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MRA 商品市場レポート for PRO MRA 商品市場レポート for MANAGEMENT
MRA 外国為替レポート  

MRA 商品市場レポート for PRO

2019 年 6 月 21 日
「金融緩和・米中緊張緩和期待と中東有事でほぼ全面高」
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1.商品市況概況
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◆昨日の商品市場(全体)の総括
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「金融緩和・米中緊張緩和期待と中東有事でほぼ全面高」

【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場はこれまで上昇してきた非景気循環系商品である、
農畜産品の一角や上昇をしていたPGMがフィラデルフィア連銀指数
を受けて売られたが、その他の商品は軒並み水準を切り上げた。

米国の利下げ期待や米中協議の進捗期待を受けて、景気循環系商品
が物色される一方、中東でイランが米国の無人偵察機を撃墜したと
の報道を受けて原油価格が急騰、それを受けた金銀価格の上昇など
がみられ、ほぼ全面高の様相。


【本日の価格見通し総括】
世界的な金融緩和の流れが定着する中、総じてリスク資産に買戻し
圧力が高まる形になっている。また同時に米金利低下により、イン
フレ資産も上昇、ほとんどの商品が物色される流れとなっている。

また、中東ではイランと米国の対立が強まっており供給懸念から原
油も上昇と、供給面が懸念されている商品も多い。

そうはいっても、これらの政治的な動きを受けて企業の景況感がど
うなっているかが重要であり、本日はユーロ圏製造業PMI(市場予
想48.0、前月47.7)、独製造業PMI(44.6、44.3)に注目している。

市場予想は先月から回復を見込んでいるが、欧州地区のサプライズ
指数はマイナス圏での推移となっており予想を下回る可能性は低く
ない。ドル高進行も予想されるため、景気循環銘柄価格を下押しし
よう。

その他、減速感が強まっている米国の住宅セクターの先行指標であ
る中古住宅販売(市場予想前月比+2.1%の530万戸、前月▲0.4%の
519万戸)にも注目したい。


【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】
金融政策動向が市場の最大関心事となる中、足元の景況感を示す指
標の1つとして注目されており、ISMの先行指標であるフィラデルフ
ィア連銀景況指数が0.3と、今年の2月以来の大幅な悪化となった。

ただ、2月の統計悪化はすっかり記憶から薄れているが、米債務上
限問題を受けた政府閉鎖の影響によるものの可能性が高く、やや異
例な悪化であった。

今回はメキシコに対する追加関税が取り上げられたことに伴う悪化
であるため、一時的、との見方が多く2月の状況と大差はないかも
しれない。しかし、7月と見られるFOMCでの利下げで、このセンチ
メントの悪化はある程度和らぐと思われる。

とはいえ今回のフィラデルフィア連銀指数で、来月初めに発表され
る米ISM製造業指数への注目度が高まった。ISM製造業指数はフィラ
デルフィア連銀指数から上放れしていたが、この数ヵ月でようやく
その差を埋めた状況だった。

仮にフィラデルフィア連銀指数通りに減速があるとすればISM製造
業指数は好不況の分かれ目となる、50を下回ることになる。

この場合、各国のインフレに影響を与えやすい原油の価格は下落が
予想され、さらにはOPECプラスの減産の影響も限定される可能性が
高い(中東有事が顕在化しないという前提)。来月初のISM製造業
指数の重要度はさらに増したといえる。

詳しくは弊社サイトのグラフをご参照下さい。
http://bit.ly/2X1xAw8


【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】
(マクロ要因)
・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標再びの減速(価格下落要
因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ
(+3.5%→+3.3%)ており、米中対立の激化があった場合には▲0.5%
程度の引き下げリスクも視野に入れている。リスク資産価格に対し
て下向きのリスク。

・FRBの利下げの可能性が再び高まる(トランプ大統領があからさ
まに要求を始めており、米中通商戦争の行方次第ではあり得る状況
に)。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格
の上昇要因(Q119の中国GDPは前年比+6.4%、前期+6.4%と市場予想
の+6.3%を上回りやや減速懸念が後退)。

※中国は地方政府の資金調達規制を実質緩和。


・景気減速下での原油価格高止まりは、消費国から生産国への所得
移転を通じて景気の下押し要因に。また、リスク回避のドル高進行
も価格上昇を抑制。

・2020年からインドが人口ボーナス期入りすることによる、構造的
な需要の増加は中長期的な価格の上昇要因。


(特殊要因)
・米中通商協議が難航しており、世界経済が減速する場合(下落要
因)。

足元、米中首脳会談が開催される見通しが示されたが、話し合いを
継続することは決められても合意に至るかどうかは極めて不透明。


・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧
州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの
強まり(下落要因)。

・中東情勢の悪化を受けた域内景気の混乱と、それを受けた欧州景
気への悪影響拡大(下落要因)

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。とりあえず10月末を
期限として問題先送りしたが、メイ首相退陣、ハードブレグジット
推進派の台頭によってよりそのリスクは高まる(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下
落要因)。


(投機・投資要因)
・米利下げ観測の高まりで長短金利逆転状況が解消し、金融株を中
心に株が上昇、リスクテイク再開で景気循環系商品価格にプラスの
影響を与える場合。
詳細を見る
2019 年 6 月 20 日
「米中緊張緩和期待とFOMCを受けて景気循環銘柄上昇」
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1.商品市況概況
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◆昨日の商品市場(全体)の総括
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「米中緊張緩和期待とFOMCを受けて景気循環銘柄上昇」

【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は景気循環系商品が続伸し、これまで上昇してきた
非景気循環銘柄である農産品などが売られる流れとなった。

注目のFOMCでは利下げ方向が示され、市場の見通しとの乖離が解消、
実質金利の低下とドル安が進行したことが背景。

昨日発表された日本の貿易統計では▲9,671億円と4ヵ月振りの赤字
となった。10連休に伴う輸出前倒しの可能性はあるものの、自動車
部品並びに半導体製造装置の輸出が低迷した。

地域的な内訳をみると、対アジア(含む中国)の輸出と輸入の落ち
込みが顕著だ。製品的には半導体製造装置の輸出入がともに減少し
ており、中国に対する米国の制裁の影響が出始めているためと考え
られる。明らかにアジア地区の景気に減速感が出始めていることが
伺える。


【本日の価格見通し総括】
本日は昨日のFOMCの結果を受けた実質金利の低下、ドル安の進行で
景気循環銘柄、貴金属などが物色される流れになると考える。また、
米中首脳会談の開催期待も価格を押し上げよう。

本日の注目材料としては、米フィラデルフィア連銀景況指数。市場
予想は10.4(前月16.6)と大きく減速することが予想されており、
通常であれば景気循環銘柄価格の下落要因となるが、緩和観測が強
まっているため影響は相殺されて限定的だろう。


【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】
注目のFOMCは利下げ方向に舵が切られたことを確認する内容だった。
しかし、FOMCメンバーの政策金利見通しを示す「ドット・チャー
ト」を見るに、今回のFOMCが紛糾したことをうかがわせる内容だっ
たことも事実。

明らかに、「足元の失業率も低く、緩和の必要はない」とする勢力
と、「予防的に利下げを行うべき」とする勢力が二分されている。

景気が減速局面入りするため、年内に1回程度の利下げがあっても
おかしくないと考えるが、景気見通しは上方修正され、失業率見通
しも低下見通しに修正されるなど整合性が取れていない。

この中で利下げをする根拠としては、物価見通しが下方修正されて
いること一点である。

現時点での利下げ(まだ米国の景気は後退していない)は、特に株
などの価格を押し上げ、先々の金融正常化時の下落リスクを高める
ことになる。

しかし、このタイミングでの利下げ実施は、来年の大統領選挙の時
に訪れる可能性がある、「本当の景気後退」時の「カード」を減ら
すことになる。まだゆとりはあるが、今の日本と同じ状況に米国も
陥る可能性があるということだ。

今回のFOMCは、パウエル議長派は政治的に踏み絵を踏まされ、リス
クを取りに行ったとの印象が拭い切れない。


【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】
(マクロ要因)
・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標再びの減速(価格下落要
因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ
(+3.5%→+3.3%)ており、米中対立の激化があった場合には▲0.5%
程度の引き下げリスクも視野に入れている。リスク資産価格に対し
て下向きのリスク。

