商品市場/外国為替レポートバックナンバー

バックナンバー一覧に戻る お申し込みはこちら

MRA外国為替レポート(12月24日号)

MRA外国為替レポート(12月24日号)

━━━━━━━━━━━━━━
1.先週の市場総括
━━━━━━━━━━━━━━

先週は米国株を中心にグローバルに株価が大幅安。リスク回避心理
が蔓延するなか週末にかけて円高が進んだ。

前週末の弱い中国の経済指標を受け株価は軟調に始まった。その後
は米国の経済指標にも一部弱い数字が散見。

注目のFOMCは日本時間木曜日の未明に結果が公表された。予想通り
0.25%の利上げが実施され、FF金利の誘導水準は2.25%〜2.50%に。
メンバーの予想は、景気・物価見通しが若干下方修正され、利上げ
は2019年が9月時点の3回から2回に、2020年は1回のまま据え置きと
なった。

景気減速見通しにもかかわらず、なお利上げを継続する姿勢を嫌気
して、米国株は大幅安。米長期金利は2.8%割れに低下した。

週末にかけてはトランプ大統領が暫定予算に署名せず政府機関の閉
鎖リスクが高まったことも嫌気された。日経平均は米国株の大幅下
落・ドル安円高につれ週末にかけて下げ足を速め20,000円ちょうど
に迫った。

ドル円相場は113円50銭で始まりFOMCを前に112円台半ばでもみ合い。
発表直後はさほど反応しなかったが、米国株が大幅安、米長期金利
が低下すると、リスク回避からドル安円高に。金曜日にかけて111
円を割り込んだ。

週末NYの引けはやや戻して111円20銭近辺。また週末にかけては
ユーロが対ドル、対円で軟調。ユーロ円相場で大きく円高が進み12
6円40銭近辺で週末の取引を終えた。

月曜日の東京市場のドル円相場は113円30銭で始まり小じっかり。
113円50銭近辺でもみ合い推移となった。

日経平均は21,400円近辺で寄り付き、21,500円近辺でもみ合い引け。
しかし海外市場では米国株が大幅安。

発表されたNY連銀製造業景況指数(12月)が10.9と予想20.0を大き
く下回り前月の23.3から急速に悪化。1年7か月ぶりの低水準となっ
たことが前週末の弱い中国の経済指標とともに嫌気された。

原油価格WTIは50ドル割れ。米長期金利は低下し、2年債利回りは
2.69%、10年債利回りは2.85%に。ドルが下落するとともにリスク回
避による円高も進み、ドル円相場は112円70銭に下落。引けは80銭。
ユーロ円相場も128円60銭から128円ちょうどへと下落した。

火曜日の東京市場のドル円相場は112円80銭で始まり軟調。112円50
銭〜60銭で推移した。ユーロ円相場も128円ちょうど近辺から
127円70銭近辺に下落。

日経平均は米国株大幅安とドル安円高を嫌気して21,200円で安寄り。
後場には21,200円を割りもみ合い引けた。

海外市場に入るとドル円相場は112円20銭台に下落したが、その後
は50銭〜60銭に戻してもみ合い50銭近辺で引け。ユーロ円相場は12
7円80銭〜128円ちょうどでもみ合い。

米国株は前日の大幅安の後だけに反発したが引けにかけて軟調。米
長期金利はさらに低下して2年債利回りは2.66%、10年債利回りは
2.82%。この日、FOMCの初日が開催され、FRBが慎重なスタンスをと
るのではないかとの思惑が高まった。

水曜日の東京市場のドル円相場は112円50銭で始まり、その後は30
銭〜40銭でもみ合い小動き。FOMCの結果待ち。

日経平均は寄付き後に20,900円に下落し、その後は21,100円〜21,0
00円で推移。ソフトバンク株が上場となったが初値が公募価格を大
幅に割り込み地合いを悪化させた。

海外市場のドル円相場は112円30銭〜40銭でもみ合いの後、20銭近
辺で推移。FOMCの結果待ち。結果は日本時間木曜日の未明4時に発
表となった。

金融政策は予想通り0.25%の利上げを決定。FF金利誘導水準は2.00%
〜2.25%から2.25%〜2.50%に引き上げ。

一方、同時に公表されたメンバーによる予測では景気物価見通しは
若干下方修正。利上げ予想は2019年が9月会合時の年3回から2回に
下方修正。2020年は1回で据え置き。2021年はゼロ回。FF金利は
2019年に2.75%〜3.00%に、2020年に3.00%〜3.25%まで引き上げられ
打ち止めとの予想。

