商品市場/外国為替レポートバックナンバー

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「ブラジル大統領選を受けた粗糖・コーヒー高」

「軟調推移もドル安と米GDPを受けて下げ幅削る」

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1.商品市況概況
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◆昨日の商品市場(全体)の総括
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「軟調推移もドル安と米GDPを受けて下げ幅削る」

昨日の商品価格はコーヒーやココアなどのその他の農産品の一角と
エネルギー価格が上昇したが、非鉄金属株などが下落した。


基本的には景気に対する懸念が強まる中で、景気循環銘柄が売られ、
安全資産が売られる流れだったが、米GDPが市場予想を上回ったこ
とや、引けにかけてのややテクニカルなドル指数の下落が投機的な
買戻しを誘ったためとみられる。

特殊要因で動いているのは、コーヒーや粗糖などであり、その他の
銘柄はそれ程目立った固有要因があるわけではない(詳しくは本日
のMRA's Eyeをご参照下さい)。


週末金曜日、日本にとって大きなニュースは、やはり日中首脳会談
だろう。会談の内容や、日中首脳の合意内容の詳細は新聞紙面など
に譲るが、ポイントをまとめると以下の通りだ。

・競争から協調、お互いパートナーとして脅威にならない、自由で
公正な貿易体制の発展の3原則を確認
・習主席の来年の日本訪問を打診
・中国へのODA終了
・第三国でのインフラ開発協力を推進
・尖閣諸島の周辺海域での衝突回避のための意思疎通の強化
・東シナ海のガス田の問題早期解決
・日本の食品の輸入規制緩和

この10年間、関係が悪化する一方だった同国との関係だが、これら
が本当に実行されるのであれば、少なくとも経済面で日本への影響
は緩和されることになる。

しかし、今までこうした合意を掌返ししてきた歴史を中国は持って
おり、また、今回の歩み寄りは明らかに米国の中国に対する対応の
変化によって、日本と米国の関係にくさびを打ち込むのが主目的で
あることを考えると、諸手を上げて喜べる話ではないだろう。

ただ、先端技術や知的財産分野で日中が協力する、「日中イノベー
ション協力対話」の創設で合意している。中国はこれにより、日本
の先端技術を手に入れることを視野に入れているわけだ。

日本は中国との対話を通じて、中国が知的財産を適切に管理する仕
組みづくりに関与できれば、と考えているが世界の覇権、とくにハ
イテク分野で覇権を狙っている国が、すんなりとそれを飲むとは思
えない。

とはいえ、隣国との緊張緩和は歓迎すべきことであり、不用な地政
学的リスクの高まりの回避につながるため、景気後退時の過剰なリ
スク資産価格の下落を抑制し、景気にとってはプラスに作用する。
景気循環系商品価格にもプラスに作用するだろう。

しかし、米国はとりあえず本件に関しては静観の構えだが、状況に
よっては日本に圧力を掛けてくる可能性は十分にあり得る。米中の
問題は11月の中間選挙後に開催されるかもしれない、米中首脳会談
を見極める必要があるだろう。

恐らく、制裁は継続するが、来年1月から予定されている関税引き
上げ時期を延期する、といった交渉カードが切られる可能性はある
と考える。


週明け月曜日は目立った材料がない中、引き続き企業決算、株価動
向をにらみながら神経質な推移になるだろう。基本は景気循環系商
品に下押し圧力が掛かる展開になると予想している。


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◆昨日の商品市場(個別)の総括
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---≪エネルギー≫---

昨日の原油価格は下落後上昇した。企業決算の悪化を受けて株価が
下落する中、リスク資産が売られる流れとなったが、米国時間に発
表された米GDPが前期からは減速したものの、市場予想を上回った
こと、ユーロの上昇でドルが下落したことで買戻しが入った。

弊社は12月のOPEC総会では、OPEC諸国は足並みをそろえて減産を解
除(除くイラン)すると見ているが、ここにきてサウジアラビアの
立場が微妙になってきていること、またその中でのイランの立ち位
置を考えると、足並みをそろえた減産解除があるかは微妙になって
きた。

トルコが米国との関係改善と友好国であるカタールへのサウジの制
裁解除を目論んで、今回の殺害事件にムハンマド皇太子が関わって
いる証拠を米国に大量に開示しているようだ。

エルドアン大統領の声明は、「計画的な犯行」とサウジを批判しつ
つ、それ以上のことは明かさなかったため、むしろこれからサウジ
とトルコの間で政治的な駆け引きが続くことを意識させる内容であ
り、全容解明にはほど遠い内容だった。

敢えて今回はムハンマド皇太子の関与に関して触れておらず、今後
の展開によってはムハンマド皇太子更迭、元皇太子のナエフ皇子が
皇太子に復帰、というシナリオもあり得る。

また、もし皇太子の関与が示された場合、何の制裁もなしというわ
けにはいかないだろう。米国は徐々にトーンを「何らかの制裁実
施」に傾けつつある感じだ。

こんな中、とうとうサウジアラビアは「計画的な犯行だった」こと
を認めた。しかし、引き続きムハンマド皇太子の関与は否定してい
る。

恐らくそれを示す材料をトルコは保有しているとみられるが、仮に
ムハンマド皇太子の名前をトルコ側から公表すると、却ってサルマ
ン国王が頑なに息子を庇うと考えられる。