・FRBの利下げの可能性が再び高まる(トランプ大統領があからさ
まに要求を始めており、米中通商戦争の行方次第ではあり得る状況
に)。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格
の上昇要因(Q119の中国GDPは前年比+6.4%、前期+6.4%と市場予想
の+6.3%を上回りやや減速懸念が後退)。

※中国は地方政府の資金調達規制を実質緩和。


・景気減速下での原油価格高止まりは、消費国から生産国への所得
移転を通じて景気の下押し要因に。また、リスク回避のドル高進行
も価格上昇を抑制。

・2020年からインドが人口ボーナス期入りすることによる、構造的
な需要の増加は中長期的な価格の上昇要因。


(特殊要因)
・米中通商協議が難航しており、世界経済が減速する場合(下落要
因)。

足元、米中首脳会談が開催される見通しが示されたが、話し合いを
継続することは決められても合意に至るかどうかは極めて不透明。


・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧
州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの
強まり(下落要因)。

・中東情勢の悪化を受けた域内景気の混乱と、それを受けた欧州景
気への悪影響拡大(下落要因)

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。とりあえず10月末を
期限として問題先送りしたが、メイ首相退陣、ハードブレグジット
推進派の台頭によってよりそのリスクは高まる(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下
落要因)。


(投機・投資要因)
・米利下げ観測の高まりで長短金利逆転状況が解消し、金融株を中
心に株が上昇、リスクテイク再開で景気循環系商品価格にプラスの
影響を与える場合。
詳細を見る
2019 年 6 月 19 日
「ECB追加緩和観測とトランプ発言で景気循環系商品物色される」
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1.商品市況概況
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◆昨日の商品市場(全体)の総括
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「ECB追加緩和観測とトランプ発言で景気循環系商品物色される」

【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は景気循環系商品が大幅に上昇し、これまで上昇し
てきた農産品などが売られる流れとなった。

ECBが追加緩和の可能性について言及したほか、米トランプ大統領
が米中首脳会談を実施する見通しを示したことで、景気に対する過
剰な懸念が後退したことが景気循環系のリスク資産価格を押し上げ
た。貴金属は金融緩和期待で上昇。

しかし、ECB緩和見通しを受けてドル高が進行していることで、非
景気循環系商品である農畜産品セクターは総じて軟調な推移となっ
た。


【本日の価格見通し総括】
本日は注目のFOMCが予定されている。市場はすでに3回の利下げを
織り込んでいるが、足元の統計は、一昨日のニューヨーク連銀指数
がメキシコとの通商協議問題で大幅な悪化となったが、年内3回の
利下げを織り込むほど悪いとは言えない。

また、米中首脳会談が開始される見通しが示されるなど、足元、景
気に対する過剰な懸念は後退しつつある。

本日はFOMCの経済見通し並びに、パウエル議長の会見が予定されて
いる。前回のドットチャートは年1回程度の利上げを織り込んでい
たが、足元は3回の利下げを織り込んでいる。

これをどこまで調整してくるかがポイントになるが、少なくとも3
回の利下げ見通しは行き過ぎであり、修正される、というのがメイ
ンシナリオだろう。

恐らく、「利下げの可能性を否定しないものの、そのペースに関し
ては慎重に経済動向を見決める」という表現にとどまると予想する。

取引時間に間に合う景気循環系商品価格は下落し、LME非鉄金属な
どは明日以降、下落に転じると考える。

非景気循環系商品は循環系商品からの回帰とドル高の進行でもみ合
うとみる。

なお、トランプ大統領と習近平国家主席の会談の可能性が高まって
いるが、G20会合では「話し合いを継続することを確認」し、追加
関税がとりあえず先送りされる可能性が高まった。

しかし、米中問題の根本的な解決にはならないため、引き続き同問
題は特に景気循環系商品価格の下押し圧力となり続ける公算。


【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】
昨日は統計ではZEW景況感指数のうち、特に期待指数が減速してお
り▲21.1(前月▲2.1)となり、ユーロ圏景気期待指数に関しても
▲20.2(▲1.6)と大きく減速している。

これを受けてECBドラギ総裁は「追加緩和」について言及した。市
場で予測されていた利下げを第一の手段としている。結局、各国中
央銀行は再び緩和モードに転じることになった。

これを受けて市場はユーロ安・ドル高となったが、同時に非鉄金属
が大きく上昇、エネルギーもじり安の展開だったが反発に転じてい
る。

ただ、実際のところ、景気が悪くなったところで金融緩和の余地が
あるのは米国と中国程度であり、欧州や日本は打つ手が限られる。

安倍政権は誕生してからリフレ派の意見を積極的に取り入れ、日銀
にハト派のメンバーを大量に送り込むことによって、大規模緩和圧
力を強めてきた。

しかし、安倍首相は6月10日の衆議院決算委員会で、「日銀のと政
府が掲げる2%の物価安定目標を達成していないものの、完全雇用な
どの『本当の目的』は達成している」と発言。さらに「出口戦略
云々に関しては、日銀にお任せしたい」と発言し、日銀は梯子を外
された形となった。

このことは仮に景気が悪くなったとしても、(その効果が薄い)金
融緩和よりも財政政策に舵を切る方針に転換した可能性が高いと考
えられる。

景気減速のリスクはあるが、ここまで来たこともあるので10月の消
費増税は予定通り行い、景気が減速した場合には(これも効果や規
模は限定されるが)、財政政策で景気を支える、という方針に転換
したと考えられる。

しかし、これまでの政策で積み上がった債券やETFの解消。YCCによ
って経営状態が悪化した金融機関の立て直し、といった重い課題を
日銀は背負うことになる。金融機関の経営状態の悪化リスクは、実
は小さいリスクではないのではないか。


【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】
(マクロ要因)
・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標再びの減速(価格下落要
因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ
(+3.5%→+3.3%)ており、米中対立の激化があった場合には▲0.5%
程度の引き下げリスクも視野に入れている。リスク資産価格に対し
て下向きのリスク。

・FRBの利下げの可能性が再び高まる(トランプ大統領があからさ
まに要求を始めており、米中通商戦争の行方次第ではあり得る状況
に)。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格
の上昇要因(Q119の中国GDPは前年比+6.4%、前期+6.4%と市場予想
の+6.3%を上回りやや減速懸念が後退)。

※中国は地方政府の資金調達規制を実質緩和。


・景気減速下での原油価格高止まりは、消費国から生産国への所得
移転を通じて景気の下押し要因に。また、リスク回避のドル高進行
も価格上昇を抑制。

・2020年からインドが人口ボーナス期入りすることによる、構造的
な需要の増加は中長期的な価格の上昇要因。


(特殊要因)
・米中通商協議が難航しており、世界経済が減速する場合(下落要
因)。

足元、米中首脳会談が開催される見通しが示されたが、話し合いを
継続することは決められても合意に至るかどうかは極めて不透明。


・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧
州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの
強まり(下落要因)。

・中東情勢の悪化を受けた域内景気の混乱と、それを受けた欧州景
気への悪影響拡大(下落要因)

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。とりあえず10月末を
期限として問題先送りしたが、メイ首相退陣、ハードブレグジット
推進派の台頭によってよりそのリスクは高まる(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下
落要因)。


(投機・投資要因)
・米利下げ観測の高まりで長短金利逆転状況が解消し、金融株を中
心に株が上昇、リスクテイク再開で景気循環系商品価格にプラスの
影響を与える場合。
詳細を見る
2019 年 6 月 17 日
「景気への懸念強まり景気循環系商品は総じて軟調〜中東危機懸念も重石」
━━━━━━━━━━━━━━
1.商品市況概況
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◆昨日の商品市場(全体)の総括
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「景気への懸念強まり景気循環系商品は総じて軟調〜中東危機懸念
も重石」

【昨日の市場動向総括】
昨日の商品価格はその他の農産品が堅調な推移となり、その他の商
品は総じて軟調な推移となった。

中国の経済統計が予想を下回り、より減速したことに加え、ホルム
ズ海峡でのタンカー攻撃の影響を受けたリスク回避のドル高圧力が
かかったこと、期待インフレ率の低下を受けた実質金利の上昇で、
ドル高が進行したため。