声明文では、リスクは概ね均衡も世界情勢を注視する、としたうえ
で、幾度かの漸進的利上げが適切と判断される、とした。米国株は
上昇していたが、FOMCの結果を受けて、景気減速見通しにもかかわ
らず利上げ継続、とのスタンスを嫌気して大幅安。

米長期金利はやや上昇したものの、株価急落を受けて低下。2年債
利回りは2.65%、10年債利回りは2.78%に。ドル円相場は比較的底固
く112円30銭〜40銭での推移となった。ユーロドル相場は1.1430か
ら1.1370へとユーロ安ドル高。

木曜日の東京市場のドル円相場は112円50銭で始まり下落。日経平
均は20,800円で安寄りし20,600円に下落。後場にはさらに大きく下
落して20,300円。引けは20,400円近辺となったが600円近い大幅安
となった。

ドル円相場は夕刻には112円を割り込み111円80銭台へ。

海外市場に入ると米国株が大幅続落。S&P500指数は1年3ヶ月ぶりの
安値。前日のFOMCの結果に加え、この日はトランプ大統領が上院を
通過した暫定予算案に署名せず政府機関閉鎖のリスクが高まったこ
とが嫌気された。

為替市場ではリスク回避で円高が進んだ。ドル円相場は大幅続落。
一時111円を割り込んだ。引けは戻して111円30銭近辺。ユーロドル
相場は乱高下。1.1380から1.1480へとユーロ高ドル安となった後、
1.14へ下落、1.1480へ上昇、その後は1.1450近辺で引け。

米長期金利は政府機関閉鎖のリスクを受けて小幅上昇。10年債利回
りは2.81%。

この日発表されたフィラデルフィア連銀製造業景況指数(12月)は
9.4と予想15.0、前月12.9から大きく悪化。2016年8月以来の水準に
低下。原油価格WTIは45.90ドルに下落。ドル安を受けて金は上昇。

この日、マティス国防長官が2月で退任することが明らかになった。
また米政府機関に対するサイバー攻撃の容疑者として中国人ハッ
カー2名を起訴。米中関係の悪化懸念が広がった。

金曜日の東京市場のドル円相場は111円30銭〜20銭でもみ合いとな
った後、40銭近辺に上昇。

日経平均は20,300円で寄り付いた後、下落して20,000円ちょうどに
迫った。後場は下げ止まり引けは20,170円。

海外市場では米国株が大幅続落。S&P500は1年5か月ぶりの安値。米
長期金利10年債利回りは2.79%に小幅低下。リスク回避のなか円高
が進んだがドルもしっかり。ドル円相場は111円20銭近辺で上下し
た後は111円ちょうど、111円40銭へ上昇した後111円20銭近辺で週
末の取引を終えた。

一方、ユーロは対ドルで1.1450から1.1360〜70へと大幅安。市場全
体がリスク回避のなか取引を終えた。

中国はこの日、中央経済工作会議を終了。2019年に大規模な減税と
手数料削減を実施する、とし、金融政策の緩和も示唆。景気下支え
姿勢を明確とした。

━━━━━━━━━━━━━━
2.今週の3つの注目ポイント
━━━━━━━━━━━━━━

火曜日の欧米市場はクリスマス休暇で休場。イギリス・ロンドン市
場は水曜日も休場。

1.米国株の動向、クリスマス休暇・年末取引の動向

米国株は1年半ぶりの安値で週末の取引を終えた。週間では記録的
な大幅安。クリスマス休暇前にリスクポジションを落とす動きが市
場の弱気心理を増幅した。

クリスマス休暇から年末にかけては、そうしたポジション整理が一
服するか。年末の残高調整が株価買戻しとなるか、年末にかけてさ
らなる株売りとなるか。

米国株が底打ちするかどうかが市場全体の心理を大きく左右するだ
けに最終週の値動きが注目される。

2.米国の経済指標

パウエル議長、NY連銀総裁はじめ、FRB当局者の発言からは、今後
の政策には何ら既定路線はなく、景気動向・数字次第で柔軟に対応
していこうというスタンスが明確になりつつある。

月曜日 シカゴ連銀全米活動指数(11月、予想0.20、前月0.24)
水曜日 リッチモンド連銀製造業指数(12月、予想15、前月14)
木曜日 新築住宅販売(11月、季節調整済み年率換算、予想567千
戸、前月544千戸)、消費者信頼感指数(12月、予想133.6、前月
135.7)
金曜日 シカゴ購買部協会景気指数(12月、予想60.3、前月66.4)

