

ジョンソン首相はエリザベス女王に来週から10月中旬まで議会を閉
会する要請を行い、認められているため来週から英議会は再び休会
となる。結果的にジョンソン首相は今後の打ち手を封じられた形と
なり、やや英国のハードブレグジット不安が後退した形となる。

しかし、EUが期限延長を飲むかどうかは不透明である。実際に延期
されるかどうかは英国の本気度にかかっているが、「離脱はしたい
が、損になることはしたくない」という英国人特有の我儘が顕在化
しているため、実際に延長される可能性は3割程度ではなかろうか。

また、香港デモが今回の逃亡犯条例改革案と利下げだけで鎮静化す
るとは考えにくく、改めて香港情勢不安が早晩、意識されることに
なるだろう。


【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】
(マクロ要因)
・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標再びの減速(価格下落要
因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ
(+3.3%→+3.2%)ている。2020年は+3.5%(▲0.1%)に戻る楽観見
通しであるが、米中交渉の決裂懸念など、引き続きリスクは下向き
としている。

・FRBの利下げの可能性が再び高まる。世界経済の悪化懸念を材料
にFRBは利下げ方向に舵を切っている。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格
の上昇要因(Q219の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.4%と1992年の
統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々
に顕在化している形。


・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要
の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。


(特殊要因)
・米中通商交渉は、相互が制裁強化を決定、さらに関係が悪化した。
今後仮に進捗があったとしても、通商協議の根本解決には複数年単
位の時間が必要で、その間世界経済がさらに減速する場合(下落要
因)。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧
州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの
強まり(下落要因)。

・中東情勢の悪化を受けた域内景気の混乱と、それを受けた欧州景
気への悪影響拡大(下落要因)

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。ジョンソン首相は英
議会の休会を決定、ハードブレグジットはほぼメインシナリオに。
また、EUにブレグジットの影響が波及するリスク(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下
落要因)。

・日韓対立によるハイテク分野の市場混乱や、極東地区の地政学的
リスクの高まり(下落要因)。


(投機・投資要因)
・米利下げ観測の高まりで長短金利逆転状況が解消し、金融株を中
心に株が上昇、リスクテイク再開で景気循環系商品価格にプラスの
影響を与える場合。
詳細を見る
2019 年 9 月 4 日
「景気への懸念で軟調も緩和期待が支え」
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1.商品市況概況
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◆昨日の商品市場(全体)の総括
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「景気への懸念で軟調も緩和期待が支え」

【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は米中対立の激化と、ISM製造業指数の悪化を受け
て景気循環系商品価格には下押し圧力がかかり、貴金属やその他の
農産品などの非景気循環銘柄が物色される流れとなった。

唯一好調を維持してきた米国経済も、製造業のマインドに悪化が見
られ、市場の金融緩和観測が強まっている。恐らくトランプ大統領
も、「FRBは▲1%以上の利下げをするべきだ」と、圧力を掛けると
予想される。


【本日の価格見通し総括】
本日は夜間発表の米ベージュブックと、英国のブレグジットを巡る
動向に注目が集まり、基本、リスク回避で軟調地合いとなるが、同
時に金融緩和期待が高まるため、底堅い推移になると考える。

ベージュブックでは恐らく、雇用環境は良好だが、製造業セクター、
農業セクターに減速がみられるといった内容になると考えられ、緩
和期待を高めると予想される。


英議会動向も、リスク回避姿勢を高めることになるだろう。

ジョンソン首相は、EUに対して離脱期限の延期を求める法案を与野
党が可決する見込みとなる中、仮にそれが可決されれば解散総選挙
の手続きを始めるとした。

しかし、英議会解散には、1.下院の3分の2以上の賛成、2.内閣不
信任案の可決、のいずれかが必要になり実際に解散となるかは不透
明である。解散総選挙があるなら、2.の場合だろう。

仮に解散となれば、総選挙期間中にブレグジットの期限が到来する
ため、自動的に無秩序離脱となる。世界中どこでも、「首相になり
たい、続けたい人間の政治ゲーム」に巻き込まれるのは国民だ。


【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】
昨日発表された米ISM製造業指数は市場予想を大幅に下回る内容と
なり、好不況の閾値である50を下回った。この水準を付けるのは3
年ぶりである。
グラフは以下のリンクから。


特に落ち込みが顕著だったのが新規受注で47.2となった。新規受注
はトレンド的には2017年末がピークで67.3をマークしていたが、ほ
ぼ一貫して水準を切り下げている。この47.2を付けたのは2012年の
欧州債務危機と、サブプライムショック〜リーマンショック後しか
ない。いずれも「危機発生時」の水準である。

新規受注の落ち込みの動きを見ると、トランプ政権の政策が下押し
圧力となったことは間違いないものの、トランプ減税の効果でマイ
ンド改善→その反動と利上げの影響、米中戦争の影響が下押しを加
速、という感じであり「放っておけばよかった」というのが正直な
印象だ。

しかし、景気の落ち込みが確認されたことから、9月の米利下げは
ほぼ確実だろう。問題は▲25bpなのか、▲50bpなのかということだ。
恐らく9月は▲25bpの利下げを行い、またトランプ大統領にせっつ
かれる形で12月にもう1回▲25bpの利下げ、というのがメインシナ
リオではなかろうか。