そしてその場合、軍事的にトルコに悪影響が及ぶ(例えば、クルド
人に対してサウジアラビアが支援を強める、など)可能性があるた
めトルコも軽々には動けないのだろう。

そのため持久戦でサルマン国王が皇子の扱いを考えなおすことを待
っているのではないか。恐らくこの問題は長期化することになるだ
ろう。

結局、原油価格が下落するには、国際市場にイランがいつ戻ってこ
れるのか?に依拠することになる。あるいは原油供給減少に伴う価
格上昇が需要を減速させる、あるいは株価が急落して市場参加者の
リスク選好が後退する、ということが起きなければ、しばらく原油
価格は高止まりすると予想される。

しかし、需給面の材料を整理すると価格には下向きバイアスがかか
りやすい。そもそも景気が循環的に減速する可能性が高い中で米国
の利上げが持続する見通しである上、米国発の中国制裁、同盟国へ
の保護主義政策の拡大が景気を下押しすることになる。

そして、中国に対する制裁は、米国の選挙の結果に関わらず長期化
する可能性がある。先日のペンス副大統領の講演でのスピーチは、
明確に経済面で中国に宣戦布告しているのと同じである。これはト
ランプ政権というよりも、議会共和党の意向と考えたほうが良い。

ではいつまで制裁が続くかといえば、具体的には、中国の景気拡大
が失速して米国と覇権を争えるような状態になくなる、中国が世界
シェアを取りに行こうとしているハイテク分野の内製化をあきらめ
る、人民元高を許容する(バブル崩壊時の日本と同じ)、といった
明確な成果があるまで継続するのではないか。

ただし、利上げを継続する中で米国景気が失速し、国民からの不満
が高まる可能性がある2019年末頃が、翌年に大統領選挙を控える
「トランプ政権のリミット」と考えられ、制裁は継続しつつも来年
春頃までに一部制裁が緩和されるのがメインシナリオだ。

なお、過去の可処分所得とエネルギー消費額の関係を分析してみる
と、WTIは107ドル程度までの上昇が許容できるため、まだ米政府に
は「ゆとり」があるともいえる(詳しくは2018年6月4日付
MRA's Eye「米国の石油製品購買力」を参照下さい)。

トランプ大統領弾劾裁判の可能性が高まっていたが、引き続き米国
内では「トランプ礼賛本」がベストセラーの状態であり、「ウォー
ターゲート事件の再来」はなさそうというのがメインシナリオにな
りつつある。日本で報じられているほど、米国人はトランプのこと
を嫌いではない。

また、「より与し難い」ペンスが大統領になるよりは、トランプの
ほうが良い、と民主党側も判断している可能性があり、弾劾にまで
は至らないのではないかとの見方もある。

なお、対中東政策は、大統領が続投しようが、トランプ大統領が辞
めてペンス副大統領になろうが、変わらないと見る。ペンス副大統
領は敬虔なキリスト教福音派であり、トランプ大統領よりもより強
力にイスラエルを支持するだろう。

イランは改めてその点が米国のアキレス腱と考えたか、強硬な姿勢
を維持、ホルムズ海峡での軍事演習を実施した。それに対し8月7日
から米国のイランに対する制裁が再開された。具体的には以下の制
裁が再開されている。

・イラン政府によるドルの購入・取得
・イランとの貴金属(金など)取引
・黒鉛、原材料及び半製品の金属、石炭、産業用ソフトウェアでの
イランとの直接的・間接的な販売、供給、取引
・イラン製の敷物(ペルシャ絨毯など)と食品の米国への輸入及び
特定の関連する金融取引

今回の制裁再開により、イランとのエネルギー以外のビジネスを行
っている国や企業の活動に影響が出ることは間違いがなく、それ単
体では原油価格の下押し要因となる。

問題は11月4日が期限とされる制裁の再開だろう。具体的には、以
下のように原油供給に関連するものが多い。

・イランのエネルギーセクター、保険及び引き受けサービス
・イラン産の原油や石油製品、化学製品の購入を含む石油関連取引
・イラン国営石油などの企業やイランの海運、
造船セクターとの取引
・イラン中央銀行など、2012年に米議会から指定を受けたイランの
金融機関との取引
・2016年1月時点で米国が作成したブラックリストに記載されて
いた個人

この2つの政策は供給面で価格上昇要因と下落要因となり、価格に
は方向性が出難い。しかし、景気が減速する局面での原油価格の上
昇は中長期的に景気の減速をもたらすため、トランプ政権の政策は
価格の下落要因につながると考えるべきである。

イラン問題の今後の展開は複数考えられるが、最もあり得そうなの
が、中間選挙で共和党が勝利し、イランとの緊張緩和に動く(ユダ
ヤ人票を意識する必要がなくなる場合(供給懸念緩和で原油価格の
下落要因。ただしさらに苛烈になる可能性もある)、民主党が上下
院とも過半数を確保しイラン制裁を緩和する場合(核協議再開によ
る供給懸念緩和で原油価格の下落要因)、共和党勝利で「支持を得
た」としてイランに対してさらに強硬な姿勢を取る(供給懸念がさ
らに強まり価格の上昇要因)あたりが想定される。

