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「Brexit、米中問題を懸念して景気循環系商品価格下落」

「Brexit、米中問題を懸念して景気循環系商品価格下落」

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1.商品市況概況
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◆昨日の商品市場(全体)の総括
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「Brexit、米中問題を懸念して景気循環系商品価格下落」

昨日の商品価格は景気循環銘柄が大きく下落した。英メイ首相が11
日に実施予定だったEUからの離脱に関する議会投票の延期を決定、
英国のEU離脱の先行きが不透明になったため、リスク回避姿勢が強
まったため。


また、中国ファーウェイを巡る米国の実質的な制裁の動きに、日本
やその他の米同盟国が追随する動きを見せていることも、米中貿易
戦争が簡単に終わらないどころか、やはり今後厳しくなるとの見方
が強まっていることが、価格を押し下げている。

反対に価格が上昇した商品は、気温低下予想が出ている北米と欧州
の天然ガス、非景気循環系商品である畜産や貴金属などだった。


今週の最大の材料だった英国の議会投票は「このまま行えば否決さ
れることは明白」として延期が決定された。しかし、EU側は英政府
との合意案を見直す予定はない、としており延期されたとしてもこ
れが可決する可能性は低い。

では今後はどうなるか。メイ首相が時間をかけて説得工作を行い、
可決に持ち込む、メイ首相の不信任投票が提出され、与党保守党の
党首選が行われる、EU離脱の是非を問う国民投票を再度実施、とい
った展開が想定される。結局、「どうなるか全くわからない」とし
か言えない。

このままだと「離脱の選択はない」として国民投票を実施、泣きな
がら退陣していったキャメロン首相は、「世紀の失策をした首相」
として歴史の教科書に名前を残すことになってしまうかもしれない。

それぐらい、無秩序離脱の影響は大きいのだ。影響が大きい理由は、
まず目に見えるところから言えば、6,000兆円とも、7,000兆円とも
いわれるデリバティブの決済ができなくなること、それに伴う信用
不安が発生する可能性があることだ。

大陸欧州に拠点を移している金融機関もあるが、依然、決済の殆ど
はロンドンで行われている。リーマンショック級のリスクと認識し
ておいたほうが良い。

残念ながらこれに対する企業の対応策は限られる。資金繰りが詰ま
ってしまわないように、手厚く資金を確保する、余分な在庫を持た
ない、といったことぐらいしかない。

これ以外にも、米国発で強硬に進められている中国に対する制裁も、
エスカレートしている感が強い。ハイテク分野での中国制裁は相当
本腰が入ったものだ。

国内の構造的な景気の拡大ペースの減速に制裁が加わり、中国が置
かれている状況は決して楽観できる状態ではない。既に開催されて
いてもおかしくない四中全会(毎年行われる全体会議。今年は第19
期)も開催されていない状況で、来年の見通しについては全て中央
経済工作会議を待つ必要がある。

ただ、今年はこれとは別に、12月18日に改革開放40周年記念で習近
平が演説する予定だが、ここで何かしらの手掛かりが提供されるか
もしれない。

一部の論調では、三中全会で打ち出された、知的財産の保護は米国
と同じなのでそれが進捗する、との見方もある。しかし、ここでい
う知的財産の保護は「中国にとっての財産保護」であり、他国から
技術の強制移転などで取得(中国政府は技術の強制移転自体を認め
ていない)、確保した技術や知的財産を指していないと考えられ、
中国の考える知的財産保護と、米国やその他の国が考える知的財産
保護にはまだ大きな隔たりがあると考えられる。

いずれにしても、リーマンショック後以降、世界は足並みをそろえ
て回復の道をたどってきたが、景気が転換点を迎える中でその足並
みに乱れが出ていることは間違いがないだろう。これは景気の混乱
を通じて安全資産以外の商品価格に下押し圧力を強めることになる。


引き続き、欧州・中国・米国の政治動向を受けて神経質な推移にな
るだろう。本日は昨日のリスクオフの流れを受けて、多くのリスク
資産、景気循環銘柄価格が下値余地を探る展開になると予想する。


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◆昨日の商品市場(個別)の総括
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---≪エネルギー≫---

昨日の原油価格は下落した。ハードBrexitへの懸念、米中貿易戦争
の激化、といった信用リスク、景気への懸念が強まったことが背景
で、OPECの減産効果を相殺した。

原油価格はしばらく低迷することになると予想する。各地の政治的
な混乱が信用リスクや需要の減速観測を強め、期待需給が緩和する
可能性が高まっていることが背景。需要が減速する中での価格防衛
は、OPECの減産があったとしても難しい。

OPECプラスの減産協議は最終的に▲100万バレル程度の減産に止ま
るとの見方が大勢を占めていたが、蓋を開けてみればOPEC▲80万バ
レル、非OPEC▲40万バレルを来年1月から減産することとなった。

なお、来年から制裁が始まるイランは減産を免れ、ベネズエラ、リ
ビアも減産枠からは除外された。これにより、OPECプラスは価格防
衛に向けた意思を内外に示すことに成功した。