上記の通り、金融・財政政策の効果は中長期的には中立であり、
2020年に米大統領選挙をにらんで無茶をすれば、2021年の景気の減
速は想定以上に大きなものになる可能性がある。


【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】
(マクロ要因)
・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標再びの減速(価格下落要
因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ
(+3.3%→+3.2%)ている。2020年は+3.5%(▲0.1%)に戻る楽観見
通しであるが、米中交渉の決裂懸念など、引き続きリスクは下向き
としている。

・FRBの利下げの可能性が再び高まる。世界経済の悪化懸念を材料
にFRBは利下げ方向に舵を切っている。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格
の上昇要因(Q219の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.4%と1992年の
統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々
に顕在化している形。


・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要
の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。


(特殊要因)
・米中通商交渉は、相互が制裁強化を決定、さらに関係が悪化した。
今後仮に進捗があったとしても、通商協議の根本解決には複数年単
位の時間が必要で、その間世界経済がさらに減速する場合(下落要
因)。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧
州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの
強まり(下落要因)。

・中東情勢の悪化を受けた域内景気の混乱と、それを受けた欧州景
気への悪影響拡大(下落要因)

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。ジョンソン首相は英
議会の休会を決定、ハードブレグジットはほぼメインシナリオに。
また、EUにブレグジットの影響が波及するリスク(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下
落要因)。

・日韓対立によるハイテク分野の市場混乱や、極東地区の地政学的
リスクの高まり(下落要因)。


(投機・投資要因)
・米利下げ観測の高まりで長短金利逆転状況が解消し、金融株を中
心に株が上昇、リスクテイク再開で景気循環系商品価格にプラスの
影響を与える場合。
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MRA 商品市場レポート for PRO

2012 年 8 月 22 日
MRA商品市場レポート for MANAGEMENT(8月22日)
◆昨日のメタル市場総括
「欧州不安の後退と、中国の追加緩和期待で上昇」

◆今日のメタル市場見通し
「現状水準で底堅い推移。FOMC議事録に注目。」
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MRA外国為替レポート

2019 年 9 月 17 日
MRA外国為替レポート(9月17日号)号外
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1.為替市場クイックコメント
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サウジアラビアで石油精製関連施設が攻撃され原油価格が急騰。
為替市場ではドル高、産油国通貨高、となっています。


今後の円相場への影響は

1.リスク回避イベント   円高要因

2.日本の貿易収支の悪化   円安要因

の双方があり単純ではありません。
なおかつドル相場に関しては


1.ドルも安全通貨であること(リスク回避で買われる)  ドル高要


2.米国は産油国であること(シェールオイル)  ドル高要因


金融政策については
原油価格上昇は物価押し上げ圧力ですが、それによる物価上昇は、一般
経済の需給引き締まりによるものではなく、外生的なもの。

単純に、石油消費国から産油国への所得移転となり、消費国では景気悪
化。それに対して、物価をにらんで金融緩和を控えるというより、景気
へのリスクとみることになりそうです。

ここも、物価上昇圧力とみるか、景気下押し圧力とみるか、で分かれて
きます。とくに、消費に与える悪影響が大きくなるため、現在、米経済
が消費堅調が支えとなっているだけに懸念要因。


FRBは予定通り、▲0.25%の利下げを実施すると思われます。

円相場は上記のとおり、双方の要因があり、単純な為替需給ではマイナ
ス、円安要因となります。世界経済全体への悪影響、株価下落、となれ
ば、このところの円安傾向が一服することに。

地政学的リスクがさらに高まることがなければ、円も買われやすいもの
の、ドルも安全通貨として買われやすい。

結果、ドル円相場は107円台では引き続き底固く推移すると予想します。

米景気後退、世界景気後退が現実的となるようなら105円を試すことに
なりそうですが、現時点においては、リスクシナリオにとどまる。

上値は108円台では重いとみられますが、ドル円相場に関しては底固さ
は不変と考えます。
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2019 年 9 月 16 日
MRA外国為替レポート(9月16日号)
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1.先週の市場総括
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先週は前週からのリスク回避が後退する流れが続き、株価は堅調、
米長期金利は大きく上昇し、円安傾向が続いた。米中通商問題は中
国が米農産品など一部に対する追加関税の適用を除外、トランプ政
権は中国からの一部輸入品に対する追加関税引き上げを10月15日に
延期し、引き続き交渉進展期待が高まった。

ECBは金融緩和を実施。ただ追加緩和が想定しにくくなったとの見
方もあり、ユーロは堅調に推移した。米10年債利回りは前週末の
1.55%から週末には1.90%へと大幅上昇。2年債は1.53%から1.80%へ
大きく上昇し、逆イールドは解消して金利差は広がった。

ドル円相場は週初106円80銭で始まり107円台後半で上下したのち
108円台を回復したが上値重く、週末は108円10銭で引け。

ユーロ円相場は117円80銭で始まり週央には119円台に。ECB金融緩
和で一時117円台に下落したが週末には120円に接近。引けは
119円70銭台。

日経平均はリスク選好の回復、米国株の堅調、ドル円相場の上昇に
支えられ堅調。週初21,200円で始まり週末は21,400円近辺に上昇し
て引けた。

月曜日の東京市場のドル円相場は106円80銭で始まり早々に107円を
つけた。日経平均は21,200円台で寄り付き上昇、21,300円近辺でも
み合い横ばいとなり引けは300円台。前週からのリスク選好回復の
流れが続き株高・円安傾向。中国株・上海総合指数は景気対策を好
感して7月初以来の水準に上昇した。