しかし、それまでは原油価格は供給を材料に高い水準を維持する可
能性が高い。イランの原油供給が途絶すれば、それだけでOPECスペ
アキャパシティは「ゼロ」の状態になり、原油が100ドルを超える
上昇になってもおかしくない。

仮に70ドル〜80ドルの原油価格が続けば、景気の循環的な減速局面
での原油価格高騰であるため、米国の増産とOPECの減産幅縮小(お
そらく12月には解除される)と相まって、その後、大幅な価格下落
がもたらされると予想する。

11月が相場の転換点になる可能性が高まっていると考えているが、
需要の減速が明確ではない以上、少なくともWTIで50ドル、Brentで
60ドルを割り込むのは難しくなったと考える。

北朝鮮問題はトランプ大統領からすればある意味「終わった材料
(支持率上昇につながらない材料)」だった。

しかし、北朝鮮は核開発を停止しておらず、ICBMの開発も継続して
いるようだ。結局この問題が再び俎上に載せられることになるだろ
う。米朝首脳会談を金委員長が呼びかけたようだが、トランプ大統
領は「近く」2回目があると発言している。何らかの進捗があるか
もしれない。

ロシアとの距離を縮めているのは、イスラエルと敵対するイランを
擁護しているロシアを懐柔することで、シリアからのイラン軍撤退
を促す、という意図があるためと考えられる。

よってロシアとの関係改善は、ある程度中東情勢の緊張緩和に寄与
すると期待される。原油の価格面では下押し材料となるだろう。

欧州はかつての最も親密な同盟地域だったが、民主主義の傾向が強
く、リベラルな雰囲気が強いこの地区とトランプ大統領は反りが合
わない。この地区との対立は貿易問題での対立を激化させ、需要面
で価格にマイナスに作用すると予想される。

短期的には投機筋動向が価格に影響を与えやすいが、10月23日付の
WTIの投機筋ポジションは、ロングが前週比▲29,011枚の585,412枚、
ショートが+8,940枚の130,134枚、Brentはロングが▲39,164枚の
407,933枚、ショートは+9,169枚の47,148枚となっている。

先週と同じ流れとなり、景気の減速懸念でロングが減少、ショート
もサウジの増産報道などを受けて積み上がっている。しかしサウジ
のジャーナリストの殺害疑惑問題で供給懸念が意識される中ではシ
ョートの巻き戻しが入る可能性があるため、上昇リスクは引き続き
警戒する必要がある。

中長期的には中国の人口ボーナス期が2030年頃まで続く事、2020年
頃からはインドも人口ボーナス期に入り需要の増加が見込まれるこ
とから強気である。

なお、EVが普及して原油需要は2035年〜2040年頃にピークを迎える
との見方が市場のコンセンサスとなりつつあるが、リチウムやコバ
ルトの供給問題や、EV普及のための財政負担を考えると、補助金の
サポート無しでは成立しないEV化が、市場の期待通りに進むとは考
え難い。

同様に、補助金のサポートが必要なバイオ燃料が化石燃料に取って
代わるシナリオも想定し難い。

これに加えて、軽量化目的の樹脂利用(化学製品向け需要の増加)
なども期待できること、液体燃料は保存や輸送の観点からみて依然
割安であり、アフリカなどの新興国では引き続き利用されると見ら
れることから、2035年に「需要の伸びは鈍化」するものの、減少に
転じると判断するのは早計ではないだろうか。

実際に減少に転じるのは世界的に人口伸びの鈍化が実感される頃
(2050年頃か)になると見る。

この見通しの上昇・下落の両リスクとなり得る材料として、ジャー
ナリスト殺害に対する批判に反発して、ムハンマド皇太子が原油の
輸出を停止して原油供給が途絶、価格も高騰する場合が考えられる
(それは本当に最終手段なので発生の可能性は極めて低いが)。

原油供給が途絶すれば、まず原油価格が上昇するほか、モノの輸送
ができなくなるため各地で商品価格が高騰することになる。そして
その価格高騰が需要を減少させ、最終的には景気後退に陥るという
シナリオだ。

しかし、もしそこまでいきそうになったら、さすがにサルマン国王
はムハンマド皇太子を更迭するだろう。

今まで、サウジアラビアはそのようなことをする国ではなかったは
ずだが、実務のトップが代われば方針も変わってしまうということ
なのだろう。そのリスクは意識しなければならない。

この見通しの上昇リスクを現物の需要・供給に分けてみてみると、
需要面は原発事故などの突発事象で他のエネルギーを原油で代替せ
ざるを得なくなった時がこれに当たるが、これはなかなか想定し難
い。

供給面は、以下のようなものが上昇リスクと考えられる。

1.中東情勢不安の顕在化

2.PDVSA(ベネズエラ)の生産停止

3.上流部門投資の低迷(徐々に再開)