昨日もシカゴ木材は上昇している。引き続きカナダ生産者の生産能
力削減決定が価格を押し上げている(詳しくは2019年6月12日の市
場動向総括をご参照ください)。


【本日の価格見通し総括】
週明け月曜日は目立った手がかり材料に乏しい中、米中問題の難航
と金融緩和観測の綱引きとなり、軟調地合いの中総じて方向感が出
にくい展開になると予想する。

来週の大きな材料はFOMCであり、経済見通しに加えてパウエルFRB
議長の記者会見も予定されている。ポイントは、7月以降の利下げ
に関して何かしら言及するか否か。

市場はすでに年3回の利下げを織り込みつつあり、利下げをにおわ
せる発言が出てこなければ、あるいは市場の期待以上にハト派では
なかった場合、特に株価の下落を通じてリスク資産価格に下押し圧
力がかかることになる。

そのほか、英国保守党の党首選も来週の注目材料だ。下馬評通りで
あれば強硬離脱派(だったはずの)ジョンソン元外相が勝利する見
込みだが、「秩序ある離脱を望む」といった趣旨の発言も出始めて
おり、そもそも世論を巻き込んで首相になりたかっただけなのでは
ないか、と見られても仕方がない。

ただ、だれが党首になるにせよ、英議会下院が機能不全になってい
ることは変わりなく、ハードブレグジットの可能性は高い。


【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】
週末発表された中国の重要統計(固定資産投資、工業生産、小売売
上高、不動産投資)は、市場予想を下回るさえない内容となった。

工業生産は、市場予想が前年比+6.1%だったのに対して+5.0%(前月
+5.4%)と悪化、年初来も+6.0%(+6.1%、+6.2%)と大幅に減速した、
米中貿易戦争の影響で輸出や国内の生産活動が鈍化している可能性
が高い。

固定資産投資も年初来累計で前年比+5.6%(1-4月期+6.1%)と大幅
に減速、さらに公的部門+7.2%(+7.8%)、民間部門+5.3%(+5.5%)
共に減速している。

不動産投資は政府の緩和策の影響もあって高い伸びを維持はしたが、
それでも前年比+11.2%(1-4月期+11.9%)と減速した。

一方で小売売上高は+8.1%(+8.0%、+8.0%)、単月ベースでは+8.6%
(+8.1%、+8.0%)と伸びが回復している。

これらのことは、中国市場がルイスの転換点(工業化の過程で農村
部の労働力が底をつくこと)を迎え、個人所得の増加に伴い、徐々
に生産国から消費国にシフトしていることを示唆している。

つまり、十分な中間所得者層の拡大がないままに、消費国に移行し
つつあるということである。この局面でさらに製造業の流出が加速
しかねない米国の制裁は、強制的に中所得国の罠に陥れるものであ
り、中国も正念場である。

今のところG20で両国首脳が面談する可能性は低く、G20以降、再び
景気への悲観論が強まり、景気循環銘柄に下押し圧力がかかるとい
うのがメインシナリオになりつつある。


【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】
(マクロ要因)
・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標再びの減速(価格下落要
因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ
(+3.5%→+3.3%)ており、米中対立の激化があった場合には▲0.5%
程度の引き下げリスクも視野に入れている。リスク資産価格に対し
て下向きのリスク。

・FRBの利下げの可能性が再び高まる(トランプ大統領があからさ
まに要求を始めており、米中通商戦争の行方次第ではあり得る状況
に)。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格
の上昇要因(Q119の中国GDPは前年比+6.4%、前期+6.4%と市場予想
の+6.3%を上回りやや減速懸念が後退)。

※中国は地方政府の資金調達規制を実質緩和。


・景気減速下での原油価格高止まりは、消費国から生産国への所得
移転を通じて景気の下押し要因に。また、リスク回避のドル高進行
も価格上昇を抑制。

・2020年からインドが人口ボーナス期入りすることによる、構造的
な需要の増加は中長期的な価格の上昇要因。


(特殊要因)
・米中通商協議がほぼ決裂状態にあることにより世界経済が減速す
る場合(下落要因)。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧
州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの
強まり(下落要因)。

・中東情勢の悪化を受けた域内景気の混乱と、それを受けた欧州景
気への悪影響拡大(下落要因)

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。とりあえず10月末を
期限として問題先送りしたが、メイ首相退陣、ハードブレグジット
推進派の台頭によってよりそのリスクは高まる(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下
落要因)。


(投機・投資要因)
・米利下げ観測の高まりで長短金利逆転状況が解消し、金融株を中
心に株が上昇、リスクテイク再開で景気循環系商品価格にプラスの
影響を与える場合。
詳細を見る
2019 年 6 月 14 日
「ホルムズ海峡の緊張高まりエネルギー上昇」
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1.商品市況概況
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◆昨日の商品市場(全体)の総括
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「ホルムズ海峡の緊張高まりエネルギー上昇」

【昨日の市場動向総括】
昨日の商品価格はホルムズ海峡でのタンカー攻撃を受けてエネル
ギーと貴金属が上昇、同時に景気への懸念から利下げ観測が強まっ
て実質金利を押し下げたことが、その他のインフレ資産価格の押し
上げ要因となった。

非鉄金属は実質金利の低下はあったものの、米中対立の継続や中東
情勢不安に伴う景気の減速懸念から総じて軟調だった。

昨日も上昇率トップはシカゴ木材。引き続きカナダ生産者の生産能
力削減決定が価格を押し上げている(詳しくは2019年6月12日の市
場動向総括をご参照ください)。


【本日の価格見通し総括】
本日も、供給懸念を受けたエネルギー価格の上昇と、それ以外の商
品は、中東情勢不安の高まりや米中協議の難航を背景とする景気へ
の懸念から来る利下げ観測から、高安まちまちになると考える。

本日、予定されている経済統計では、中国の固定資産投資(1−5月
期 前年比+6.1%、1−4月期+6.1%)、工業生産(前年比+5.4%、
+5.4%、年初来+6.1%、1−4月期+6.2%)に特に注目している。

経済対策が実施される見通しではあるが、いずれも弱い内容になる
可能性が高く、特に非鉄金属価格の下押し要因となるだろう。


【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】
昨日、ホルムズ海峡で日本船籍を含むタンカー2隻が武装勢力の攻
撃を受け、供給懸念の高まりから原油価格は高騰している。

これまで、ホルムズ海峡を航行している船が攻撃されることはあっ
たが、頻度が今までになく多い。さらに、今回は安倍・ハメネイ師
の対談日に発生した攻撃であり、仮にイランがこれを主導したのな
らば、米国と協議をするつもりはないことになってしまう。


実際にイラン政府が関与したかどうかを確認することはできない。
ただ、経済的に困窮し、米国との橋渡しをする、と発言している友
好国である日本の首相を前にして攻撃を行う、というのはどう考え
てもあり得る話ではない。

タンカーの船員救助をイラン政府が行った、との報道もあり、どち
らかといえばイランの反体制派(ジェイシ・アドリなど)やアルカ
イダなどが、イランの政権に揺さぶりをかけるために行ったと考え
るのが妥当だろう。

ただ、これを「イランの仕業」とポンペオ国務長官が発言、イラン
を攻撃するための材料にする可能性は十分にあり得る。とはいえ派
遣している軍の規模を考えると直ちに戦闘が起きる、というのは依
然として確率の低いリスクシナリオの位置づけである。


【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】
(マクロ要因)
・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標再びの減速(価格下落要
因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ
(+3.5%→+3.3%)ており、米中対立の激化があった場合には▲0.5%
程度の引き下げリスクも視野に入れている。リスク資産価格に対し
て下向きのリスク。

・FRBの利下げの可能性が再び高まる(トランプ大統領があからさ
まに要求を始めており、米中通商戦争の行方次第ではあり得る状況
に)。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格
の上昇要因(Q119の中国GDPは前年比+6.4%、前期+6.4%と市場予想
の+6.3%を上回りやや減速懸念が後退)。