海外市場では米長期金利がボトムアウト感からの上昇が続き、10年
債利回りが1.65%、2年債利回りが1.59%に上昇。米国株はまちまち
だったが、ディフェンシブ銘柄が調整。リスクへの備えを緩める動
き。

ドル円相場は107円ちょうどを中心に上下した後、一段高。引けは
107円20銭。ユーロ円相場は東京市場では117円80銭で始まり118円
台に上昇すると海外市場では118円50銭で引けた。

火曜日の東京市場のドル円相場は107円20銭台で始まり一時50銭に
上昇。その後は20銭〜40銭で上下した。ユーロ円相場は118円50銭
で始まり118円60銭中心にもみ合い。ユーロドル相場は1.1040〜50
近辺で概ね横ばいもみ合い。

日経平均は引き続き堅調。海外投資家の買いも支えとなり21,350円
で始まり400円台に。350円〜400円でもみ合い、引けは21,400円近
辺。

海外市場では、米国株が引き続きまちまちの動き。セクターロー
テーション、入れ替えで業種によって上下動。そうしたなかリスク
選好回復の流れのなか米長期金利はさらに大幅上昇。10年債利回り
は1.74%、2年債利回りは1.68%。

円は一段安となり、ドル円相場は107円50銭〜60銭、ユーロ円相場
は118円70銭台に上昇して引けた。

水曜日の東京市場ではさらに小幅ながら円安が進んだ。ドル円相場
は107円50銭〜60銭で始まり午後には80銭近辺で上下。ユーロ円相
場は118円70銭台で始まり一時119円台に上昇。ただその後はユーロ
が軟調となり118円50銭に押し戻された。ユーロドル相場は1.1050
近辺から1.1020に下落。

日経平均は21,450円で始まり堅調。21,600円の高値引け。海外市場
に入ると米国株は堅調な展開となり大幅高で高値引け。米中通商交
渉の進展期待が株価を押し上げた。

中国が対米輸入品の一部に対する追加関税の見送りを発表。トラン
プ政権は中国からの一部輸入品に対する追加関税の適用を10月1日
から15日に延期するとした。

ただ米長期金利は上昇一服。10年債利回りは1.74%、2年債利回りは
1.68%で前日とほぼ同水準だった。ドル円相場は107円70銭〜80銭で
底固い値動き。ユーロ円相場は118円30銭に下落していたが持ち直
し、引けは118円50銭。ユーロは翌日にECB理事会を控えて軟調とな
り、ユーロドル相場は1.10を割り込んだが引けは1.1010。

木曜日の東京市場ではさらに円安。ドル円相場は107円80銭で始ま
り108円10銭に上昇。ユーロ円相場も118円70銭から119円ちょうど
に上昇してもみ合い。

日経平均は米国株高、堅調なドル円相場、に支えられ21,800円に一
段高で寄り付き。その後は800円中心に上下し引けは21,760円近辺。
ドル円相場は午後には押されて107円80銭〜90銭で推移。その後は
海外市場のECB理事会の結果待ち。

ECBは予想通り金融緩和を決定。中銀預金金利を現行の▲0.40%から
▲0.50%に0.10%ポイント引き下げ。債券購入を再開(11月1日から
毎月200億ユーロ)しインフレ目標に必要な限り継続、

一部超過準備についてマイナス金利を免除、フォワードガイダンス
を変更し、2%弱としているインフレ目標にしっかりと見通しが収束
していくまで現行またはそれ以下の水準にとどまる、とした(2020
年半ばまで、から変更)。

結果を受けてユーロは大幅下落。ユーロドル相場は1.1020から
1.0930へ、ユーロ円相場は119円ちょうど近辺から117円60銭へ。

米長期金利も低下し、10年債利回りは1.74%から1.70%割れとなりド
ル円相場も107円50銭台に小幅下落した。

しかし、債券購入に対してドイツ、オランダなど中核国が反対して
いたことが明らかに。またドラギ総裁が財政出動の必要性を強調し
たことでさらなる緩和への期待が後退。ユーロは急反発した。ユー
ロドル相場は1.1080へ、ユーロ円相場は119円80銭へ急上昇。

また発表された米国の消費者物価指数(8月)はコア指数が前年同
月比+2.4%と前月+2.2%から上昇率加速して予想+2.3%を上回った。
これらを受けて米10年債利回りは反発上昇して1.79%に、2年債利回
りは1.73%に。ドル円相場は108円20銭に上昇し引けは108円10銭。

ユーロ円相場は上昇一服して引けは119円60銭台。ユーロドル相場
は1.1060。そうしたなか米国株は続伸の後、頭打ち反落して小幅高。
トランプ大統領が、中国との暫定的な合意に扉を開いているが、持
続的な合意がより望ましい、とコメント。米中合意への楽観が株価
を支えた。

金曜日の東京市場のドル円相場は108円10銭で始まり20銭を中心に
上下。その後は108円ちょうど近辺でもみ合い。ユーロ円相場は
119円60銭で始まり70銭中心に上下、さらに上昇して120円に接近し、
その後は119円70銭〜90銭で上下した。