ただ、OPEC経済委員会が勧告していた▲130万バレルの減産には届
いておらず、米中貿易戦争の激化などを背景に、原油価格はBrent
ベースで65ドル程度、WTIで55ドル程度までの上昇に止まると予想
される。

中国に対する制裁は、超党派で決定していると考えられるため、今
回の中間選挙で議会にねじれが発生しているが、恐らく継続するこ
とになるだろう。

先日のペンス副大統領の講演でのスピーチは、明確に経済面で中国
に宣戦布告しているのと同じである。これはトランプ政権というよ
りも、議会共和党の意向と考えたほうが良い。

米国が中国と貿易で合意するとの報道があったが、選挙前のリップ
サービスであり、実際に合意するのは容易ではない。というのも一
連の制裁で米国は中国から、まだ何も得ていないからだ。

ではいつまで制裁が続くかといえば、具体的には、中国の景気拡大
が失速して米国と覇権を争えるような状態になくなる、中国が世界
シェアを取りに行こうとしているハイテク分野の内製化をあきらめ
る、人民元高を許容する(バブル崩壊時の日本と同じ)、といった
明確な成果があるまで継続するのではないか。

ただし、利上げを継続する中で米国景気が失速し、国民からの不満
が高まる可能性がある2019年末頃が、翌年に大統領選挙を控える
「トランプ政権のリミット」と考えられ、制裁は継続しつつも来年
春頃までに一部制裁が緩和(追加緩和の一時凍結)されるのがメイ
ンシナリオだ。

トランプ大統領弾劾裁判の可能性が高まっていたが、共和党が上院
で過半数を維持しているため、弾劾は実質的に不可能だろう。そし
て、単体で人気が採れる大統領候補はほかにはおらず、トランプ政
権は二期目に突入する可能性が高いと見ている。

イラン問題の今後の展開は複数考えられるが、今のところ来年の5
月までは制裁の100%履行が延期された。

イランに対する制裁が解除されるのは、イランが明確に核放棄する
場合に限られるとみられる。上下院を民主党が確保できなかったた
めだ。

仮に予定通り禁輸措置が行われるとすれば、サウジやUEAがこれを
代替することになるだろう。しかしその場合、OPECスペアキャパシ
ティは「ゼロ」の状態になり、微小な有事が発生しただけでも原油
が100ドルを超える上昇になってもおかしくない。

仮に70ドル〜80ドルの原油価格が続けば、景気の循環的な減速局面
での原油価格高騰であるため、米国の増産とOPECの減産幅縮小と相
まって、その後、大幅な価格下落がもたらされると予想する。

ただし、需要の減速が明確ではない上に上流部門投資が十分ではな
いことから、下落したとしてもWTIで50ドル、Brentで60ドルを長期
にわたって下回り続けるのは難しいと考える。

北朝鮮問題はトランプ大統領からすればある意味「終わった材料
(支持率上昇につながらない材料)」だった。

しかし、選挙の結果議会がねじれたため、大統領選に向けたアピー
ル目的で北朝鮮と和平条約を結ぶ可能性はあり得る。この場合、地
政学的リスクは後退するが、日本の防衛負担が増えると考えられる
ため、日本は国防を巡って議論が紛糾することが予想される。

ロシアとの距離を縮めているのは、イスラエルと敵対するイランを
擁護しているロシアを懐柔することで、シリアからのイラン軍撤退
を促す、という意図があるためと考えられる。

よってロシアとの関係改善は、ある程度中東情勢の緊張緩和に寄与
すると期待される。原油の価格面では下押し材料となるだろう。

欧州はかつての最も親密な同盟地域だったが、民主主義の傾向が強
く、リベラルな雰囲気が強いこの地区とトランプ大統領は反りが合
わない。この地区との対立は貿易問題での対立を激化させ、需要面
で価格にマイナスに作用すると予想される。

短期的には投機筋動向が価格に影響を与えやすいが、12月4日付の
WTIの投機筋ポジションは、ロングが前週比▲6,387枚の505,292枚、
ショートが+11,588枚の175,146枚、Brentは12月4日付でロングが▲
18,027枚の253,702枚、ショートは+14,019枚の117,236枚となって
いる。

WTI、Brentともロングの解消売り圧力が非常に強く、新規にショー
トポジションが増えている。景気の減速と、OPEC減産が十分ではな
い、米国の増産が始まる、といった見方が強まっていることが背景
にある。

ただ、ショートの積み上がりは先々の買戻し圧力を強めるものであ
り、足元が軟調地合いであっても先々の反発を想定しておいた方が
良いだろう。

中長期的には中国の人口ボーナス期が2030年頃まで続く事、2020年
頃からはインドも人口ボーナス期に入り需要の増加が見込まれるこ
とから強気である。

なお、EVが普及して原油需要は2035年〜2040年頃にピークを迎える
との見方が市場のコンセンサスとなりつつあるが、リチウムやコバ
ルトの供給問題や、EV普及のための財政負担を考えると、補助金の
サポート無しでは成立しないEV化が、市場の期待通りに進むとは考
え難い。