※中国は地方政府の資金調達規制を実質緩和。


・景気減速下での原油価格高止まりは、消費国から生産国への所得
移転を通じて景気の下押し要因に。また、リスク回避のドル高進行
も価格上昇を抑制。

・2020年からインドが人口ボーナス期入りすることによる、構造的
な需要の増加は中長期的な価格の上昇要因。


(特殊要因)
・米中通商協議がほぼ決裂状態にあることにより世界経済が減速す
る場合(下落要因)。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧
州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの
強まり(下落要因)。

・中東情勢の悪化を受けた域内景気の混乱と、それを受けた欧州景
気への悪影響拡大(下落要因)

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。とりあえず10月末を
期限として問題先送りしたが、メイ首相退陣、ハードブレグジット
推進派の台頭によってよりそのリスクは高まる(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下
落要因)。


(投機・投資要因)
・長期金利の低下による米長短金利の逆転が株安を誘発、リスク回
避のリスク資産売り圧力が強まる場合。
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MRA 商品市場レポート for PRO

2012 年 8 月 22 日
MRA商品市場レポート for MANAGEMENT(8月22日)
◆昨日のメタル市場総括
「欧州不安の後退と、中国の追加緩和期待で上昇」

◆今日のメタル市場見通し
「現状水準で底堅い推移。FOMC議事録に注目。」
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MRA外国為替レポート

2019 年 6 月 17 日
MRA外国為替レポート(6月17日号)
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1.先週の市場総括
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先週は米国によるメキシコへの関税賦課が回避されたことで週初に
リスク回避が緩和。米国株は落ち着きを取り戻したが、利下げ期待
で上値を追うにも限界があり、概ねもみ合い横ばいとなった。

週末にかけてはイラン情勢で地政学的リスクがやや意識されたが株
価はさほど下落せず。米国10年債利回りは週初やや反発上昇したが
週末にかけては地政学的リスクに押されて2.1%割れ、結果的に2.1%
前後での推移となった。

ドル円相場は108円台半ばで始まり、リスク回避による円高は一服
して前週に比べて底固さは増したものの108円台後半の上値も重く、
概ね108円台前半でのもみ合いに終始した。

週末には強めの米経済指標を受けて反発し108円50銭〜60銭でNYの
取引を終えた。

ドルが底固さを取り戻すなかユーロは総じて軟調。ユーロドル相場
は1.13台から1.12ちょうど近辺へ、ユーロ円相場は123円ちょうど
から121円70銭近辺へ、それぞれ下落した。

月曜日の東京市場のドル円相場は早朝に前週末NYの引け108円20銭
から108円60銭近辺へ飛んで高く始まり、60銭〜70銭で推移。

週末にトランプ大統領がメキシコへの関税賦課を見送る旨発表。リ
スク回避が緩和した。日経平均は21,100円台に高寄り。その後はも
み合い小動き。

この日、中国で発表された5月の貿易収支は、黒字が417億ドルと予
想を大きく上回った。輸出が前年同月比+1.1%とマイナス予想に反
してプラスとなったこと、輸入が▲8.5%と減少幅が大きかったこと
が背景。

輸出が堅調だったことで中国株は上昇した。海外市場では米国株も
堅調、小幅続伸。NYダウは6日続伸となり26,000ドルを回復した。

米10年債利回りは2.15%、2年債利回りは1.90%に上昇。ただ利下げ
期待は根強くドル円相場の上値は抑制された。引けは108円50銭〜
40銭。

ユーロドル相場は1.13近辺で推移。ユーロ円相場は122円80銭中心
に上下動していたが引けは122円60銭〜70銭。トランプ大統領は、G
20中に米中首脳会談が実現しなければ3,250億ドルの追加関税を実
施すると述べた。

火曜日の東京市場は引き続きリスク回避が緩和する流れ。ドル円相
場は108円40銭で始まり60銭近辺に上昇してもみ合い。ユーロ円相
場も122円60銭から堅調に。

日経平均は21,100円近辺で小幅高寄りの後もしっかり。後場は
21,200円近辺でもみ合い引けた。アジア株が全般に堅調だったこと
も支えに。

この日、中国政府は地方政府のインフラ投資を促進支援する旨発表
した。海外市場に入るとユーロ円相場が123円台に、ユーロドル相
場も1.1330近辺に上昇してもみ合い。米国株はアジア株の堅調を受
けて高寄りしたが反落して前日比概ね横ばい。

この日発表された米国の生産者物価指数(5月)は前年同月比+1.8%
と予想+2.0%、前月+2.2%を下回り、2017年1月以来の低い伸び。

一方、中小企業景況指数(5月)は105.0と予想102.3、前月103.5を
上回る強めの数字だった。米10年債利回りは小幅低下して2.14%。
ドル円相場は108円50銭近辺でもみ合い引けた。

トランプ大統領は、ユーロやその他の通貨は対ドルで過小評価され
ている、と述べ、また、米国の金利は高い、としてFRBに利下げを
催促した。

また、中国との通商交渉の合意は自分が個人的判断で滞らせている、
今年合意済みの条件に立ち戻らない限り最終合意するつもりはない、
と述べた。

水曜日の東京市場のドル円相場は108円50銭近辺でもみ合い、ユー
ロ円相場は122円90銭〜123円ちょうどで上下。ただ午後から欧州時
間にかけて円高となり、ドル円相場は108円30銭割れ、ユーロ円相
場は122円60銭近辺に下落した。ユーロドル相場は1.1330近辺で推
移。

日経平均は21,100円台前半で小幅安寄りもすぐに上昇して21,200円
台を回復。ただその後はじり安となって21,100円台半ばに押し戻さ
れて引けた。

米中通商摩擦への懸念は根強く、またドル円相場の上値の重さも再
確認したかたち。米国株は小幅続落。米10年債利回りは2.12%に小
幅低下した。2年債利回りは1.88%。

発表された米国の消費者物価指数(5月)は前年同月比+1.8%(予想
+1.9%、前月+2.0%)と弱め。コア指数も+2.0%と前月の+2.1%から低
下し、長期金利を押し下げた。

ドル円相場は108円40銭〜50銭でもみ合い引け。ユーロ円相場は122
円40銭〜50銭に下落。ユーロドル相場は1.1290近辺へユーロ安ドル
高となった。

木曜日の東京市場のドル円相場は108円50銭で始まり20銭〜30銭に
下落。ユーロ円相場は122円40銭〜50銭で始まり20銭近辺に下落。
ユーロドル相場は1.1290〜1.13ちょうど近辺でもみ合い。

日経平均は21,000円台前半に安寄りし21,000円割れに下落。米株軟
調を嫌気。ただその後持ち直し21,000円ちょうど近辺でもみ合い引
けた。

この日発表されたBSI大企業製造業景況指数(4-6月期)は▲3.7と
なり2四半期連続でマイナスとなった。

ドル円相場は、その後は底固く海外市場にかけて108円50銭を回復。
ユーロ円相場も122円50銭近辺に戻した。ユーロドル相場はやや下
落して1.1270〜80で上下。

イギリスでは保守党党首選挙の第1回投票が行われ、ジョンソン氏
がトップとなり、合意なき離脱リスクが高まったと意識された。ま
たユーロ圏の鉱工業生産(4月)は前年同月比▲0.4%と前月の▲0.7
%に続き低調な数字だった。

米国株は3日ぶりに反発、NYダウは100ドルの上昇。ただホルムズ海
峡でタンカー2隻が攻撃を受けたことでイラン情勢を巡る地政学的
リスクの高まりが意識された。

安部首相がイラン・ハメネイ師と会談し米国との仲介を試みたが、
師はトランプ大統領を批判。トランプ大統領もイランとの交渉を考
えるのは時期尚早として不調に終わった。

米10年債利回りは2.09%に、2年債利回りは1.83%に低下。ドル円相
場はじり安となり108円30銭〜40銭で引け。ユーロ円相場も122円20
銭に下落した。

金曜日の東京市場のドル円相場は108円30銭近辺でもみ合い。ユー
ロ円相場は122円20銭から122円ちょうど〜10銭に下落。中東情勢か
らリスク回避気味。

ただ日経平均は前日に米国株がしっかりだったことから3日ぶりに
反発。21,000円近辺で寄り付き21,100円近辺に上昇して小動き、そ
のまま引けた。

この日発表された中国の5月の主要統計はまちまち。工業生産は前
年同月比+5.0%と予想+5.5%、前月+5.4%を下回り2002年以来の低水
準の伸びとなった。

都市部固定資産投資も前月の+6.1%から+5.6%に減速。一方、小売売
上高は同+8.6%と前月+7.2%から伸びが加速し予想+8.2%を上回る強
めの数字だった。