日経平均は21,900円で高寄りした後、22,000円手前でもみ合い。利
益確定売りに上値を押さえられたが堅調に推移した。引けは22,000
円ちょうど近辺。

海外市場では米国株が引き続き堅調に推移。NYダウは8営業日続伸。
小幅高もみ合い、横ばいで引け。その傍らで米長期金利はさらに大
幅上昇。株価の上昇を抑制した。米10年債利回りは1.90%に、2年債
利回りは1.80%に上昇した。

発表された米国の小売売上高(8月)は前月比+0.4%と前月の+0.7%
から伸びは減速したものの予想+0.3%より強め。ミシガン大学消費
者マインド指数(9月)は92.0と前月89.8から上昇し予想90.9を上
回る強い数字だった。

ドル円相場は108円10銭中心に上下してそのまま引け。ユーロ円相
場は119円70銭〜80銭でもみ合い引け。ユーロドル相場は
1.1070〜80。
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2019 年 9 月 9 日
MRA外国為替レポート(9月9日号)
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1.先週の市場総括
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先週は週央にリスク回避が後退、リスク選好が強まり、株高・米長
期金利上昇とともに円安となった。ドル円相場は週初に106円ちょ
うど近辺に下落してスタート。

月曜日は米国市場が休場で小動き。米国ISM製造業景気指数(8月)
が49.1と3年ぶりに景況感の分かれ目である50割れ。米10年債利回
りは1.5%を割り込んだ。

しかし水曜日に、アジア時間に香港政府が逃亡犯条例を撤回と報じ
られ、欧州ではイタリアで新内閣が発足へ。またイギリス下院が合
意なきEU離脱しようとする政府の動きを阻止する法案を可決。不透
明感が緩和。

さらに木曜日には米中両国が10月初旬に通商協議を開催することで
合意。リスク回避が急速に後退。米国株を中心にグローバルに株価
が大きく上昇。米長期金利も急上昇。10年債利回りは1.6%に迫った。

ドル円相場は107円を回復。ユーロ円相場は118円台半ばに上昇した。

週末の米雇用統計は非農業部門雇用者数の伸びが予想よりも弱かっ
た一方、平均時給の上昇率は強めとまちまち。ドル円相場は一時
106円60銭台に下落したが底固く106円90銭で引け。

米国株は堅調のまま週末の取引を終えた。日経平均も週初に20,600
円近辺で始まり、週央に大幅高となって21,200円近辺で引け。

パウエル議長は米国や世界経済の景気後退は予想せず、米当局は著
しいリスクを注視、景気拡大を維持するため引き続き適切に行動す
る、と述べ、市場の利下げ期待に変化はなし。

月曜日の東京市場では朝方やや円高に振れた。ドル円相場は106円
ちょうど近辺に、ユーロ円相場は116円50銭近辺に下落してスター
ト。ただその後は持ち直し106円20銭中心にもみ合い。

日経平均は20,600円に安寄りしたが、その後は600円〜650円で小動
き、もみ合い引けた。

中国では財新・製造業PMI(8月)が発表され50.4と景況感の分かれ
目である50を回復した。

海外は米国市場が休場。ただドルは堅調でドル円相場は106円30銭
〜40銭に小幅高。引けは106円20銭。

ユーロドル相場は1.0960〜70にややユーロ安ドル高でもみ合い。
ユーロ円相場は116円50銭。

火曜日のドル円相場は106円20銭で始まり40銭に上昇。ユーロドル
相場は1.0940に、さらにドルが堅調。

日経平均は20,600円割れで始まったが底固く、600円〜650円でもみ
合い小動き引け。海外市場に入るとドルは反落。

発表された米ISM製造業景気指数(8月)が49.1と前月の51.2から悪
化し予想も下回り、3年ぶりの50割れとなった。

米長期金利は低下して10年債利回りは1.47%、2年債利回りは1.46%。
米国株は安寄り、下落したがその後は底固くもみ合い。

ドル円相場は105円80銭に下落したが、その後は106円を回復し引け
は105円90銭〜106円ちょうど。ユーロドル相場は1.0970〜80に反発
してもみ合い。

ボストン連銀総裁(7月会合で利下げに反対票)は、米中摩擦でリ
スクは高まったが大半の経済見通し、金融市場の指標は景気後退よ
りも成長持続を示唆している、と述べた。

一方セントルイス連銀総裁は、景気は想定よりも下振れするリスク
があり9月のFOMCで0.5%の利下げを検討すべき、とした。

水曜日の東京市場のドル円相場は106円ちょうど近辺でもみ合い、
ユーロ円相場は116円20銭〜30銭でもみ合い。

日経平均も20,600円〜650円でもみ合い横ばい。後場には650円〜70
0円にやや水準を切り上げてもみ合い、引けは20,650円。

ただ東証引け後に、香港政府が一連の混乱の原因である逃亡犯条例
を撤回する、との報道があり、混乱収拾を期待してリスク回避が緩
和。円が全面安に。ドル円相場は106円20銭〜30銭に、ユーロ円相
場は117円ちょうど〜10銭に大幅上昇。またユーロドル相場も
1.1010〜20へ上昇した。