この中で顕在化の可能性が高まっているのが1.と2.だ。

1.については米国・サウジ・イスラエルvsロシア・イランの構図
で考えると理解しやすい。トランプ政権がイランに対して強硬な態
度を取っているのは、ユダヤ人ロビーとキリスト教福音派に配慮し
てのことであり、議会としてもロシアとの対決姿勢を強める構図と
なる。

そして、イラン産原油を一滴も買うな、という相当強硬な政策が採
用されている。それが実際に可能とは思えないが、この結果、イラ
ンは核合意離脱並びにホルムズ海峡封鎖オプションを誇示せざるを
得ず、それだけで価格は上昇している。

また、イランからすればこれは従来からこの地域に存在する、シー
ア派とスンニ派の争いである。今までと違うのが、サウジアラビア
がイスラエルと一時的に連携する可能性があることだ。

これにクルド人vsトルコ・イラン・シリア・イラク、といった対立
軸も入ってくると本当に理解が困難になる。基本、目の前の敵の敵
は見方の構図がその時発生している問題を理解する上での手助けと
なる。

さらに、東西分裂状態が続くリビアで原油生産が安定して増加する
可能性が低いことも、供給不安を高めるだろう。

2.については5月の選挙でマドゥロ大統領が再選を果たし、国内の
状況はさらに悪化している。

PDVSAの生産が完全に停止すれば恐らく原油価格は10ドル単位で上
昇するとみるが、これが現在じわじわと顕在化している形。これは
もはやメインシナリオとなっている(その後OPECの減産解除で大幅
に下落する展開を予想)。

1.と2.の違いは、1.はホルムズ海峡の封鎖が意識されるため、
供給途絶が長期にわたる可能性がある一方、2.が顕在化した場合
湾岸諸国の増産が予想されるため、影響が一時的なものに止まる点
である。

1.の場合、実際に封鎖が起きれば原油価格が100ドルを超えても何
ら不思議はない。

金融面・政策面では、以下の要因が上昇リスクとなる。

1.米金融規制緩和

2.米国の金利上昇があまりに急であることを受け、FOMCが長期金
利の上昇にブレーキをかける政策を採用する場合

3.2.に限らず長期金利が日欧の低金利政策の継続で低下する場合

2.はトランプ大統領が金融政策に介入を始めたため、俄かにその
可能性が意識されている。そうでなくとも来年の春ごろまで利上げ
が継続されれば、そこから先は打ち止め(一旦様子見)となる可能
性が高い。

下落リスクは需要面は何かしらの信用リスクが顕在化することが材
料となる。

1.中国の金融市場・住宅市場正常化推進加速

2.米国内インフレ発生による利上げペースの加速

3.地政学的リスク(特に需要面では欧州の混乱)の顕在化

4.北朝鮮戦争の開戦や中東情勢悪化を受けたリスク回避の動きの
強まり

5.株価の調整

6.トランプ政権の保護主義政策推進

7.価格上昇に因る需要の減少(レーショニング)

8.トルコ問題の新興国への拡大による、新興国需要の減少

9.ベネズエラをはじめとする新興国のデフォルト

1.の中国の金融市場・住宅市場正常化は不採算の国家プロジェク
トを見直すなど緩やかに調整が起きているが、景気をクラッシュさ
せるほどのものにはなっていない。

2.については原油高の進行に伴うインフレ懸念の高まりが顕在化
していたが今のところ後退している。しかし、トランプ政権の関税
強化が国内の物価を押し上げる可能性もあるため、このリスクが顕
在化する可能性は以前よりも高い。

ただ、潜在成長率の低下もあってこれ以上長期金利は急騰しない、
との見方もあり引き続き先行きはグレーだ。

4.はリスクシナリオであるが、米朝首脳会談の結果を受け、目先
の開戦リスクは後退した。しかし、交渉は今後も継続する見込みで
あり、どのように転ぶかはわからない。1つ確実なのは、同問題の
解決に向けて日本の負担は相当重くなるということだ。

中東についてはイランと米国は挑発の応酬となっている。しかし、
石油製品価格の上昇が米国民からの支持率を押し下げる可能性があ
るため、ここにきてイランに対する米国のトーンは若干後退してい
る。

しかし、イランは(国民向けのポーズもあってか)強気の姿勢を崩
していないため、しばらく緊張状態は続くだろう。

イランと米国が欧州やロシアのとりなしで交渉のテーブルに着く、
というのが希望的観測を含めたメインシナリオだが、この可能性は
中間選挙終了まではほぼゼロなのではないか。

5.は株価は投機の動きを示す指標であり、ここに調整圧力が高ま
れば高値圏にあり記録的な水準まで積み上がっている投機の手仕舞
い売りが加速する可能性がある。原油価格の上昇に伴う長期金利の
上昇が、そのきっかけになる可能性はある。

6.は同盟国に対しては事前の期待通り常識的な落としどころを探
る動きになりつつある。しかし選挙まで「戦う大統領」のポーズを
示しておかなければならないため、何かしらの果実を得るまで関税
問題は解決しないだろう。

7.は保護主義政策の拡大で世界的に景気の拡大ペースの鈍化が懸
念されている中で原油価格が高騰していることは、消費者がこの価
格高騰に耐えられない可能性が高まることを示唆している。顕在化
の可能性が高いリスク要因となってきた。