同様に、補助金のサポートが必要なバイオ燃料が化石燃料に取って
代わるシナリオも想定し難い。

これに加えて、軽量化目的の樹脂利用(化学製品向け需要の増加)
なども期待できること、液体燃料は保存や輸送の観点からみて依然
割安であり、アフリカなどの新興国では引き続き利用されると見ら
れることから、2035年に「需要の伸びは鈍化」するものの、減少に
転じると判断するのは早計ではないだろうか。

実際に減少に転じるのは世界的に人口伸びの鈍化が実感される頃
(2050年頃か)になると見る。

この見通しの上昇リスクを現物の需要・供給に分けてみてみると、
需要面は原発事故などの突発事象で他のエネルギーを原油で代替せ
ざるを得なくなった時がこれに当たるが、これはなかなか想定し難
い。

供給面は、以下のようなものが上昇リスクと考えられる。

1.中東情勢不安の顕在化

2.PDVSA(ベネズエラ)の生産停止

3.上流部門投資の低迷(徐々に再開)

この中で顕在化の可能性が高まっているのが1.と2.だ。

1.については米国・サウジ・イスラエルvsロシア・イランの構図
で考えると理解しやすい。トランプ政権がイランに対して強硬な態
度を取っているのは、ユダヤ人ロビーとキリスト教福音派に配慮し
てのことであり、議会としてもロシアとの対決姿勢を強める構図と
なる。

そして、イラン産原油を一滴も買うな、という相当強硬な政策が採
用されている。それが実際に可能とは思えないが、この結果、イラ
ンは核合意離脱並びにホルムズ海峡封鎖オプションを誇示せざるを
得ず、それだけで価格は上昇するだろう。

また、イランからすればこれは従来からこの地域に存在する、シー
ア派とスンニ派の争いである。今までと違うのが、サウジアラビア
がイスラエルと一時的に連携する可能性があることだ。ただ、米国
のイスラエルへの大使館移転で、連携する可能性は低下している。

これにクルド人vsトルコ・イラン・シリア・イラク、といった対立
軸も入ってくると本当に理解が困難になる。基本、目の前の敵の敵
は見方の構図がその時発生している問題を理解する上での手助けと
なる。

これに加えてムハンマド皇太子のスキャンダル、それに伴う欧米の
制裁と報復が原油供給を著しく減じるシナリオも想定される。

さらに、東西分裂状態が続くリビアで原油生産が安定して増加する
可能性が低いことも、供給不安を高めるだろう。

2.については5月の選挙でマドゥロ大統領が再選を果たし、国内の
状況はさらに悪化している。

PDVSAの生産が完全に停止すれば恐らく原油価格は10ドル単位で上
昇するとみるが、これが現在じわじわと顕在化している形。これは
もはやメインシナリオとなっている(その後OPECの減産解除で大幅
に下落する展開を予想)。

1.と2.の違いは、1.はホルムズ海峡の封鎖が意識されるため、
供給途絶が長期にわたる可能性がある一方、2.が顕在化した場合
湾岸諸国の増産が予想されるため、影響が一時的なものに止まる点
である。

1.の場合、実際に封鎖が起きれば原油価格が100ドルを超えても何
ら不思議はない。

金融面・政策面では、以下の要因が上昇リスクとなる。

1.米金融規制緩和

2.米景気拡大ペースの鈍化に伴う利上げペースの減速

3.2.に限らず長期金利が日欧の低金利政策の継続で低下する場合

1.は中間選挙で民主党が下院を押さえたため、その可能性はほぼ
ゼロになった。

2.は足元の統計減速で、来年の利上げペースが鈍化する可能性が
出てきた。FRBパウエル議長も微妙に発言をハト派に傾けている。
今のところ利上げは継続するとみているが、しばらくはこうした口
先介入が続くとみられる。

下落リスクは需要面は何かしらの信用リスクが顕在化することが材
料となる。

1.中国の金融市場・住宅市場正常化推進加速

2.米国内インフレ発生による利上げペースの加速

3.地政学的リスク(特に需要面では欧州の混乱)の顕在化

4.北朝鮮戦争の開戦や中東情勢悪化を受けたリスク回避の動きの
強まり

5.株価の調整

6.トランプ政権の保護主義政策推進

7.価格上昇に因る需要の減少(レーショニング)

8.トルコ問題の新興国への拡大による、新興国需要の減少

9.ベネズエラをはじめとする新興国のデフォルト

1.の中国の金融市場・住宅市場正常化は不採算の国家プロジェク
トを見直すなど緩やかに調整が起きているが、景気をクラッシュさ
せるほどのものにはなっていない。

2.については原油高やトランプ関税引き上げの影響でその可能性
が意識されていたが、足元の経済統計の鈍化やトランプの人気取り
目的の緩和支持を受けて、その可能性は後退している。

これと相まって、5.の長期金利急上昇観測も後退している。


4.はリスクシナリオであるが、恐らくその可能性は大きく低下し
た。米朝の交渉は今後も継続する見込みであり、どのように転ぶか
はわからない。1つ確実なのは、同問題の解決に向けて日本の負担
は相当重くなるということだ。

中東についてはイランと米国は挑発の応酬となっている。しかし、
石油製品価格の上昇が米国民からの支持率を押し下げる可能性があ
るため、ここにきてイランに対する米国のトーンは若干後退してい
る。