また中国国務院(内閣に相当)は、経済が妥当なレンジで成長する
ことを確実にする必要がある、として、時宜を得た方法で預金準備
率を引き下げていく意向を示した。

海外市場に入るとさらにリスク回避が緩和。イタリアでは、コンテ
首相が組閣名簿を提出し大統領が承認したことから新内閣が発足す
る運びとなった。

イギリスでは下院が10月31日に合意なきEU離脱をしようとする首相
の動きを阻止する法案を可決。3か月の離脱延期をEUに要請するこ
とを政府に強制する法案。

一方、首相が持ち出した10月15日に総選挙実施を求める提案は否決
された。

ドル円相場は106円40銭近辺に上昇。ユーロドル相場は117円30銭〜
40銭でもみ合い引け。ユーロドル相場は1.1030近辺。

米国株は高寄り後もみ合い、前日の下げを取り戻して引け。一方、
米10年債利回りは上昇後に反落して概ね前日比同水準の1.47%。2年
債は小幅低下して1.43%。

この日公表されたベージュブック(米地区連銀経済報告)では、米
国経済は緩やかに拡大している、製造業・農業・輸送業で減速が目
立つ一方で雇用・消費・住宅は底固い、とされた。

NY連銀総裁は、米景気減速の回避に向け適切に行動する用意がある、
今のところ米経済は良好な状態にある、とした。

木曜日の東京市場では前日の流れのまま一段の円安が進んだ。中国
商務省は。米中通商担当閣僚が電話会議を行い非常にうまくいった
との認識を示し、米中両国が10月初旬にワシントンで通商協議を開
催することで合意した、とした。

ドル円相場は106円40銭から70銭台に上昇、その後は40銭〜50銭で
推移したが底固い値動き。ユーロ円相場も117円30銭台から70銭に
上昇、その後は30銭に押し戻された。

日経平均は前日からのリスク選好回復の流れのままに寄付きは
20,800円。その後も一段高となり21,100円を回復し、後場には一時
前日比500円超の上昇となった。引けは21,100円近辺。

海外市場でも米国株が大幅高。米長期金利が大幅上昇。2年債利回
りは一時0.1%以上上昇して1.58%をつけ引けは1.54%。10年債利回り
も同様に1.58%に上昇した後1.56%。ドル円相場は106円70銭から
107円20銭に上昇し、引けにかけては押されて107円ちょうど近辺。

ユーロ円相場は大幅に上昇して一時118円60銭をつけ、引けは118円
ちょうど近辺。ユーロドル相場は1.1080に上昇したが押されて
1.1030〜40で引けた。

米国のADP雇用報告(8月)では雇用者数前月比が+195千人と予想
+140千人を上回り、ISM非製造業景気指数(8月)は56.4と前月53.7
から大きく改善し予想53.8を上回ってともに強い数字だった。

金曜日の東京市場は米国の雇用統計の発表、パウエル議長の発言を
待とうというなか総じて小動きとなった。ドル円相場は107円中心
に小動き横ばい。ユーロ円相場も118円ちょうど〜20銭近辺。

夕刻にかけては弱いドイツ鉱工業生産の数字からややユーロが軟調
となった。

注目の米雇用統計(8月)は、非農業部門雇用者数・前月比が+130
千人と前月+164千人から減速して予想+157千人を下回った。一方、
平均時給の上昇率は前月比+0.4%と前月+0.3%から加速、前年同月比
も+3.2%と前月と同水準で予想+3.0%を上回って明るさを示した。

非農業部門雇用者数の数字を受けてドル円相場は一時106円60銭台
に下落。ユーロドル相場も1.1050台にユーロ高ドル安となった。

しかし米国株が小幅高、もみ合いとなり堅調さを示し、米長期金利
が上昇し10年債利回りが一時1.60%をつけるなどしたことからドル
は支えられ、ドル円相場はじりじりと106円90銭に戻して引け。

ユーロドル相場も反落して1.1030近辺。米10年債利回りはその後
1.55%に戻して引け。2年債利回りは1.53%でともに前日とほぼ同水
準。

パウエル議長は、米国および世界経済は緩やかな成長の持続が最も
可能性の高い見通しであり、ともにリセッション(景気後退)は予
想していない、労働市場は非常に力強く8月の雇用統計はそうした
状況と整合的な数字、当局は著しいリスクを注視している、景気拡
大を維持するため引き続き適切に行動する、と述べた。
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2019 年 9 月 2 日
MRA外国為替レポート(9月2日号)
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1.先週の市場総括
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先週のドル円相場は、前週末に米中通商対立が激化し関税報復合戦
の様相を呈した流れを受け、月曜早朝にリスク回避の円高が進んだ。
ドル円相場は一時104円50銭に下落。

しかし月曜日のうちに、トランプ大統領が米中通商交渉を再開する
とし、中国サイドからも劉鶴副首相が冷静に協議・協力して問題を
解決するとしたことで安心感が広がった。

前週末に急落した米国株は上昇。ドル円相場は106円台を回復。そ
の後は米中対立の行方を見極めようと様子見が強まった。

米長期金利が大きく低下して10年債利回りが1.5%割れとなり、また
2年債金利と逆転する逆イールドとなったが株価は底固い値動き。
ドル円相場も106円前後で推移。

木曜日には米中交渉進展期待から米国株は上昇して前週の大幅安を
取り戻し、ドル円相場も106円台後半に上昇した。

ただ米中交渉の不透明感はぬぐえず上値も重く、週末は106円30銭
台で引け。ユーロは軟調が続き、週末には対ドルで2017年5月以来
の1.10割れとなった。

日経平均は米国株の堅調やドル円相場の反発から週を通じて底固く、
週末は20,700円台に上昇して高値引けとなった。

月曜日の東京市場は朝方からリスク回避の円高が急伸。トルコリラ
/円相場などクロス円相場(ドル以外の通貨に対する円相場)での
外為証拠金取引の損切り、強制的な円買い戻しに引っ張られ、ドル
円相場は105円10銭近辺で安寄りの後104円半ばまで円高が進んだ。