9.は比較的現実のものとなるかもしれない。中国はベネズエラに
対して622億ドル程度の融資(The Inter-American Dialogue調べ)
をしていると考えられ、これは1,300億ドル程度と言われるベネズ
エラの外貨建て債務(+PDVSA債務)の5割近くに相当する。

仮にデフォルトしたり、政権が倒れた場合、ベネズエラの次期大統
領がこの契約は無効として、IMFや米国に泣きつく可能性はあり、
この場合の中国は債権放棄を余儀なくされる可能性がある。

この場合、中国国家開発銀行や中国輸出入銀行の負担となり、最終
的には中国政府の負担となる。崩壊の危機に直面しているベネズエ
ラであるが、これ以外の国もデフォルトする可能性はあるため、氷
山の一角ともいえる。今のところベネズエラ問題のみで中国が崩壊
するとみる向きは少ないが、そのリスクは無視できない。

供給面は、以下の要因が主な下落リスクシナリオだ。

1.北米の増産加速

2.OPECの出口戦略が意識される

3.イスラエルを中心とした中東情勢絵不安でサウジアラビアや
イランなどの足並みが揃わず、OPECの結束が崩壊する場合


1.は米国のパイプラインのキャパシティ問題もあり、増産ペース
は鈍化している。原油価格が採算ラインに乗ってから増産が始まる
までの時間差や新しいパイプラインの稼働時期を考えると、再び増
産ペースが加速するのはQ418になってからだろう。

足元、2.と3.が合わせ技で顕在化しつつある。価格高騰や財政悪
化で増産にかじを切りたいロシアとサウジが出口について言及、さ
らにこの増産にはイスラエルを軸とする反イランの動きが絡んでい
るため、今回のサウジの増産がOPEC諸国の規律を乱す可能性がある。

石炭価格はじりじりと水準を切り下げながら、高値圏での推移を続
けている。中国の国内の生産が減少しているうえに北朝鮮の制裁が
続いていることが影響している。価格の減速は、価格に対する説明
力が高い、「中国の景況感の鈍化」が影響していると見る。

北朝鮮への制裁解除は当面ない見込みだが、中国が米国にゆさぶり
をかける目的で解除する可能性もなくはない(この場合、さらに米
国が中国に制裁を科す可能性がある上、米国と関税関連で共闘でき
ると考えていた欧州や日本の協力が得られなくなるため、その可能
性は低いが)。

また、12月にCOP24(第24回気候変動枠組条約締結国会議)が開催
される。米国はこの枠組みから脱退を表明しており欧州諸国は米国
の引き留めに必死だ。

この状況で中国は脱退しない方針を打ち出しており、「対米協調」
を目的として積極的に石炭使用や鉱山向け融資を絞る可能性もあり
得る。このリスクは小さくなく石炭供給懸念を通じて石炭価格を高
止まりさせるとみている。


---≪LME非鉄金属≫---

LME非鉄金属価格は下落した。株価の下落を受けた景気への懸念が
価格を下押しした。ただし夜間に発表された米GDPが市場予想を上
回ったことなどで下げ幅を削る展開となった。

非鉄金属の最大消費国である中国の構造的な景気減速、米国の利上
げ継続を受けた実質金利上昇、並びに新興国からの資金流出観測が
強まっていること、貿易統計では駆け込み需要が確認されたものの、
米国の中国に対する追加制裁発動が外需を減速させ、非鉄金属価格
を下押しすると予想される。

しかしその一方で、中国政府は景気を軟着陸させるために、預金準
備率を引き下げたり、公共投資などの財政政策に傾斜せざるを得な
くなってきていることが需要を押し上げること、LME指定倉庫在庫
の減少は継続しており、足元の需給はまだタイトと考えられること
が価格を下支えすると考えられる。

以上から、非鉄金属価格は軟調ながらもしばらくは底堅い推移にな
ると考えている。

貿易戦争への懸念は、同盟国に対しては一定の譲歩を引き出しつつ
緩和の方向に向かっているが、中国に対する制裁は覇権国家を競う
上での制裁と考えられるため、長期化するだろう。

先日のペンス副大統領のスピーチは、明確に経済面で中国に宣戦布
告しているのと同じである。これはトランプ政権というよりも、議
会共和党の意向と考えたほうが良い。

そしてこうした制裁の影響は顕在化しつつある。中国工業部門利益
は、年初来ベースで前年比+14.7%の4兆9,713億元(1-8月期+16.2%
の4兆4,249億元)、9月は+4.1%の5,455億元(+9.2%の5,197億元)
と大幅に伸びが減速している。構造的・循環的な景気減速に加え、
米国の制裁の影響が徐々に顕在化していることの証左であろう。

ただし、利上げを継続する中で米国景気が失速し、国民からの不満
が高まる可能性がある2019年末頃が、翌年に大統領選挙を控える
「トランプ政権のリミット」と考えられる。

ではいつまで制裁が続くかといえば、具体的には、中国の景気拡大
が失速して米国と覇権を争えるような状態になくなる、中国が世界
シェアを取りに行こうとしているハイテク分野の内製化をあきらめ
る、人民元高を許容する(バブル崩壊時の日本と同じ)、といった
明確な成果があるまで継続するのではないか。