3.日本の経済指標

日本では金曜日に11月の主要経済指標、有効求人倍率、失業率、鉱
工業生産、小売売上高、および12月の東京都区部・消費者物価指数
が発表される。

米国株が主導するかたちで日本株も大きく下落しているが、日本経
済・企業業績はさほど悪くはなく、割安感が増している。

経済指標が引き続き良好となり、株価の下値を支えるか。少なくと
も国内市場の悲観的なムードの緩和に寄与するか。

━━━━━━━━━━━━━━
3.今週のMRA's Eye
━━━━━━━━━━━━━━

不安心理のなか迎える年末・年初
 
クリスマス休暇を前に、米国株は激しい調整局面を迎えている。
FOMCにおいて景気物価見通しが若干下方修正され、減速見通しが一
段と明確に示されたなか、利上げ継続スタンスがさほど見直されな
かったことが嫌気された。

しかしそれ以前の問題として、米中通商交渉に対する期待が後退し
たことが大きい。米国による中国企業幹部の逮捕や中国人ハッカー
の起訴などによりますます先鋭化する気配をみせる両国の対立に対
し懸念が強まった。

また中国の経済指標、工業生産や小売売上高の伸びが明確に鈍化し、
中国企業の景況感とくに製造業の景況感が景況感の分かれ目まで悪
化していることが不安感を高めている。

米国の企業活動・景況感も勢いを失い、地区連銀経済報告では関税
を気に掛ける発言が多くみられた。

市場の期待は、トランプ政権が強硬な通商外交政策をとっている間
は、FRBには慎重・緩和的な政策をとって欲しい、というところ。
いわば株価下落は金融政策当局に対する催促相場のようになってい
る。

不透明要因や不安材料を挙げればきりがないが、株価の水準として
は相応に調整。米国株の割高感も解消してきた。方向感と水準感で
いえば、そろそろ水準感からリスク資産価格の調整に歯止めがかか
ってもよいところとなってきた。

とくに日経平均はもとより割安ともいえる水準であり、米国株と連
れ安になる理由はない。

最悪のケースは、市場の過度な懸念が、過剰な株安や信用スプレッ
ドの拡大をもたらし、主として企業の資金調達コストを想定外に上
昇させることによって、実体経済に悪影響をもたらす点だ。そうな
ると、景気悪化と市場の反応との間に悪循環が生じてしまう。

市場と実体経済のスパイラル的な状況悪化に歯止めをかけられるか。
その役割を担うのが政策であり、現局面では金融政策ではなく、ト
ランプ政権の通商外交政策が、もっとも効果的だ。米中の通商交渉
期限は2月末。そこで「手打ち」となるか。

年末・年初ななお不透明感、不安感に満ちたまま迎えそうだ。来年
早々は季節要因やイベントによるリスク回避で円高が進むとの見方
が多い。

しかし株価はすでに十分といえるほど下落し調整しており、ここか
らさらに大幅に株安が進む可能性は次第に少なくなっている。市場
の見方は弱気に大きく傾いている。

弱気にせよ強気にせよ、コンセンサスに沿った相場の動きはゆっく
りとなる。じりじりとした相場展開となるのが通常だ。為替市場に
おいては、円高に動くとしてもゆっくりとなる可能性が相応に高い。

逆にコンセンサスにない米中通商交渉の合意、状況の好転があれば、
良い意味で市場に対してサプライズ、ショックとなる。円安ドル高
方向への戻りは速くなる可能性もある。

材料としてはなお円高リスクが大きいが、水準やコンセンサスの蔓
延からすれば、そのリスクはやや割り引いて考える必要があるかも
しれない。


-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.

※本レポートの無断コピー、転載、転送などは著作権侵害になりま
すので、堅くお断りします。

※深谷のコメントの引用をご希望の方は、こちらからご連絡下さい。
 無断転載は固くお断りします。

※「今日のチャート」はMRAのHPの「Topics」のページでご確認頂けますが、
 定期的に削除・更新されます。予めご了承下さい。

※各商品、為替などの価格予想レンジ分析は、価格リスク分析サービス
 ご活用下さい。

※ご利用は個人契約をお願いしております。
 また、ご契約者様ご自身の個人利用に限定させて頂いております。

※なお、複数ライセンスを前提とした法人契約(部署単位/会社単位)も承っております。
 契約形態ならびに契約金額などの詳細については、こちらからお問い合わせ下さい。

※上記見通しに関連する、弊社コメンテーターのテレビでの解説などは、
 弊社HPからご参照いただけます。

-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.