ユーロ円相場は117円40銭から116円60銭近辺に下落。

日経平均は20,200円割れで大幅安寄り。ただ割安感もあり底固く、
20,200円〜300円で上下して引けた。円買い一巡後、ドル円相場は1
05円台を回復。

トランプ大統領が、中国の要請もあり通商交渉を再開する、とした
ことでリスク回避が後退。中国の劉鶴副首相も、冷静な地度で協議
や協力を推し進め問題を解決する用意がある、と発言。市場に安心
感が広がった。

海外市場に入ると欧米株が上昇。NYダウは前週末比270ドルほど反
発。円安の流れが続き、ドル円相場は106円10銭近辺まで上昇して
引け。ユーロ円相場は117円80銭中心の値動きで引けた。

ユーロドル相場はアジア時間に1.11台半ばで推移したが、NY引けは
1.11ちょうど近辺にユーロ安ドル高。米10年債利回り、2年債利回
り、ともに1.54%。

火曜日の東京市場のドル円相場は106円10銭で始まったが105円60銭
〜70銭に下落。ユーロ円相場も117円80銭から117円30銭〜40銭に。
ただ円高は続かずその後は底固い値動きでやや円安。ドル円相場は
105円80銭中心に上下。

日経平均は米国株やドル円相場の反発を好感して20,400円台に反発
して高寄り。20,400円〜500円で上下。この日、中国は20項目の景
気刺激策を発表した。

海外市場では米国株が中国の景気対策を好感して上昇したもののそ
の後反落して前日比マイナス。米長期金利が低下し、2年債利回り
が1.52%、10年債利回りが1.47%と逆イールドが大きくなったことで
ネガティブな反応が広がった。

ドル円相場は一時106円台に乗せたが反落して105円70銭〜80銭でも
み合い。ユーロ円相場は117円70銭に上昇したが反落して30銭中心
のもみ合い。

発表されたリッチモンド連銀製造業指数(8月)は+1と前月▲12か
ら改善。消費者信頼感指数(8月)は135.1と予想より強く前月とほ
ぼ同水準を維持した。

この日、元NY連銀総裁のダドリー氏は、トランプ大統領からの利下
げ要求からFRBは決別すべき、と述べた。

水曜日の東京市場のドル円相場は105円70銭台で始まりそのまま小
動き横ばい。ユーロ円相場も117円30銭中心に小動き。日経平均は
20,450円〜500円でもみ合い小動き、引けは20,480円近辺。米中対
立を見極めようと様子見が広がった。

海外市場では米国株が上昇。NYダウは260ドル高。世界的な長期金
利低下傾向が続き、イタリア国債10年債利回りが初の1%割れ。新
政権発足に向け協議が進展し、大統領がコンテ首相に新政府樹立を
指示したことが好感された。

米国では5年債入札がしっかり。30年債利回りが一時1.90%と過去最
低をつけた。2年債利回りは1.50%、10年債利回りは1.47%と逆イー
ルド幅がやや縮小。

株価持ち直しにリスク回避は緩和して円は弱含み。ドル円相場は
106円20銭に、ユーロ円相場は117円60銭に上昇。引けかけてはやや
反落して、ドル円相場は106円10銭近辺、ユーロ円相場は117円50銭
近辺。ユーロドル相場は1.1080〜90で横ばい。

木曜日の東京市場のドル円相場は106円ちょうど〜10銭で始まりや
や下落して105円90銭近辺でもみ合い横ばい。ユーロ円相場も同様
の値動きで117円50銭から30銭〜40銭に下落してもみ合い。

日経平均は20,450円で始まり350円に下落したが、その後は持ち直
し、午後にかけてジリ高。20,450円と前日引け同水準で引けた。夕
刻にかけて円が軟調。ドル円相場は106円20銭〜30銭に、ユーロ円
相場は117円60銭〜70銭に、それぞれ反発してもみ合い。

海外市場では米国株が上昇。NYダウは前日比+330ドル。前週末の大
幅下落をすべて取り戻した。中国は報復関税の詳細を発表。一方で、
9月に予定している米中閣僚級協議の準備を進める、貿易競争のさ
らなるエスカレートを防ぐことに注力、としたことからリスク選好
が回復した。

この日発表された米国GDP4-6月期改定値では個人消費が上方修正さ
れ消費が堅調であることを改めて示した。また小売の一部決算では
消費の堅調さが米中摩擦による影響を吸収していることが示された。

米長期金利は上昇して2年債は1.53%、10年債は1.52%。為替市場で
はさらに円安が進み、ドル円相場は106円70銭、ユーロ円相場は
117円90銭に一時上昇。ただその後反落して引けは106円50銭、
117円80銭。

この日、ECBの次期総裁に就任する予定のラガルド氏はドラギ総裁
を引き継ぎ、ユーロ圏のインフレ率を押し上げるため超緩和的な金
融政策を維持する、とハト派スタンスを示した。

金曜日の東京市場のドル円相場は106円50銭で始まり、その後は
106円40銭中心にもみ合い。ユーロ円相場は117円80銭で始まり
117円40銭〜60銭で推移した。