夕刻から海外市場にかけてはさらにユーロ安円高が進み、ユーロ円
相場は121円60銭に、ユーロドル相場は1.1210に下落して引け。ド
ル円相場も108円20銭近辺に下落してもみ合いとなった。ただドル
は全般に堅調。

発表された米国の小売売上高(5月)は前月比+0.5%、前月も+0.2%
から+0.3%に上方修正され消費の堅調を示した。また鉱工業生産(5
月)は前月比+0.4%、設備稼働率は78.1%と前月の77.9%から上昇。
全般にしっかりした数字だった。

これを受けてドルは対円、対ユーロで堅調に。ドル円相場は108円
50銭〜60銭に戻して週末NYの取引を終えた。

米国株は小幅安寄りし持ち直したたが小幅安。米長期金利2年債利
回りは1.84%、10年債利回りは2.08%に小幅低下して引けた。発表さ
れたミシガン大学消費者信頼感指数(6月)は97.9と前月100.0から
悪化。貿易摩擦が尻的に悪影響を及ぼしたとされている。
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2019 年 6 月 10 日
MRA外国為替レポート(6月10日号)
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1.先週の市場総括
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先週の市場は米中通商協議がさらに難航し長期化するとの見方が広
がるなか、週初はトランプ政権による移民抑止を理由とする対メキ
シコ関税の導入表明がさらに市場の不安を高めた。

景気悪化懸念が深まりリスク回避で株価が下落。利下げ観測の台頭
により米長期金利が急速に低下し米10年債利回りは2.1%を割り込ん
だ。

ドルは全般に軟調に推移。円高というよりドル安によりドル円相場
は週央まで軟調で一時107円台に下落した。

週央には対メキシコ関税が回避されるとの期待や利下げ期待から株
価が反発。米長期金利が低迷しつつも底打ちするなかドル円相場は
108円台半ばでの推移となった。

ユーロも対ドルで堅調。週初1.11台半ばで始まったが週後半には一
時1.13をつけた。ユーロ円相場は121円ちょうど近辺で始まり、
ユーロ堅調やリスク回避の緩和で122円台を回復した。

ただ週末に発表された雇用統計が弱い数字となり利下げ期待が一段
と高まった。米10年債利回りは2.08%に低下して引け。米国株は利
下げ期待がさらに高まったことで続伸し、週を通じて堅調な値動き
となった。

そうしたなか日経平均は、週初は景気悪化懸念、米国株の下落、ド
ル安円高で押し下げられ20,300円台で低迷。しかし週央にかけて米
国株の持ち直しとドル円相場の下げ止まりで反発。20,900円近くま
で戻して引けた。

月曜日の東京市場のドル円相場は108円20銭〜30銭で始まり上値の
重い展開。ユーロ円相場も121円ちょうど中心にこのところの安値
圏で上下した。

日経平均は大幅安。20,400円を割り込み上下動。引けは20,400円近
辺。移民流入の抑止策を迫るためトランプ政権がメキシコに対して
段階的に関税を引き上げる計画を発表したことで、一段と通商懸念、
景気悪化懸念が強まった。

アジア時間夕方には米10年債利回りが2.1%割れ。海外市場に入ると
ドルは全面安。貿易摩擦への懸念が広がるなか、発表された米ISM
製造業景気指数(5月)は52.1と予想53.0、前月52.8より弱い数字。

またセントルイス連銀総裁が、世界的な貿易を巡る緊張の高まりに
よる世界経済に対するリスクおよび低調なインフレを踏まえると利
下げは近く正当化される、と利下げに対して一歩踏み込んだ発言。

市場の利下げ期待が強まり、米10年債利回りは2.07%に、2年債利回
りは1.84%に低下。ドルを押し下げた。ドル円相場は107円90銭、
ユーロドル相場は1.1260に上昇。引けはそれぞれ108円ちょうど〜
10銭、1.1240〜50。ユーロ円相場は121円50銭近辺に上昇して引け。

米国株は概ね横ばい。ただしハイテク株はフェイスブック、アマゾ
ン、アップル、グーグルに対する独禁法違反の調査開始で下落した。

火曜日の東京市場のドル円相場は108円割れで底固いものの上値重
く108円を挟む値動きとなり夕刻は108円10銭〜20銭。ユーロ円相場
はリスク選好に支えられ121円30銭に下落した後は上下しながら上
昇。

日経平均は20,400円近辺で始まり軟調となり一時300円近辺に下落
したが、20,400円近辺でもみ合い引けた。

海外市場のドル円相場は小動き。一時108円30銭に強含んだが結局1
08円ちょうど〜10銭で引けた。ユーロドル相場は1.1250中心に上下。
ユーロ円相場は121円70銭中心に上下して引けた。

米国株は大きく反発、堅調な展開。利下げ期待に加えて米国とメキ
シコの交渉への期待が支え。米10年債利回りは2.12%に反発しドル
安に一旦歯止めをかけた。

パウエル議長は、貿易摩擦による影響を注視、景気拡大維持のため
適切に行動する、と利下げ検討に道を開いたかたち。シカゴ連銀総
裁は、経済ファンダメンタルズは好調、と市場のハト派期待ほどに
は慎重な発言とならなかった。

水曜日の東京市場のドル円相場は108円ちょうど〜10銭で始まった
あと底固いながら上値も重く小動き。ユーロドル相場も1.1260〜70
で推移。ユーロ円相場は121円70銭〜80銭。

日経平均は米国株の上昇、ドル円相場の下げ止まりを好感して
20,700円で高寄りし、700円台後半でもみ合い引けた。

海外市場に入るとイタリア問題を巡ってユーロが上下動。ユーロは
対円で122円20銭、対ドルで1.1280〜90に上昇していたが、EUがイ
タリアに対し過剰財政赤字の懲戒手続きを開始、との報道で下落。
ユーロ円相場は121円60銭に、ユーロドル相場は1.1250台に押し戻
された。その後米国市場に入るとドル安が進んだ。

発表されたADP雇用報告(5月)で雇用者数前月比が+27千人と予想+
190千人、前月+275千人から大きく鈍化。米10年債利回りは2.08%に
低下。ドル円相場は107円80銭台に下落し、ユーロドル相場も1.13
台にユーロ高ドル安。

FRB理事や総裁らからハト派的な発言が相次いだことも金利を押し
下げドル安を促した。

しかしその後メキシコに対する関税導入が回避されるとの見方から
米国株が続伸しドルは反発した。ナバロ国家通商会議委員長が、対
メキシコ関税適用はないかもしれない、と発言。

グラスリー米上院議員も、メキシコへの関税発動はないだろう、と
述べた。

米10年債利回りは2.13%に反発。ドル円相場は108円50銭に上昇して
引け。ユーロドル相場は1.1220から30でもみ合い引けた。ユーロ円
相場は121円70銭近辺。

木曜日の東京市場のドル円相場は108円40銭台で始まり早朝に20銭
に下落。ユーロ円相場も121円70銭から50銭へ。その後も上値の重
い展開。

ドル円相場は40銭に戻したもののじり安となり108円10銭〜20銭で
もみ合い。ユーロ円相場も121円50銭中心に上下した。

日経平均は20,700円台後半で始まり800円台に乗せてもみ合いとな
ったが引けにかけて800円割れに押し戻された。

海外市場に入るとユーロが上下動。ECB理事会では来年6月まで利上
げなし、とフォワードガイダンスが変更となった。ただ利下げまで
織り込み始めている市場の予想には届かず。9月に開始される長期
資金供給オペの金利が発表となり、0.1%〜▲0.3%とされたが、これ
はややタカ派的と判断された。ユーロは対ドルで1.13に上昇。

しかしドラギ総裁は定例記者会見で、金融正常化には程遠い、景気
不透明感が増している、数人が利下げを提案、とされ、ユーロドル
相場は1.1250割れに反落した。

米国株は続伸。米国とメキシコの交渉が続き関税回避との思惑も台
頭。リスク選好が回復した。ドル円相場は108円50銭台に上昇し引
けは40銭。ユーロ円相場は122円20銭から30銭に上昇して引け。米
10年債利回りは2.12%でほぼ変わらず。