しかし、イランは(国民向けのポーズもあってか)強気の姿勢を崩
していないため、しばらく緊張状態は続くだろう。

イランと米国が欧州やロシアのとりなしで交渉のテーブルに着く、
というのが希望的観測を含めたメインシナリオだったが、中間選挙
を受けて対外的なポイントを稼ぎたいトランプ政権が、イランに対
して弱腰になると考え難いため、このシナリオの可能性は後退した。


6.は同盟国に対しては事前の期待通り常識的な落としどころを探
る動きになりつつある。しかし選挙まで「戦う大統領」のポーズを
示しておかなければならないため、何かしらの果実を得るまで関税
問題は解決しないだろう。

7.は保護主義政策の拡大で世界的に景気の拡大ペースの鈍化が懸
念されている中で原油価格が高騰していることは、消費者がこの価
格高騰に耐えられない可能性が高まることを示唆している。顕在化
の可能性が高いリスク要因となってきた。

8.はトルコやアルゼンチンの通貨安を契機に新興国にそれが波及
する懸念があったが、米国の利上げが打ち止めになるのではとの期
待も高まっているため、「今のところ」その危機感は後退している。

9.は比較的現実のものとなるかもしれない。中国はベネズエラに
対して622億ドル程度の融資(The Inter-American Dialogue調べ)
をしていると考えられ、これは1,300億ドル程度と言われるベネズ
エラの外貨建て債務(+PDVSA債務)の5割近くに相当する。

仮にデフォルトしたり、政権が倒れた場合、ベネズエラの次期大統
領がこの契約は無効として、IMFや米国に泣きつく可能性はあり、
この場合の中国は債権放棄を余儀なくされる可能性がある。

この場合、中国国家開発銀行や中国輸出入銀行の負担となり、最終
的には中国政府の負担となる。崩壊の危機に直面しているベネズエ
ラであるが、これ以外の国もデフォルトする可能性はあるため、氷
山の一角ともいえる。今のところベネズエラ問題のみで中国が崩壊
するとみる向きは少ないが、そのリスクは無視できない。

供給面は、以下の要因が主な下落リスクシナリオだ。

1.北米の増産加速

2.OPECの出口戦略が意識される

3.イスラエルを中心とした中東情勢絵不安でサウジアラビアや
イランなどの足並みが揃わず、OPECの結束が崩壊する場合


1.は米国のパイプラインのキャパシティ問題もあり、増産ペース
は鈍化している。原油価格が採算ラインに乗ってから増産が始まる
までの時間差や新しいパイプラインの稼働時期を考えると、再び増
産ペースが加速するのはQ119になってからだろう。

2.は、サウジとロシアがむしろ減産に舵を切る可能性が出てきた
ため、顕在化の可能性が後退した。

3.はイランに対する制裁の度合いによるが、今のところは崩壊ま
でには至らないとみられる。

石炭価格はじりじりと水準を切り下げながら、高値圏での推移を続
けている。中国の国内の生産が減少しているうえに北朝鮮の制裁が
続いていることが影響している。価格の減速は、価格に対する説明
力が高い、「中国の景況感の鈍化」が影響していると見る。

北朝鮮への制裁解除は当面ない見込みだが、中国が米国にゆさぶり
をかける目的で解除する可能性もなくはない(この場合、さらに米
国が中国に制裁を科す可能性がある上、米国と関税関連で共闘でき
ると考えていた欧州や日本の協力が得られなくなるため、その可能
性は低いが)。

また、12月にCOP24(第24回気候変動枠組条約締結国会議)が開催
される。米国はこの枠組みから脱退を表明しており欧州諸国は米国
の引き留めに必死だ。

この状況で中国は脱退しない方針を打ち出しており、「対米協調」
を目的として積極的に石炭使用や鉱山向け融資を絞る可能性もあり
得る。このリスクは小さくなく石炭供給懸念を通じて石炭価格を高
止まりさせるとみている。


---≪LME非鉄金属≫---

LME非鉄金属価格は下落した。週末発表された中国の貿易統計で交
易量の急減速が確認されたことや、英国のハードBrexit懸念を受け
たドル高進行、米中貿易戦争の悪化懸念が同国の需要を減じる、と
の見方が強まったため。上昇した。原油価格の上昇と米統計の軟化
を受けた実質金利の低下でインフレ資産が物色される流れを受けて
上昇した。

非鉄金属の最大消費国である中国の構造的な景気減速、米国の利上
げ継続や原油価格の続落を受けた実質金利上昇、並びに新興国から
の資金流出観測が強まっていること、米国の中国に対する追加制裁
発動が外需を減速させ、非鉄金属価格を下押しすると予想される。

米国の制裁が3ヵ月棚上げとなったこと、中国政府は景気を軟着陸
させるために預金準備率を引き下げたり、公共投資などの財政政策
に傾斜せざるを得なくなってきていることが需要を押し上げるとみ
られるが、華為技術のCFOがカナダで拘束され、「米国は制裁に本
気」であるとみられているためその影響は限定されている。