日経平均は20,600円台半ばで高寄りし700円台に上昇。その後は
20,700円近辺でもみ合いそのまま引けた。ドル円相場が堅調に推移
し米国株も上昇したことでしっかり。

海外市場に入るとユーロが下落。ユーロドル相場は。1.1040〜50近
辺から1.0960近辺に下落。1.10割れは2017年5月以来。その後やや
戻したが引けは1.10割れのまま。

ユーロ円相場も一時116円60銭〜70銭まで下落し、引けは116円80銭。
とくに材料のないなか、このところのユーロ安基調の流れのなかで
さらに売りに押された。

米国株はとくに方向感なく小幅高。米長期金利は小幅低下して2年
債利回りは1.51%、10年債利回りは1.50%とほぼ同水準。

発表された個人所得はやや弱めだったが消費支出は堅調。シカゴ購
買部協会景気指数(8月)は50.4と前月の44.0から持ち直し予想を
上回るとともに景況感の分かれ目である50を辛うじて上回った。

一方、ミシガン大学消費者信頼感指数(8月確報)は89.8と速報の
92.1から大きく下方修正された。米中摩擦の不確実性が高まったこ
とで消費者の不安・悲観的な見方が強まったことが背景とみられる。

ドル円相場はユーロ円相場の下落に押され一時106円10銭台に下落
したが持ち直し、引けは106円30銭台。

週末に発表された中国の製造業PMI景況指数(8月)は49.5と引き続
き景況感の分かれ目である50を下回り前月49.7から悪化した。一方、
非製造業PMIは53.8に前月53.1から改善した。
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2019 年 8 月 26 日
MRA外国為替レポート(8月26日号)
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1.先週の市場総括
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先週のドル円相場は106円40銭近辺で始まり、その後は106円台半ば
を中心に上下動。週末のパウエル議長の発言を見極めようと姿勢が
強かった。

それに先んじて発表されたFOMC議事録やFRB当局者の発言からは追
加利下げに慎重な姿勢がみられたことでドルは底固い値動き。米長
期金利は低下一服。10年債利回りは1.6%近辺で推移した。

ECB議事録では積極的な緩和策が議論されていたこともあり、ユー
ロドル相場は1.11近辺でもみ合いの後、ややユーロ安ドル高。そう
したなか週末に中国が対米報復関税を発表。これに対して米国が直
ちに対抗措置を発表し、先般決定した対中関税の税率を引き上げる
こととした。

これを嫌気して市場ではリスク回避が一気に高まった。米国株は大
幅下落。米長期金利は低下。米10年債利回りは1.53%に。為替市場
では円が全面高。ドル円相場は105円30銭に急落して40銭近辺で週
末の取引を終えた。

ユーロ円相場は週前半118円近辺で推移したが週末は117円40銭近辺
に下落して引け。

月曜日の東京市場は106円40銭中心に上下、その後は30銭〜40銭で
もみ合い。ユーロ円相場は118円ちょうどを中心に上下動。ユーロ
ドル相場は1.11近辺で小動き。

日経平均は前週末に米国株がしっかりでドル円相場も底固かったこ
とから20,600円で高寄り。その後は上値を抑えられたが20,500円台
半ばで引けた。

週末に中国人民銀行が金利改革を発表し企業の借り入れコスト低下
が図られるとの思惑が高まって中国株が堅調に推移した。

海外市場に入ると、ドイツではシュルツ財務相が景気悪化時の財政
出動の可能性に言及。各国の景気刺激策への期待が高まるなか、欧
米長期金利が上昇し株価は堅調に推移した。米国がファーウェイ社
への制裁発動を90日間猶予したことも一助に。

米10年債利回りは1.60%に上昇。ドル円相場は106円60銭中心にもみ
合い。ユーロドル相場はややユーロ安ドル高に振れて1.1080。ユー
ロ円相場は118円台に乗せて推移。ボストン連銀総裁は引き続き追
加利下げに反対の姿勢を示した。

火曜日の東京市場の為替市場は小動き。ドル円相場は106円60銭近
辺で、ユーロ円相場は118円10銭近辺で、ユーロドル相場は1.1080
台で、それぞれもみ合い横ばい。

日経平均は20,600円台で小幅高寄り、その後は底固い展開。20,600
円台半ばでもみ合い引け。米・中・独の景気対策への期待も支えに。

中国では人民銀行が銀行貸し出しに関する新たな基準金利の公表を
開始した。

海外市場に入るとイタリアの政局不安からリスク回避が高まった。
イタリアのコンテ首相が辞意を表明、連立政権が崩壊。市場のリス
ク選好に冷や水を浴びせた。

ユーロ円相場は117円60銭に下落。ドル円相場も下落して106円20銭
〜40銭で上下。全般的にやや円高となった。

米国株は下落、米長期金利は低下して10年債利回りは1.55%。ユー
ロはその後反発してユーロドル相場は1.11ちょうど近辺、ユーロ円
相場は118円ちょうど近辺。ドル円相場は106円20銭で引けた。

水曜日の東京市場のドル円相場は106円20銭で始まり昼には上昇し
て50銭中心にもみ合い。ユーロ円相場も117円90銭から118円20銭中
心のもみ合いに。全般的にやや円安となった。