結局、工業金属の最大消費国である中国への制裁は緩和はすれども
継続する見込みであるため、非鉄金属需要にとってマイナスに作用
することは避けえない。

また、中国の構造的な景気の減速、循環的な減速、保護主義政策に
対抗するための人民元安誘導が資本流出を招き、その他の新興国に
も影響が出ること、なども価格を下押ししよう。

トランプ大統領弾劾裁判の可能性が高まっていたが、引き続き米国
内では「トランプ礼賛本」がベストセラーの状況であり、「ウォー
ターゲート事件の再来」はなさそうというのがメインシナリオにな
りつつある。日本で報じられているほど、米国人はトランプのこと
を嫌いではない。

なお、構造的に工業金属需要が増加し、価格が上昇するのはおそら
く次の需要のけん引役となるインドが人口ボーナス期入りする2020
年頃からになるとみているため、長期的には強気の見通しである。

短期的には投機筋の動向が重要になるが、10月19日付のLMEポジシ
ョンを見ると全ての金属でロング・ショートとも手仕舞いの動きが
強まっている。前週、ショートの買戻し圧力が強まったが、先週も
同様であり結果、ネットロングが増加している。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は183.9億ドル(前週181.5
億ドル)と買い越し額の増加はやや頭打ちとなった。買い越し枚数
もトン数換算ベースで5,150千トン(5,004千トン)と同様に買戻し
ペースが鈍化している。

今年の6月から始まったポジション解消からの買戻しはほぼ終了し
たようだ。むしろ今後の展開によっては売り圧力の強まりを意識す
べきだろう。

中長期的な見通しは人口動態が重要になるが、中国の人口ボーナス
期は2030年頃まで続く事、2020年頃からインドが人口ボーナス期に
入ることから構造的な需要増加はまだ継続すると見ており、強気の
スタンスを崩していない。

なお、アジア開発銀行は2016年〜2030年のアジアのインフラ投資規
模は26兆ドル(3,000兆円、年間1兆7,000億円)に達すると試算し
ている。

一帯一路構想は「中国の周辺国の実効支配」を目的とするものであ
ることは明確であり、このまま世界中がすんなりこれを受け入れる
かは微妙だ。実際パキスタン、ネパール、ミャンマーの水力発電プ
ロジェクトが相次いでキャンセルになっている。マレーシアの鉄道
案件も先送りとなった。

現実は、貧困国に資金を貸し出し、返済がなければ担保としてその
土地や港湾を召し上げる、というバブルのころに日本で問題になっ
たことを国家として行っている。老練なマハティールは中国の戦略
の意味を理解しているということだ。

また、2018年の軍事費も前年比+8.1%の1兆1,069億元と大幅に積み
増しされており、中国が軍事的に周辺国を支配しようとしているの
は明らかだ。

しかし、10月の米中首脳会議で安倍首相は透明性を高めることなど
を前提に、一帯一路構想への協力を約束した。中国の資金繰りが悪
化している可能性は高く、中国は日本の支援を欲しがっている、と
も考えられる。

一帯一路構想が、中国の軍事的支配権拡大に用いられないよう、日
本が監視できるかどうか。非常に重要な決断だったといえる。

この見通しの上昇・下落の両リスクとなり得る材料として、ジャー
ナリスト殺害に対する批判に反発して、ムハンマド皇太子が原油の
輸出を停止して原油供給が途絶、価格も高騰する場合が考えられる
(それは本当に最終手段なので発生の可能性は極めて低いが)。

原油供給が途絶すれば、まず原油価格が上昇するほか、モノの輸送
ができなくなるため各地で商品価格が高騰することになる。そして
その価格高騰が需要を減少させ、最終的には景気後退に陥るという
シナリオだ。

しかし、もしそこまでいきそうになったら、さすがにサルマン国王
はムハンマド皇太子を更迭するだろう。

今まで、サウジアラビアはそのようなことをする国ではなかったは
ずだが、実務のトップが代われば方針も変わってしまうということ
なのだろう。そのリスクは意識しなければならない。

この見通しの上昇リスクは需要面では、

1.中国の財政出動並びに住宅価格上昇容認

2.環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、
EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80
キロ/台が使われる)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

3.トランプ政権のインフラ投資計画実施

などが考えられる。

1.は米国の経済制裁を受けて、構造的な景気の軟着陸を目指すに
は内需刺激しかなくなっており、預金準備率の引き下げや、住宅セ
クターの再度の過熱を容認する可能性は排除できなくなっている。

市場はEVブームに沸いているが、コバルトの壁に加え、EV普及のた
めの補助金負担は好景気時しか難しいこと、道路財源問題などを考
えると市場が期待しているほどのペースで普及するとは見ていない。

ここまでのニッケル価格の上昇はEVブームというよりは中国の住宅
セクターの減速が明確でない事や、EVブームを材料にした投機買い
の側面が強く、実際の需要に影響を及ぼすのは順調に行ったとして
2020年頃以降になるのではないか。

供給面は個別性が強いが、以下が上昇リスク要因として挙げられる。

1.大規模鉱山の減少に伴う安価な資源確保環境の悪化(コストを
掛ければ採掘できる。リサイクルの充実は必須)