今回の制裁は相当中国に影響を与えており、本来であれば開催され
ているはずの四中全会も開催されないまま、12月の中央経済工作会
議に突入しそうだ。そして、制裁再開が来年の全人代の直前である。
習近平はこのピンチをどう切り抜けるのだろうか。

華為技術のCFOがカナダで拘束されたことを見てもわかるように、
米国は今回の制裁については本当に本気のようだ。

中国に対する米国の制裁は、超党派で決定していると考えられるた
め、今回の中間選挙で議会にねじれが発生しているが、恐らく継続
することになるだろう。そして、内政面で新たな政策を打ち出し難
い状況にあるためより中国に対する対応は苛烈になると予想され、
工業金属価格にマイナスに作用すると見る。

足元の株価の調整や経済統計の鈍化を受けて、米中首脳会談で中国
に対する制裁を一部緩和するのでは、との期待が高まっていたが、
制裁一時棚上げに止まり、制裁自体は継続する方針であることが確
認された。

先日のペンス副大統領の講演でのスピーチは、明確に経済面で中国
に宣戦布告しているのと同じである。これはトランプ政権というよ
りも、議会共和党の意向と考えたほうが良い。

ではいつまで制裁が続くかといえば、具体的には、中国の景気拡大
が失速して米国と覇権を争えるような状態になくなる、中国が世界
シェアを取りに行こうとしているハイテク分野の内製化をあきらめ
る、人民元高を許容する(バブル崩壊時の日本と同じ)、といった
明確な成果があるまで継続するだろう。

しかし、利上げを継続する中で米国景気が失速し、国民からの不満
が高まる可能性があり、場合によると11月に開催されるG20での米
中首脳会談で何らかの緩和措置が取られる可能性はある(あったと
しても限定的で、制裁は継続すると考えられるが)。

そしてこうした制裁の影響は顕在化しつつある。中国工業部門利益
は、年初来ベースで前年比+13.6%の5兆5,212億元(1-9月期+14.7%
の4兆9,713億元)、10月は+3.6%の5,480億元(前月+4.1%の5,455億
元)と大幅に伸びが減速している。構造的・循環的な景気減速に加
え、米国の制裁の影響が徐々に顕在化していることの証左であろう。

結局、工業金属の最大消費国である中国への制裁は緩和はすれども
継続する見込みであるため、非鉄金属需要にとってマイナスに作用
することは避けえない。

また、中国の構造的な景気の減速、循環的な減速、保護主義政策に
対抗するための人民元安誘導が資本流出を招き、その他の新興国に
も影響が出ること、なども価格を下押ししよう。

トランプ大統領弾劾裁判の可能性が高まっていたが、共和党が上院
で過半数を維持しているため、弾劾は実質的に不可能だろう。そし
て、単体で人気が採れる大統領候補はほかにはおらず、トランプ政
権は二期目に突入する可能性が高いと見ている。

なお、構造的に工業金属需要が増加し、価格が上昇するのはおそら
く次の需要のけん引役となるインドが人口ボーナス期入りする2020
年頃からになるとみているため、長期的には強気の見通しである。

短期的には投機筋の動向が重要になるが、11月30日付のLMEポジシ
ョンを見ると亜鉛とニッケルを除く全ての金属でロング・ショート
とも減少が継続していることが確認された。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は166.8億ドル(前週174.3
億ドル)と買い越し額が増加している。しかし買い越し枚数はトン
数換算ベースで4,732千トン(4,876千トン)と6月頃から始まった
米中貿易戦争開始前とほぼ同水準まで買い戻されている。

このことはさらに価格が上昇するには追加の材料が必要であること
を示唆している。具体的には中国や米国の公共投資実施や、米国の
利上げペースの鈍化などだろう。

中長期的な見通しは人口動態が重要になるが、中国の人口ボーナス
期は2030年頃まで続く事、2020年頃からインドが人口ボーナス期に
入ることから構造的な需要増加はまだ継続すると見ており、強気の
スタンスを崩していない。

なお、アジア開発銀行は2016年〜2030年のアジアのインフラ投資規
模は26兆ドル(3,000兆円、年間1兆7,000億円)に達すると試算し
ている。

一帯一路構想は「中国の周辺国の実効支配」を目的とするものであ
ることは明確であり、このまま世界中がすんなりこれを受け入れる
かは微妙だ。実際パキスタン、ネパール、ミャンマーの水力発電プ
ロジェクトが相次いでキャンセルになっている。マレーシアの鉄道
案件も先送りとなった。

現実は、貧困国に資金を貸し出し、返済がなければ担保としてその
土地や港湾を召し上げる、というバブルのころに日本で問題になっ
たことを国家として行っている。老練なマハティールは中国の戦略
の意味を理解しているということだ。

また、2018年の軍事費も前年比+8.1%の1兆1,069億元と大幅に積み
増しされており、中国が軍事的に周辺国を支配しようとしているの
は明らかだ。

しかし、10月の米中首脳会議で安倍首相は透明性を高めることなど
を前提に、一帯一路構想への協力を約束した。中国の資金繰りが悪
化している可能性は高く、中国は日本の支援を欲しがっている、と
も考えられる。