金曜日の東京市場の為替相場は米国の雇用統計発表を控え小動き。
ドル円相場は108円40銭〜50銭近辺でもみ合い。ユーロ円相場は
122円20銭を中心に上下。ユーロドル相場は1.1260〜70でもみ合い。

日経平均は20,800円台で高寄りし、底固くもみ合い小幅上昇し
20,900円手前で引けた。

注目の米雇用統計(5月)は、非農業部門雇用者数・前月比が+75千
人と予想+185千人を大幅に下回り、前月の+225千人から大きく減速。
平均時給の上昇率も前月比が+0.2%と予想+0.3%より弱めで前月と変
わらず、前年同月比は+3.1%と前月および予想+3.2%に届かなかった。

これら弱い数字に再び利下げ期待が強まり米長期金利は低下。10年
債利回りは2.08%、2年債利回りは1.85%。為替市場ではドルが全面
安。ドル円相場は一時107円90銭に、ユーロドル相場は1.1320に、
ドル安が進んだ。

一方、米国株は利下げ期待が強まり長期金利が低下したことを好感
して上昇。堅調なまま週の高値引け。リスク選好が回復するなか円
は軟調となり、ドル円相場は108円20銭で引け。ユーロ円相場は
122円60銭〜70銭に上昇して引け。ユーロドル相場は1.1330〜40で
ユーロ高ドル安のままNYの取引を終えた。

なお、週末にはトランプ大統領がメキシコとの合意で関税賦課を見
送ることを発表している。
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2019 年 6 月 3 日
MRA外国為替レポート(6月3日号)
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1.先週の市場総括
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先週の市場は米中通商協議がさらに難航し長期化するとの見方を織
り込みつつ、加えてトランプ政権が対メキシコ関税引き上げを打ち
出したことで、景気悪化懸念からリスク回避的な状況が一段と深ま
った。

3連休明けの米国株は週初こそ堅調に始まったが、中国がレアアー
スの対米禁輸を検討するとの報道を嫌気して下落。日経平均も週央
から大きく下落。

さらに日本時間金曜日の朝方に、トランプ政権が対メキシコ関税引
き上げを表明したことで日経平均が20,600円に下落し安値引けとな
った。米国株も週末にかけて大幅安。米10年債利回りは2.13%に大
きく低下した。

為替市場では当初ドルは安全通貨として底固く、円高にもかかわら
ずドル円相場は概ね109円台半ばを中心に方向感のない展開。一方
ドル以外の通貨の対円相場(クロス円相場)では円高が進んだ。

ユーロは、イタリアの財政不安が高まったこともあり、対ドル、対
円、ともに下落。ただドルは週末には底固さを失い円が全面高。ド
ル円相場は108円30銭、ユーロ円相場は121円ちょうど近辺で取引を
終えた。

月曜日の東京市場のドル円相場は110円30銭で始まり底固い値動き。
40銭〜50銭でもみ合いとなった。ユーロ円相場も122円50銭台から
70銭に上昇。日経平均は21,150円〜21,200円で上下動してそのまま
引けた。

トランプ大統領の訪日により開催された日米首脳会談ではとくに明
確な材料はなし。日米通商協議は7月の日本の参議院選挙以降に本
格協議を行う、とトランプ政権が安倍政権に配慮を示した。

この日はロンドン、NY、ともに休場。ドル円相場は109円50銭台で
小動き、動意なし。ユーロドル相場は1.12ちょうど近辺。ユーロ円
相場は122円60銭〜70銭。

週末に欧州で行われた欧州議会選挙では親EU勢力が3分の2を堅持し
たものの、連立与党は合計で過半に届かず。他の親EU勢力が議席を
伸ばし、一方で極右勢力も議席を伸ばした。

イタリア・サルビーニ副首相率いる反EU政党「同盟」も欧州議会で
議席を増やした。

火曜日の東京市場のドル円相場は109円50銭を中心に上下した後、
夕刻にかけて109円20銭に小幅安。ユーロ円相場も122 円60銭から
下落して30銭中心の上下となった。

日経平均は21,200円で寄り付き堅調。21,250円〜300円でもみ合い
引けた。

海外市場に入るとドル円相場は109円50銭〜60銭に持ち直し。ユー
ロ円相場も122円60銭に反発。ただその後は円高に振れた。

中国の共産党系メディアが、対米レアアース輸出制限を検討と報じ
たことで、市場の不安感が高まった。米国株は小高くスタートして
いたが後場から引けにかけて大きく下落した。

米10年債利回りは2.26%と1年8ヶ月ぶりの低水準に低下。為替市場
ではクロス円相場が下落。ユーロ円相場は122円10銭近辺に下げて
引けた。ユーロは対ドルでも小幅下落して1.1160〜70。ドル円相場
は109円30銭台。

この日発表された米国の消費者信頼感指数(5月)は134.1と予想
129.8、前月129.2を上回ったが反応は鈍かった。ダラス連銀製造業
景気指数(5月)は▲5.3と予想5.8、前月2.0から悪化。

水曜日の東京市場のドル円相場は109円30銭を中心に上下。ユーロ
円相場は122円10銭を中心に上下。夕刻にかけてはユーロ安円高が
進み121円80銭〜90銭に。ユーロドル相場も1.1150に下落した。ド
ル円相場は109円20銭に弱含み。

日経平均は米株安を嫌気して大幅安寄りとなり21,000円割れ。さら
に20,900円も一時割ったが、その後は21,000円近辺でもみ合いとな
った。海外市場に入ると米国株が大幅続落。

人民日報も、対米対抗手段としてレアアースを利用する用意がある、
と報じ、米中通商懸念、世界経済悪化懸念が強まった。

米国株は引けにかけて持ち直したが、ダウは前日比▲220ドル。リ
スク回避のなか米10年債利回りは一時2.21%に低下し、引けは2.26%。

為替市場ではドルが堅調。ユーロドル相場は1.1130へユーロ安ドル
高が進んだ。ユーロは軟調。ユーロ円相場は121円60銭に下落した。
ドル円相場は109円60銭〜70銭に小幅上昇して引け。ユーロ円相場
も122円ちょうど近辺に戻した。

木曜日の東京市場のドル円相場は109円60銭で始まり底固く、夕刻
には80銭近辺に小幅上昇した。ユーロ円相場も同様に122円ちょう
どから122円20銭へ。ユーロドル相場は1.1130〜40でもみ合い。

日経平均は米株安を嫌気して続落。20,900円割れから800円へ。た
だその後は持ち直して20,950円近辺で引けた。アジア時間に米10年
債利回りがやや上昇して推移し、市場心理を支えた。

海外市場ではドルは底固いながら小動き。発表された米GDP(1-3月
期、改定値)は前期比年率+3.1%と速報+3.2%から若干下方修正とな
ったが予想通り。個人消費と輸出は上方修正され、景気の足腰はな
おしっかりしているとの評価。

一方、イタリア・サルビーニ副首相は、税制改革など優先政策が果
たされなければ連立解消の覚悟、と述べ不安感を煽った。

米国株は3日ぶりに反発。一方米10年債利回りはなお低下基調で
2.22%。ドル円相場は一時109円90銭に接近したが結局109円60銭近
辺で引け。

ユーロドル相場は1.1130近辺で変わらず。ユーロ円相場は122円ち
ょうど近辺で引け。

この日、FRBクラリダ副議長は、米国景気は非常に良好な状態、と
しつつも、予防的に行動する必要性を感じれば、失望すべき経済指
標だけでなくリスクの高まりが利下げを促す引き金となる可能性も
考えられる、と述べた。

通商リスクが視野に入っているとみられるが、現時点ではそこまで
達していないとの判断か。

金曜日の東京市場ではクロス円相場を中心に円が全面高となった。
日本時間朝方、トランプ大統領がメキシコからの輸入品すべてに関
税を賦課する方針を発表。メキシコが米国への不法移民を阻止しな
ければ、6月10日に5%、その後、状況に改善がみられなければ段階
的に25%まで引き上げる、とした。