2.中国の環境規制強化に伴う減産の継続

3.石炭価格上昇による生産コスト(電力コスト)の高止まり

4.労使交渉動向

5.Rusalに対する制裁が長期化し供給懸念が強まる場合

4.についてはEscondidaのストが終結しておりその影響は後退して
いる。

5.はすでに顕在化してしまったリスクだが、特にアルミ・ニッケ
ル・パラジウムへの影響が大きい。Rusalに対する制裁は米財務省
が一部緩和する趣旨のコメントをしており、事前予想ほどの影響が
出ない可能性が出てきた。

金融面・政策面では、以下が主な上昇リスク要因だ。

1.米金融規制緩和

2.米国の金利上昇があまりに急であることを受け、FOMCが長期金
利の上昇にブレーキをかける政策を採用する場合

3.2.に限らず長期金利が日欧の低金利政策の継続で低下する場合

2.はトランプ大統領が金融政策に介入を始めたため、俄かにその
可能性が意識されているが、日銀の政策変更によってむしろ米長期
金利に上昇圧力がかかっており、その影響は限定されている。

下落リスクは多く、以下があげられるが主に信用リスクの拡大が要
因の軸となる。

1.中国の金融市場・住宅市場正常化推進加速

2.米国内インフレ発生による利上げペースの加速

3.地政学的リスク(特に需要面では欧州の混乱)の顕在化

4.北朝鮮戦争の開戦や中東情勢悪化を受けた、リスク回避の動き
の強まり

5.長期金利の上昇

6.5.に付随するが株価の調整

7.米輸入規制強化並びにそれに対する報復

8.トルコ危機や米利上げの影響を受けた新興国需要の減少

9.ベネズエラをはじめとする新興国のデフォルト


1.の中国の金融市場・住宅市場正常化は不採算の国家プロジェク
トを見直すなど緩やかに調整が起きているが、景気をクラッシュさ
せるほどのものにはなっていない。

2.については原油高の進行に伴うインフレ懸念の高まりが顕在化
していたが今のところ後退している。しかし、トランプ政権の関税
強化が国内の物価を押し上げる可能性もあるため、このリスクが顕
在化する可能性は以前よりも高い。

ただ、潜在成長率の低下もあってこれ以上長期金利は急騰しない、
との見方もあり引き続き先行きはグレーだ。

4.はリスクシナリオであるが、米朝首脳会談の結果を受け、目先
の開戦リスクは後退した。しかし、交渉は今後も継続する見込みで
あり、どのように転ぶかはわからない。1つ確実なのは、同問題の
解決に向けて日本の負担は相当重くなるということだ。

中東については今のところ落ち着いているが、イランが米制裁に対
してどのように反応するかに今後の動向は依拠することになる。欧
州やロシアのとりなしでイランと米国が交渉のテーブルに着く、と
いうのが希望的観測を含めたメインシナリオだが、この通りになる
かどうかは正直五分五分だろう。

6.は株式市場は投機の動きを示す指標であり、ここに調整圧力が
高まれば高値圏にあり記録的な水準まで積み上がっている投機の手
仕舞い売りが加速する可能性がある。

7.は同盟国に対しては事前の期待通り常識的な落としどころを探
る動きになりつつある。しかし選挙まで「戦う大統領」のポーズを
示しておかなければならないため、何かしらの果実を得るまで関税
問題は解決しないだろう。

8.はトルコ危機を発端に新興国通貨安となり、米利上げ継続観測
や中国に対する制裁による中国景気減速懸念を受け、新興国通貨安
が加速していることはこれらの国の財政状況を悪化させ、インフラ
投資などの減速を誘発するが、このリスクは顕在化しつつある状況。

9.は比較的現実のものとなるかもしれない。中国はベネズエラに
対して622億ドル程度の融資(The Inter-American Dialogue調べ)
をしていると考えられ、これは1,300億ドル程度と言われるベネズ
エラの外貨建て債務(+PDVSA債務)の5割近くに相当する。

仮にデフォルトしたり、政権が倒れた場合、ベネズエラの次期大統
領がこの契約は無効として、IMFや米国に泣きつく可能性はあり、
この場合の中国は債権放棄を余儀なくされる可能性がある。

この場合、中国国家開発銀行や中国輸出入銀行の負担となり、最終
的には中国政府の負担となる。崩壊の危機に直面しているベネズエ
ラであるが、これ以外の国もデフォルトする可能性はあるため、氷
山の一角ともいえる。今のところベネズエラ問題のみで中国が崩壊
するとみる向きは少ないが、そのリスクは無視できない。


---≪鉄鋼原料≫---

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップ価格は小動き、原料炭スワップ先
物は小幅に上昇、鉄鋼製品価格は高安まちまちとなった。

鉄鉱石価格は高値圏でもみ合うものと考える。そもそも季節的に中
国の生産が減少、輸入が増加する時期に当たること、米国の制裁は
あるものの国内需要の刺激や冬場の鉄鋼生産抑制継続による鉄鋼製
品価格の高止まりが、投機的な観点での鉄鉱石買いを誘うと考えら
れることが背景。