一帯一路構想が、中国の軍事的支配権拡大に用いられないよう、日
本が監視できるかどうか。非常に重要な決断だったといえる。

また、結果的に省エネが進む中では非鉄金属需要が増加するため、
この観点からも強気だ。

この見通しの上昇リスクは需要面では、

1.中国の財政出動並びに住宅価格上昇容認

2.環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、
EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80
キロ/台が使われる)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

3.トランプ政権のインフラ投資計画実施

などが考えられる。

1.は米国の経済制裁を受けて、構造的な景気の軟着陸を目指すに
は内需刺激しかなくなっており、預金準備率の引き下げや、住宅セ
クターの再度の過熱を容認する可能性は排除できなくなっている。

2.の環境規制強化の流れの中でのEVブームは、若干鎮静化してい
る。EV普及のためには補助金負担は必須であり、景気が減速する中
ではなかなか積極的にEV政策を推し進められないことが背景にある。

よって、市場が期待しているほどのペースで普及するとは見ていな
い。ただ、新世代自動車の主流が電気自動車であることは間違いが
なく、実際の需要に影響を及ぼすのは順調に行ったとして2020年頃
以降になるのではないか。

3.はそもそも大きな政府を目指している民主党の理解が得られや
すいため、メキシコとの壁は作らないと思うが一部実施される可能
性は高まった。

供給面は個別性が強いが、以下が上昇リスク要因として挙げられる。

1.大規模鉱山の減少に伴う安価な資源確保環境の悪化(コストを
掛ければ採掘できる。リサイクルの充実は必須)

2.中国の環境規制強化に伴う減産の継続

3.石炭価格上昇による生産コスト(電力コスト)の高止まり

4.労使交渉動向

5.Rusalに対する制裁が長期化し供給懸念が強まる場合

5.はすでに顕在化してしまったリスクだが、特にアルミ・ニッケ
ル・パラジウムへの影響が大きい。Rusalに対する制裁は米財務省
が一部緩和する趣旨のコメントをしており、事前予想ほどの影響が
出ない可能性が出てきた。

金融面・政策面では、以下が主な上昇リスク要因だ。

1.米金融規制緩和

2.米景気拡大ペースの鈍化に伴う利上げペースの減速

3.2.に限らず長期金利が日欧の低金利政策の継続で低下する場合

1.は中間選挙で民主党が下院を押さえたため、その可能性はほぼ
ゼロになった。

2.は足元の統計減速で、来年の利上げペースが鈍化する可能性が
出てきた。FRBパウエル議長も微妙に発言をハト派に傾けている。
今のところ利上げは継続するとみているが、しばらくはこうした口
先介入が続くとみられる。

下落リスクは多く、以下があげられるが主に信用リスクの拡大が要
因の軸となる。

1.中国の金融市場・住宅市場正常化推進加速

2.米国内インフレ発生による利上げペースの加速

3.地政学的リスク(特に需要面では欧州の混乱)の顕在化

4.北朝鮮戦争の開戦や中東情勢悪化を受けた、リスク回避の動き
の強まり

5.長期金利の上昇

6.5.に付随するが株価の調整

7.米輸入規制強化並びにそれに対する報復

8.トルコ危機や米利上げの影響を受けた新興国需要の減少

9.ベネズエラをはじめとする新興国のデフォルト


1.の中国の金融市場・住宅市場正常化は不採算の国家プロジェク
トを見直すなど緩やかに調整が起きているが、景気をクラッシュさ
せるほどのものにはなっていない。

2.については原油高やトランプ関税引き上げの影響でその可能性
が意識されていたが、足元の経済統計の鈍化やトランプの人気取り
目的の緩和支持を受けて、その可能性は後退している。

これと相まって、5.の長期金利急上昇観測も後退している。

4.はリスクシナリオであるが、恐らくその可能性は大きく低下し
た。米朝の交渉は今後も継続する見込みであり、どのように転ぶか
はわからない。1つ確実なのは、同問題の解決に向けて日本の負担
は相当重くなるということだ。

中東については今のところ落ち着いているが、イランが米制裁に対
してどのように反応するかに今後の動向は依拠することになる。

欧州やロシアのとりなしでイランと米国が交渉のテーブルに着く、
というのが希望的観測を含めたメインシナリオだったが、選挙結果
を受けて、トランプ政権はイランに対してより強硬な姿勢を取ると
予想されるため、この可能性は低下している。

懸念されるのは、CIAがムハンマド皇太子がカショギ氏殺害を指示
したと結論付けた、と報じられていることだ。この通りであれば欧
米が制裁をせざるを得なくなり、サウジアラビアが報復措置を取る
可能性も排除できない。

6.は株式市場は投機の動きを示す指標であり、ここに調整圧力が
高まれば高値圏にあり記録的な水準まで積み上がっている投機の手
仕舞い売りが加速する可能性がある。

7.は同盟国に対しては事前の期待通り常識的な落としどころを探
る動きになりつつある。しかし選挙まで「戦う大統領」のポーズを
示しておかなければならないため、何かしらの果実を得るまで関税
問題は解決しないだろう。

8.はトルコやアルゼンチンの通貨安を契機に新興国にそれが波及
する懸念があったが、米国の利上げが打ち止めになるのではとの期
待も高まっているため、「今のところ」その危機感は後退している。