日経平均は20,500円近辺に安寄りとなったが堅調で、20,600円近辺
でもみ合い引け。引き続き中国政府の景気下支えに対する期待がリ
スク選好を支えた。

海外市場に入ると米国株が上昇。NYダウは200ドルを超えて上昇。
小売業の決算が良好、個人消費の強さが再確認され株価は全面高と
なった。

公表されたFOMC議事録(7月30日・31日開催分)が公表され積極的
な利下げ観測が後退。米長期金利はやや上昇。2年債利回りは1.58%、
10年債利回りは1.59%。

これに支えられてドルが小幅上昇。ドル円相場は106円60銭、ユー
ロドル相場は1.1080台。

トランプ大統領は、中国との交渉はうまくいっている、パウエル議
長は利下げすべき、と従来の主張を繰り返した。FOMC議事録では一
段と積極的な利下げについて議論されたが、利下げは景気サイクル
中盤での政策調整であり、利下げサイクル入りではないことを確認。
追加緩和が続くような印象を与えないことで一致したことが明らか
になった。

発表された米国の中古住宅販売(7月)は季節調整済み年率換算で5
42万戸(前月は527万戸)と強めだった。

木曜日の東京市場のドル円相場は106円60銭近辺で始まり上値重く
じりじりとドル安円高に。夕刻には30銭〜40銭中心にもみ合い。
ユーロ円相場は118円20銭で始まり117円80銭に下落するとその後は
118円を挟んで上下。

日経平均は20,700円台前半で高寄りも下落し、後場は20,600円近辺
でもみ合い引けは20,600円台前半。

注目は各国当局者などを集めてこの日から始まるジャクソンホール
シンポジウムに。欧州ではECB理事会議事要旨(7月25日開催分)が
公表された。利下げと資産買い入れの組み合わせに効果があるとし
て検討していたことが明らかになった。

米国ではFRB当局者の発言が相次いだ。フィラデルフィア連銀総裁
は、政策金利は現時点で中立、当面は現状水準で様子見を、と発言。
カンサスシティ連銀総裁は、金利水準はほぼ均衡、現状水準での維
持に前向き、今後景気悪化の証拠がなければ利下げは必要ない、と
述べた。

これに対してダラス連銀総裁は、追加利下げは避けたいが柔軟なス
タンス、と発言した。ややタカ派的な発言を受けて米長期金利は小
幅上昇。2年債利回り、10年債利回り、ともに1.61%。ドル円相場は
106円60銭に上昇した。

発表されたPMI景況感指数(8月)は、欧州では前月から改善。ドイ
ツ製造業は43.2から43.6へ。ただ8か月連続で景況感の分かれ目で
ある50割れ。一方米国では製造業PMIが49.9と前月の50.4から悪化
してこの間で初めて50を割り込んだ。

米国株はまちまち。ドル円相場は106円40銭近辺で引け。ユーロ円
相場は118円ちょうど近辺。ユーロドル相場は1.1080。

金曜日の東京市場のドル円相場は106円40銭で始まり底固く106円60
銭台に上昇。ユーロ円相場は117円90銭で始まり118円ちょうど近辺
で上下した。ユーロドル相場は1.1080で始まりユーロ安ドル高。
1.1060台。

日経平均は20,600円近辺で寄り付き、小じっかり。20,700円近辺で
もみ合い引けた。

夕刻にかけてドルはなお堅調。ドル円相場は106円70銭に、ユーロ
ドル相場は1.1050台へ。海外市場では引き続きFRB当局者の発言が
相次いだ。

クリーブランド連銀総裁は、下方リスクには留意しているが現状で
は何も変更しないことを主張。ダラス連銀総裁は、米経済の下押し
要因は金融政策ではなく通商や移民問題、との認識を示した。

セントルイス連銀総裁は、9月のFOMCで0.50%の利下げについて活発
な議論となろう、と述べた。

注目されたパウエル議長は、米経済は望ましい状況にあるものの著
しいリスクに直面している、通商政策を巡る不確実性は世界経済の
減速や米国における製造業、設備投資の弱さの一因となっているよ
うだ、力強い労働市場と対称的な2%の目標に近いインフレを伴う景
気拡大の維持に向け適切に行動する、先月のFOMC以降の出来事が多
かった、と述べた。

追加利下げのニュアンスは示したが市場の期待からは外れず市場の
反応は限定的だった。

一方、米中貿易摩擦を巡る状況は悪化。中国が対米報復関税を発表。
米国の追加関税の発動に合わせて9月には大豆と原油に、12月には
自動車に対し、総額750億ドル相当の米製品への関税上乗せを公表
した。

これに対してトランプ政権は対抗措置を検討することを表明。米中
貿易摩擦の悪化を嫌気して市場ではリスク回避が強まり米国株は大
幅下落。NYダウは600ドル超の急落。米長期金利は低下して、2年債
利回り、10年債利回りはともに1.53%。

ドル円相場は105円30銭に急落して引けは105円40銭。ユーロ円相場
は117円40銭近辺に下落してもみ合い引け。ドルは対ユーロでも下
落してユーロドル相場は1.1140台にユーロ高ドル安が進んだ。

明らかになった米国の対抗措置は、すでに決定している対中関税に
ついて、現行の2,500億ドルについて10月1日から25%を30%に、今
後導入を決めている3,000億ドルについて10%から15%に、それぞれ
引き上げる、という内容。
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