ただし、インフラ投資バブルを誘発するほどの公共投資を中国が継
続することは、国内の評価的にも、資金繰り的にも困難と考えられ
ること、米国は中国に対する制裁をさらに強化する方針であること、
構造的な需要の減速の可能性の高さから、中長期的に鉄鋼製品・鉄
鉱石価格に下押し圧力がかかる、との見方に変更はない。

しかし、減産は冬の間続くため、政治的なイベントリスクの顕在化
(Brexitなど)がなければ、下落は春になってからになるのではな
いか。

貿易戦争への懸念は、同盟国に対しては一定の譲歩を引き出しつつ
緩和の方向に向かっているが、中国に対する制裁は覇権国家を競う
上での制裁と考えられるため、長期化するだろう。

先日のペンス副大統領のスピーチは、中国に対する宣戦布告といっ
ても言い過ぎではない。

具体的には、中国の景気拡大が失速して米国と覇権を争えるような
状態になくなる、中国が世界シェアを取りに行こうとしているハイ
テク分野の内製化をあきらめる、人民元高を許容する(バブル崩壊
時の日本と同じ)、といった明確な成果があるまで継続するとみる。

現在、この制裁の効果は徐々に顕在化し始めているようだ。今週発
表された中国の工業利益は、単月で前年比+9.2%の5,197億元と前月
の+16.2%の5,151億元から伸びが減速している。

年初来累計でみても1-8月期は前年比+16.2%の4兆4,249億元(1-7月
期+17.1%の3兆9,038億元)と伸びが減速している。中国製造業PMI
の輸出向け新規受注が制裁問題が取り上げられる直前の5月、51.2
から49.4まで急速に低下していることを考えると、やはり制裁の影
響が出ていると考えるべきだろう。

今年の鉄鉱石価格の上昇は、鉄鋼製品価格の上昇によるものであり、
さらに製鉄所の稼働率の上昇が実需を押し上げたことも影響してい
る。

実際、中国最大の鉄鋼生産地区である河北省の高炉稼働率は昨年後
半から急速に落ち込み60%まで低下、その後85%まで上昇したが直近
の稼働率は72.4%と上昇している。ただしこの稼働率は過去5年平均
が91.3%であることを考えると著しく低い。

しかし、鉄鋼製品と鉄鉱石の価格、鉄鋼原料から算出されるコスト
ベースの鉄鋼製品価格を比較すると、明らかに鉄鋼製品価格は
オーバー・バリューであり、鉄鋼製品と鉄鉱石の価格差の拡大は、
「鉄鋼製品先物の売りと鉄鋼製品買い」を促し、徐々に持続可能な
水準に収れんするものと考えられる。

しかし、中国の鉄鋼需要の減速よりも供給の減少の影響による需給
タイト化で鉄鋼製品価格が高止まりしており、下落が顕在化する前
に冬場に突入するため、まず、鉄鉱石価格が上昇してスプレッドが
縮小する可能性のほうが高まっていると見る。

直近の統計では、鉄鉱石在庫が前週比+150万トンの1億4,400万トン、
(過去5年平均1億152万トン)、在庫日数前週比+0.3日の
33.1日(過去5年平均27.4日)。

鉄鋼製品在庫が前週比▲49.1万トンの1,044.6万トン(過去5年平均
1,153.2万トン)であり鉄鋼製品価格は高止まりしそうだ。

長期的な見通しは人口動態が重要になるが、中国の人口ボーナス期
は2030年頃まで続く事、2021年からインドが人口ボーナス期に入る
ことから構造的な需要増加はまだ継続すると見ており、強気である。

なお、アジア開発銀行は2016年〜2030年のアジアのインフラ投資規
模は26兆ドル(3,000兆円、年間1兆7,000億円)に達すると試算し
ている。

一帯一路構想は「中国の周辺国の実効支配」を目的とするものであ
ることは明確であり、このまま世界中がすんなりこれを受け入れる
かは微妙であり、実際パキスタン、ネパール、ミャンマーの水力発
電プロジェクトが相次いでキャンセルになっている。マレーシアの
鉄道案件も先送りとなった。

現実は、貧困国に資金を貸し出し、返済がなければ担保としてその
土地や港湾を召し上げる、というバブルのころに日本で問題になっ
たことを国家として行っている。老練なマハティールは中国の戦略
の意味を理解しているということだ。

また、2018年の軍事費も前年比+8.1%の1兆1,069億元と大幅に積み
増しされており、中国が軍事的に周辺国を支配しようとしているの
は明らかだ。

これらは中国と対立するインドの影響によるものと考えられるが、
一方でロシアはインドに対して中国への協力を促すなど極めて政治
的な色彩が強まっており、一帯一路構想の質(たち)の悪さが明ら
かになってきている。

しかし、そもそも中国自身の資金繰りが十分なのか、という懸念は
残る(もしその場合にはグローバル危機に突入することになる
が...)

この見通しの上昇・下落の両リスクとなり得る材料として、ジャー
ナリスト殺害に対する批判に反発して、ムハンマド皇太子が原油の
輸出を停止して原油供給が途絶、価格も高騰する場合が考えられる
(それは本当に最終手段なので

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