9.は比較的現実のものとなるかもしれない。中国はベネズエラに
対して622億ドル程度の融資(The Inter-American Dialogue調べ)
をしていると考えられ、これは1,300億ドル程度と言われるベネズ
エラの外貨建て債務(+PDVSA債務)の5割近くに相当する。

仮にデフォルトしたり、政権が倒れた場合、ベネズエラの次期大統
領がこの契約は無効として、IMFや米国に泣きつく可能性はあり、
この場合の中国は債権放棄を余儀なくされる可能性がある。

この場合、中国国家開発銀行や中国輸出入銀行の負担となり、最終
的には中国政府の負担となる。崩壊の危機に直面しているベネズエ
ラであるが、これ以外の国もデフォルトする可能性はあるため、氷
山の一角ともいえる。今のところベネズエラ問題のみで中国が崩壊
するとみる向きは少ないが、そのリスクは無視できない。


---≪鉄鋼原料≫---

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップ価格は下落、原料炭スワップ先物
は横這い、鉄鋼製品価格は下落した。

週末発表の貿易統計の鈍化、中国華為技術のCFOがカナダで拘束さ
れたことを受けた、米国の中国に対する制裁強化の懸念、
ハードBrexit懸念が強まったことで鉄鋼製品価格が下落したことが
影響した。

鉄鉱石価格は現状水準で推移すると考える。季節的に中国の生産が
減少、輸入が増加する時期に当たること、鉄鉱石在庫日数の低下、
米国の制裁を受けて、中国政府は国内鉄鋼製品需要を刺激する政策
を採らざるを得なくなる可能性が高いこと、冬場の鉄鋼生産抑制継
続による鉄鋼製品価格の高止まりが、投機的な観点での鉄鉱石買い
を誘うと考えられること、冬場の鉄鋼製品減産が需給面で鉄鋼製品
価格を下支えすると予想されることが背景(詳しくは2018年10月31
日付のMRA's Eyeをご参照下さい)。

11月の中国鉄鋼PMIは45.2(前月52.1)と大幅に減速した。特に新
規受注が35.4(52.3)と急落、完成品在庫も58.8(42.3)、
原材料在庫も54.8(54.2)と大きく積み上がった。

より注目すべきは輸出向け新規受注の落ち込みが47.3→43.2にとど
まっている一方で、全体では52.3→35.4となっていることだ。この
ことは中国国内の鉄鋼需要が減少していることを意味し、鉄鋼製品
価格の下落要因となる。当然、鉄鉱石価格にもマイナスに作用する
だろう。

こうした国内の減速による、景況感の悪化、とくに中小企業の景況
感悪化を回避するために中国政府は何らかの経済対策(インフラ投
資)を実施するとみられる。

ただし、同時に地方政府の財政状況も厳しく、バブルを誘発するほ
どの公共投資も実施できないため、鉄鋼製品、鉄鉱石価格の下支え
要因にはなるが、価格を大きく押し上げるほどの効果はないのでは
ないと見る。

中国に対する制裁は、超党派で決定していると考えられるため、今
回の中間選挙で議会にねじれが発生しているが、恐らく継続するこ
とになるだろう。そして、内政面で新たな政策を打ち出し難い状況
にあるためより中国に対する対応は苛烈になると予想され、工業金
属価格にマイナスに作用すると見る。

足元の株価の調整や経済統計の鈍化を受けて、米国が中国に対して
制裁を一部緩和するのでは、との期待が高まっていたが、90日間の
追加関税棚上げが決定されただけであり、制裁自体は継続すること
が確認された。

先日のペンス副大統領の講演でのスピーチは、明確に経済面で中国
に宣戦布告しているのと同じである。これはトランプ政権というよ
りも、議会共和党の意向と考えたほうが良い。

ではいつまで制裁が続くかといえば、具体的には、中国の景気拡大
が失速して米国と覇権を争えるような状態になくなる、中国が世界
シェアを取りに行こうとしているハイテク分野の内製化をあきらめ
る、人民元高を許容する(バブル崩壊時の日本と同じ)、といった
明確な成果があるまで継続するのではないか。

そしてこうした制裁の影響は顕在化しつつある。中国工業部門利益
は、年初来ベースで前年比+13.6%の5兆5,212億元(1-9月期+14.7%
の4兆9,713億元)、10月は+3.6%の5,480億元(前月+4.1%の5,455億
元)と大幅に伸びが減速している。構造的・循環的な景気減速に加
え、米国の制裁の影響が徐々に顕在化していることの証左であろう。

結局、工業金属の最大消費国である中国への制裁は緩和はすれども
継続する見込みであるため、工業金属需要にとってマイナスに作用
することは避けえない。

今年の鉄鉱石価格の上昇は、鉄鋼製品価格の上昇によるものであり、
さらに製鉄所の稼働率の上昇が実需を押し上げたことも影響してい
る。

中国最大の鉄鋼生産地区である河北省の高炉稼働率は、現在73.9%
と過去5年平均の84.1%を下回っている。しかし、強制的に生産削減
となった昨年の61.3%よりかなり高い水準を維持している。