これにより再び通商懸念が高まり、景気悪化を織り込んでリスク回
避の動きが広がった。日経平均は20,800円割れで始まり後場に一段
安。20,600円近辺で安値引けとなった。

ドル円相場は109円60銭近辺で始まり、午後には109円を割り夕刻に
は108円70銭〜80銭でのもみ合いとなった。ユーロ円相場は122円ち
ょうどで始まり、121円20銭〜40銭でもみ合い。

この日、発表された中国のPMI製造業景況感指数(5月)は49.4と予
想50.5、前月50.1から大きく悪化して景況感の分かれ目である50を
割り込んだ。

海外市場に入ると米国株が大幅安。NYダウは前日比▲350ドル。
米10年債利回りは2.13%まで低下した。ドルは軟調。ドル円相場は
じりじりと下落してNYの引けは108円30銭。

円は全面高となり、ユーロ円相場は121円ちょうど近辺で引けた。
ユーロドル相場は1.1170近辺にややユーロ高ドル安となった。

原油価格は世界景気悪化懸念・需要減退予想から下落し、WTI先物
は53.50ドル。発表されたミシガン大学消費者マインド指数(5月・
確報)は100.0と速報102.4から下方修正された。一方、個人所得・
消費支出(4月)はなお堅調な数字を示した。
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2019 年 5 月 20 日
MRA外国為替レポート(5月20日号)
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1.先週の市場総括
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先週も米中通商交渉をめぐる情報に翻弄される展開となったが、米
国が他の国・地域との交渉では前進させる動きをみせたこと、米国
の経済指標が良好だったことで、リスク選好が支えられた。ドル円
相場は109円70銭近辺で始まり、中国が報復関税の実施を決めると
一時109円ちょうど近辺に下落したが、上下動しつつ週末には110円
台を回復した。

ユーロ円相場は123円台前半で始まったが、米中交渉に加えイタリ
ア財政に対する懸念から軟調となり一時122円に接近する場面も。
週末にはリスク選好に支えられ122円80銭近辺で引け。

米国株は週初の中国の対米報復関税を受けて大きく下落して始まり、
その後は持ち直したが、前週末の水準を超えられず。日経平均も一
時21,000円を割り込んだが、その後は堅調に推移して前週末とほぼ
同水準の21,250円で引けた。

米10年債利回りは米中交渉への警戒感や利下げ観測が再び強まった
ことから2.4%近辺で低迷したまま。

月曜日の東京市場のドル円相場は109円70銭〜80銭で、ユーロ円相
場は123円20銭〜40銭でともに上下し、夕刻にはやや円高に振れた。

日経平均は21,200円割れで安寄り、200円台に戻したものの後場は
上値の重い展開となり、結局21,200円割れで引けた。

海外市場のドル円相場は109円60銭〜70銭のもみ合いから109円ちょ
うど近辺に急落。ユーロ円相場も122円60銭近辺へ。

米国は新たに3,250億ドルの中国製品に追加関税を発動する手続き
を開始。中国は対米輸入品600億ドルに対する追加関税を発表した。
市場はあらためて米中交渉の難航を嫌気。リスク回避心理が広がっ
た。

米国株は大幅安、急落となり、NYダウは600ドル以上の下げ。米長
期金利10年債利回りは2.40%に低下。円は全面高となった。ドル円
相場はその後下げ止まったものの109円20銭〜30銭、ユーロ円相場
は122円60銭〜70銭で引けた。

火曜日の東京市場のドル円相場は109円20銭で始まり60銭台に反発。
ユーロ円相場は122円60銭から123円台を回復し、さらに夕刻には
123円30銭〜40銭に上昇した。

日経平均は米国株の急落と円高を嫌気して20,800円割れで大幅安寄
り。ただその後、前場には21,000円を回復し21,000円〜21,100円で
もみ合い引けた。

トランプ大統領が6月末の大阪G20サミットで習主席と首脳会談を行
うとしたことで、なお進展期待が回復し株価を支え円高に歯止めが
かかった。中国政府も交渉継続で合意していることを確認。

海外市場に入るとユーロが下落。イタリアのサルビーニ副首相が、
雇用拡大に必要なら政府はEU財政規制に違反する用意がある、と発
言したことでイタリア国債が売られユーロ売りの動きとなった。
ユーロは対ドルで1.1230台から1.12ちょうど近辺へ、ユーロ円相場
は122円80銭〜123円ちょうどで上下。

一方、米中通商交渉をめぐってはやや安心感も。ムニューシン米財
務長官が近く訪中する可能性、交渉継続を望んでいる、との報道。
トランプ大統領は、適切な時期が来れば中国とディールすると発言
した。

米国株は上昇。ドル円相場は109円60銭〜70銭を中心にもみ合いと
なり引けた。

水曜日の東京市場の為替相場は小動き。ドル円相場は109円60銭〜
70銭、ユーロ円相場は122円90銭中心に、それぞれ上下動。日経平
均は21,100円台で寄り付き一時は割り込んだものの持ち直し、後場
には一段高となり21,100円台後半で引けた。

中国で発表された4月の主要経済指標はいずれも弱い数字。都市部
固定資産投資は前年同月比+6.1%と前月の+6.3%から減速。鉱工業生
産は同+5.4%(前月+8.5%)、小売売上高は同+7.2%(前月+8.7%)。

これらの数字は弱かったが中国政府が何らかの景気対策を講じると
の期待感がむしろ高まって中国株・上海総合指数は上昇。日経平均
も堅調となった。

欧州市場に入ると再びユーロが下落。イタリア副首相が、EU財政規
律違反をいとわず、と繰り返した。ドイツ国債は質への逃避で買わ
れ10年債利回りはマイナス0.10%と2016年以来の低水準へ低下した。

ユーロドル相場は1.1180へ、ユーロ円相場は122円20銭割れ。ドル
円相場も109円20銭近辺に下落した。米国市場に入ると米国株が下
落して始まったものの上昇し前日の高値を抜いてプラス圏に。

米国の小売売上高(4月、前月比▲0.2%)や鉱工業生産(同、▲0.5
%)は冴えない数字だったが、通商問題をめぐるポジティブなニ
ュースが支えとなった。

トランプ大統領が輸入車に対する追加関税導入判断を最大6か月先
送りとの報道。ムニューシン財務長官が、カナダ・メキシコに対す
る鉄鋼・アルミ関税が撤廃に向け近づいている、と述べたことが好
感された。

円は全般的に軟調。ドル円相場は109円60銭に、ユーロ円相場は一
時123円台に急騰するなど値動きの荒い展開となり122円70銭〜80銭
近辺でもみ合い引けた。ユーロドル相場は1.12近辺。米10年債利回
りは2.38%に低下。

木曜日の東京市場のドル円相場は109円60銭で始まり40銭〜50銭で
上下。ユーロ円相場は122円80銭で始まり60銭〜70銭で上下。

日経平均は反落、安寄り、早々に21,100円を割り込み、その後は
21,000円〜21,100円でもみ合い引けた。

米国が中国ファーウェイ社の通信機器の販売を事実上制限する措置
を発表したことで、あらためて米中交渉への懸念が広がった。

海外市場に入るとユーロが持ち直し。ユーロ円相場は122円80銭〜
123円ちょうど、ユーロドル相場は1.1220近辺へ。またドル円相場
は米国市場にかけて109円90銭近辺に上昇した。

米国株は続伸し寄り付きから堅調。発表された住宅着工件数(4
月)が季節調整済み年率換算で1,235千戸(前月1,139千戸)、フィ
ラデルフィア連銀製造業指数(5月)が16.6(予想10.0、前月8.5)
と強い数字だったことや、良好な企業決算が好感された。

そうしたなかユーロは下落。イタリア副首相がEUの財政規律を批判
したことが再三嫌気された。ユーロドル相場は1.1170〜80、ユーロ
円相場は122円70銭に下落。米10年債利回りはやや反発して2.40%。

金曜日の東京市場のドル円相場は109円90銭から一時110円台に。
ユーロ円相場も122円70銭から90銭にやや円安が進んだ。日経平均
は堅調な米国株やドル高円安を好感して21,200円台半ばで高寄りし、
続伸して21,400円に接近した。