----------------------------
◆主要指標
----------------------------
【対円レート】
ドル :111.22(▲0.06)
ユーロ :126.48(▲0.92)
英ポンド :140.519(▲0.34)
豪ドル :78.325(▲0.78)
カナダドル :81.774(▲0.61)
スイスフラン :111.935(▲0.73)
ブラジルレアル :28.5114(▲0.44)
中国人民元 :16.107(▲0.11)
韓国ウォン(日本円=100) :9.851(▲0.06)


【対ドルレート】
ユーロ :1.1372(▲0.007)
英ポンド :1.2645(▲0.001)
豪ドル :0.704(▲0.007)
カナダドル :1.3602(+0.009)
スイスフラン :0.9938(+0.006)
ブラジルレアル :3.8986(+0.054)
中国人民元 :6.9065(+0.022)
韓国ウォン :1122.9(▲4.78)


【主要国政策金利】
米国 :2.50
ユーロ :0.00
日本 :0.00


【主要国長期金利】
米10年債 :2.79(▲0.02)
米2年債 :2.64(▲0.03)
日本10年債利回り :0.05(+0.02)
日本2年債利回り :0.05(+0.01)
独10年債利回り :0.25(+0.02)
独2年債利回り :▲0.60(▲0.00)


【主要株価指数・ビットコイン】
NY ダウ :22,445.37(▲414.23)
NASDAQ :6,333.00(▲195.41)
S&P500 :2,416.62(▲50.80)
日経平均株価 :20,166.19(▲226.39)
ドイツ DAX :10,633.82(+22.72)
インド センセックス :35,742.07(▲689.60)
中国上海総合 :2,516.25(▲20.02)
ブラジル ボベスパ :85,697.15(+427.86)
英国FT250 :17,442.98(▲3.96)
ビットコイン :3848.6(▲144.98)

【主要商品価格】
WTI :45.59(▲0.29)
Brent :53.82(▲0.53)
米ガソリン :131.83(▲0.41)
米灯油 :173.27(▲1.70)

金 :1256.94(▲2.92)
銀 :14.65(▲0.11)
プラチナ :787.16(▲8.02)
パラジウム :1232.18(▲29.36)
銅 :6005.00(▲30:18C)
アルミニウム :1912.00(▲12:8B)
※貴金属はニューヨーククローズ。ベースメタルは3ヵ月公式セト
ル価格。
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

シカゴ大豆 :884.75(▲8.75)
シカゴ とうもろこし :378.50(+3.25)
シカゴ小麦 :514.00(▲9.50)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容
赦ください。
※ 「休場」となっているものは、取引所が休場ないしはデータ更
新時点で最新データを取得できなかった場合を指します。

━━━━━━━━━━━━━━━
2.MRAからのお知らせ
━━━━━━━━━━━━━━━


■レポート休刊のご案内
年内は12月25日が最終となります。
新年は1月8日からとなる予定です。

■今後開催予定のセミナー・企画・メディア出演・お知らせ
・12月3日(月)
NHK「News Room」
新村がOPEC見通しについて解説しました。
http://bit.ly/2PfX147

・12月5日(水)
みずほ銀行主催のセミナーに新村がパネリストとして参加しました。
http://bit.ly/2L5bDTC

みずほ証券主催のセミナーで新村が講演しました。
http://bit.ly/2L1ZuPl


・12月6日(木)
テレビ東京「モーニング・サテライト(5:45〜7:05)」
新村が出演しました。
http://bit.ly/2KZRwWI

・12月12日(火)
IRユニバース主催のセミナーで新村が講演しました。

・12月13日(水)
三井物産主催のセミナーで新村が講演しました。

・12月20日(木)
日本貿易会ゼミナールで新村が講演しました。


・2019年1月9日(水)
ラジオ日経「マーケット・トレンド(18:00〜18:15)」
新村が出演の予定です。


■原油価格の乱高下への対応が必要です!
商品市場の分析ノウハウと、リスクマネジメントのノウハウがギュ
っと詰まった1冊(2冊?)です。
この機会にぜひお求めください!

(市場分析編)
https://amzn.to/2KiSwEo

(リスクマネジメント編)
https://amzn.to/2K890TE


※セミナーの詳細とお申し込みはこちらから

※弊社アナリストのメディア出演はこちらから

バックナンバー一覧に戻る お申し込みはこちら

▲ページのトップに戻る