今後、昨年と同様、生産抑制される見込みであるため、鉄鋼製品価
格は冬場、高い水準を維持することになるのではないか。

ただ、鉄鋼製品在庫が前週比▲24.1万トンの807.1万トン(過去5年
平均958.8万トン)であり鉄鋼製品価格は例年よりも高い水準を維
持しそうだ。

鉄鋼製品が高止まりするため、鉄鉱石に関しても、冬場に向けた国
内生産の減速時期に突入していることから、季節的に鉄鉱石価格は
高止まりするだろう。

直近の統計では、鉄鉱石在庫が前週比▲165万トンの1億36,200万ト
ン、(過去5年平均1億694万トン)、在庫日数は前週比+0.6日の
30.4日(過去5年平均30.6日)と、例年よりも高い水準を維持して
いたが、ついに例年の水準を下回った。粗鋼生産が駆け込み前の増
産で増加したことが影響したとみるが、在庫水準の低下は価格を下
支えするだろう。

鉄鋼製品価格につられて水準を切り上げていた鉄鉱石であるが、や
はり徐々に下押し圧力が掛かるのではないか。

長期的な見通しは人口動態が重要になるが、中国の人口ボーナス期
は2030年頃まで続く事、2021年からインドが人口ボーナス期に入る
ことから構造的な需要増加はまだ継続すると見ており、強気である。

なお、アジア開発銀行は2016年〜2030年のアジアのインフラ投資規
模は26兆ドル(3,000兆円、年間1兆7,000億円)に達すると試算し
ている。

一帯一路構想は「中国の周辺国の実効支配」を目的とするものであ
ることは明確であり、このまま世界中がすんなりこれを受け入れる
国は減少している。

実際パキスタン、ネパール、ミャンマーの水力発電プロジェクトが
相次いでキャンセルになっている。マレーシアの鉄道案件も先送り
となった。

現実は、貧困国に資金を貸し出し、返済がなければ担保としてその
土地や港湾を召し上げる、というバブルのころに日本で問題になっ
たことを国家として行っている。老練なマハティールは中国の戦略
の意味を理解しているということだ。

また、2018年の軍事費も前年比+8.1%の1兆1,069億元と大幅に積み
増しされており、中国が軍事的に周辺国を支配しようとしているの
は明らかだ。

しかし、10月の米中首脳会議で安倍首相は透明性を高めることなど
を前提に、一帯一路構想への協力を約束した。中国の資金繰りが悪
化している可能性は高く、中国は日本の支援を欲しがっている、と
も考えられる。

一帯一路構想が、中国の軍事的支配権拡大に用いられないよう、日
本が監視できるかどうか。非常に重要な決断だったといえるが、米
国がこの日本の対応を看過するかどうかはまた微妙である。

上昇リスクについては、以下のようなものが考えられる。

1.中国の財政出動並びに住宅価格上昇容認

2.一帯一路構想が市場予想を上回るペースで実施される場合

3.米国のインフラ投資計画が実際に実施される場合

1.は米国の経済制裁を受けて、構造的な景気の軟着陸を目指すに
は内需刺激しかなくなっており、預金準備率の引き下げや、住宅セ
クターの再度の過熱を容認する可能性は排除できなくなっている。


2.はそのプロジェクトの質の悪さから導入を見送る国が増えてお
り、中国自体の資金繰りの問題もあって以前ほど高いリスクではな
くなってきた。


3.は民主党が選挙で下院の過半数を占めたことから実施の可能性
が後退した。しかしそもそも民主党は大きい政府を標榜しているた
め、部分的に実施される可能性はある。

下落リスクは信用リスク系のものが多いが以下が主なところだ。

1.中国の住宅バブル崩壊

2.中国のインフラ投資が財政悪化で規模が期待ほどにはならない
場合

3.米利上げぺースの加速によるドル高で新興国からの資金流出が
加速した場合

4.何らかの理由で北朝鮮に対する制裁が解除され、原料炭価格が
下落する場合

5.北朝鮮、中東情勢不安が世界的にリスク回避姿勢を強め、金融
市場の混乱が実態経済に悪影響を及ぼす場合

6.世界的な株価の調整によるリスク回避の動きの強まり

7.米国の進める保護主義政策の拡大

8.トルコの政情不安が新興国通貨安(資本流出)を通じて、新興
国需要の減速につながる場合

9.ベネズエラをはじめとする新興国のデフォルト

10.ジャーナリスト殺害に対する批判に反発して、ムハンマド皇太
子が原油の輸出を停止して原油調達ができなくなる、原油価格が高
騰する場合


4.の可能性は出てきたが、核放棄を行わない限り制裁は継続の方
針である。しかし、米国が体制保証を認めた以上、今後は北朝鮮が
国際社会に復帰する方向性に進む可能性が高い。

選挙結果を受けて対外的な政策成功をアピールしたいトランプ大統
領が、電撃的に制裁を解除する可能性は以前よりも高まった。

ただし、首脳会談のスケジュールを見るに、年明け以降の解除の可
能性が高いと考える(逆に言えば年内は解除はなしか)。


5.はリスクシナリオであるが、米朝首脳会談の結果を受け開戦リ

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