しかし中国国営メディアが、米国が中国に脅しをかけている状況で
は協議を再開させるつもりはない、米国側に誠意が感じられない、
真に誠意を示す動きがなければ米当局者が訪中して協議を続ける意
味がない、と報じたことで株安・円高に。日経平均は反落して21,2
50円近辺で引けた。

海外市場にかけてドル円相場は109円60銭、ユーロ円相場は122円30
銭近辺に下落した。海外市場に入るとドル円相場、ユーロ円相場と
もに持ち直し。

米国は鉄鋼アルミ関税撤廃でカナダ、メキシコ両国と合意。対日・
対欧自動車・部品輸入関税発動の180日間延期を決定。

発表されたミシガン大学消費者信頼感指数(5月)は102.4と予想97.
7を大きく上回り前月97.2から上昇して2004年以来15年ぶりの高水
準となった。

ドル円相場は110円台に乗せて引け。ユーロ円相場は122円90銭台。
米国株は安寄りしたのち持ち直し下げ幅を縮小したが、米中通商交
渉は不透明感を増したままとなり、前日比マイナスで引け。米10年
債利回りは2.39%と低迷したままとなった。
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2019 年 5 月 13 日
MRA外国為替レポート(5月13日号)
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1.先週の市場総括
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先週初、合意間近とみられていた米中通商交渉をめぐり状況が一変。
中国がこれまでの合意を修正し国内法の修正を拒んできたことから
米国が不信感を強めて協議が後退。トランプ政権が対中関税引き上
げを打ち出し、市場の警戒感が一気に高まった。

当初は交渉を前にした脅しとの見方もあったが、次第に実施の可能
性が高いとの見方から不安感が広がった。

中国の劉鶴副首相は8日訪米の予定を9日に延期しつつワシントンを
訪問し、交渉が始まったが容易に合意はできず。現地10日0時、日
本時間10日金曜日午後1時に2,000億ドルの関税引き上げは実施され
た。

株式市場は週初から大きく下落。日経平均は連休明けから4日続落
となり連休前の引値22,200円台から先週末は21,300円台まで下げた。

リスク回避が強まるなか為替市場では円高が進み、ドル円相場は
109円台半ば、ユーロ円相場は一時122円台半ばに下落した。

ただ今後も交渉が継続する見込みとなったこと、今回の短時間の交
渉について米国側が建設的と評価したこと、から週末にはやや安心
感が回復。株価は下げ止まり、円高も一服した。ドル円相場は110
円近辺、ユーロ円相場は123円台半ばで週末NYの取引を終えた。

6日月曜日の東京市場は連休最終日で休場。5日日曜日にトランプ大
統領が、中国が合意を後戻りさせようとしている、中国に対して追
加関税引き上げを行う、2,000億ドルについて10%から25%に、さら
に3,250億ドルについても25%に引き上げを検討、と発言。アジア市
場は緊張感のなかで始まった。

リスク回避が強まるなか、ドル円相場は前週末の111円10銭近辺か
ら110円60銭〜70銭に下落して始まりすぐに30銭まで下落。ユーロ
円相場は124円台半ばから123円半ばに下落して始まった。

中国株はトランプ発言を受けて全面安・大幅安。米中ともに交渉決
裂は避けたいだろうとの見方は根強いなか、トランプ発言が交渉を
前にした脅しとの見方もあり、その真意を探る不安定な値動きに。

ドル円相場はその後海外市場にかけて戻して110円70銭〜80銭、
ユーロ円相場は123円台後半で上下。

海外市場に入ると欧州株も大幅安。米国株も大きく下げてスタート
したが、その後は持ち直して小幅安にとどまった。ドル円相場は
110円80銭〜90銭、ユーロ円相場は124円台に戻して引けた。米10年
債利回りは小幅低下して2.50%。

火曜日、連休明けの東京市場は早朝から円高の動き。ドル円相場は
110円80銭台から60銭へ、ユーロ円相場は124円20銭から123円80銭
台へ。

日経平均は小幅安寄りもその後は下落して22,000円へ下落。後場に
は一段安となり21,900円近辺で引けた。海外市場に入るとリスク回
避が一段と強まった。

欧州委員会が公表した経済見通しではユーロ圏とくにドイツの成長
率見通しが大きく引き下げられた(前回1.1%から0.5%に)。

またライトハイザーUSTR代表が10日0時をもって2,000億ドルについ
て関税引き上げを決定した旨を表明。中国による合意文書案の修正
は深刻とした。

中国との交渉が当初予定の8日から1日延期となり9日からとなった
ことから、引き上げまでわずか1日となり関税引き上げは不可避と
の見方が強まった。

これらを受けてグローバル景気失速懸念から米国株は大幅安。米国
株の予想変動率指数であるVIXインデックス(別名、恐怖指数)は
大幅上昇。米10年債利回りは2.45%に低下した。

ドル円相場は110円20銭まで下落。ドル以外の通貨に対する円相場
(クロス円相場)における円高が顕著。ユーロ円相場は123円20銭
に低下して40銭で引けた。ユーロドル相場は1.12を中心に上下。

水曜日の東京市場のドル円相場は110円20銭台で始まり110円割れ。
ユーロ円相場も123円40銭で始まり20銭を割った。日経平均は
21,600円で大幅安寄り。その後も軟調で後場には21,500円台前半に
下落。引けにかけてはやや戻して21,600円手前で引けた。

ドル円相場はその後110円台に戻して海外市場にかけても110円ちょ
うど〜20銭でかろうじて110円を維持。ユーロ円相場も123円20銭〜
30銭近辺でもみ合いとなった。

米国株は下げ止まり横ばい。翌日からの米中通商交渉を見極めよう
との姿勢が強まった。USTRは2,000億ドルについての関税引き上げ
を官報で正式に発表。中国は対抗措置を表明した。

木曜日の東京市場のドル円相場は110円ちょうどを挟んで小動き上
下動。ユーロ円相場も123円ちょうどを挟んで上下。日経平均は
21,500円近辺で寄り付き続落して21,300円台前半まで下げた。後場
にはやや持ち直したが引けは21,400円近辺。

夕刻から海外市場にかけては一段と円高が進み、ドル円相場は109
円60銭へ、ユーロ円相場は122円60銭を割り込んだ。ただ海外市場
に入ると持ち直して上下。ドル円相場は109円90銭に反発した後、
50銭に下落、60銭〜80銭で上下した。

ユーロ円相場は123円ちょうど〜20銭に戻して上下。ユーロドル相
場は1.12ちょうどから1.1250近辺にユーロ高ドル安が進んだ後は
1.1220近辺でもみ合い。

米国株は大幅安の後に持ち直し、前日比下落したが下落幅を縮めて
引けた。中国・劉鶴副首相がワシントンに到着。トランプ大統領は、
習主席から素晴らしい書簡を受け取った、主席と電話会談の可能性
がある、と述べた。この発言を受けて株安には歯止めがかかった。

金曜日の東京市場では米国の対中関税引き上げ発動期限である午後
1時を前にやや円安に巻き戻しが入った。ドル円相場は109円70銭で
始まり一時110円台を回復、午後1時には109円80銭近辺。ユーロ円
相場は123円10銭で始まり123円60銭に上昇した後、20銭〜30銭。

日経平均は21,400円で寄り付き一時21,600円近くに戻したが反落。
後場早々、1時ころには21,200円近辺に下落した。

結局、対中関税の引き上げは実施へ。市場は織り込み済みで反応は
鈍く、若干円高に振れたにとどまった。

海外市場に入ると、米国株があらためて関税引き上げ実施を嫌気し
て大幅安となり前日の安値割れ。つれてドル円相場は一時109円50
銭近辺に、ユーロ円相場は123円10銭台に下落した。

ただムニューシン財務長官が、話し合いは建設的だった、と述べ、
またトランプ大統領は、合意は全く急ぐ必要はない、2日間の協議
で率直かつ建設的な対話をもった、今後の協議進展次第で関税は撤
廃か維持かのいずれか、習主席との関係は引き続き強固だ、と発言。

市場は交渉継続を好感するかたちで株価は大きく戻して前日比プラ
スに。ドル円相場は110円ちょうど近辺まで反発してNYの取引を終
えた。ユーロ円相場は123円50銭〜60銭。ユーロドル相場は1.12台
前半。
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